最も力を注いだことは、母校である高校の野球部のコーチとしてチームを指導したことである。一般的に、高校野球において推薦制度のない公立高校が、推薦で大量の野球エリートを獲得している私立強豪校に勝つことは難しいと言われている。しかし、私はそんな高校野球界に蔓延る常識を覆して、革命を起こしたいと考えていた。そこで、自身の10年以上の野球経験から培ってきた野球の常識やセオリーを捨てることにした。
野球で勝つためには、相手よりも得点を多く奪い、相手よりも失点を少なくすればよい。
そこで私は過去5年以上の試合結果のデータを集めて、得点に結びついている要因、失点を防ぐ要因を特定することにした。
結果として、以下の5つの事実が判明した。
① 送りバント、盗塁は得点に結びつく可能性が低い
② 出塁率と長打率が高いと得点が高い
③ 与四死球率が少ないと失点が少ない
④ 奪三振率が高いと失点が少ない
⑤ 被安打率は失点とあまり関係がない
勝つために必要な要因が分かれば、後はその要因を強化・修正すれば良い。
しかし公立高校には選手の能力に限界があり、一度にできることは限られている。
そこで私は勝つために以下の3つの戦略を提案した。
① チームとして送りバントと盗塁は一切しない
② 野手は出塁率を上げるために初級には基本的に手を出さない
③ 投手は被安打を恐れず、四死球を出さないように基本的に全てストライクを投げる
監督、選手と話し合った結果、残りの半年間はこの3つの事をチームとして徹底的に行うことに決めた。
そして、半年後の夏の大会で、優勝候補に挙げられていたAシードの強豪校を接戦の末に倒すことができた。
この経験から私が得たことは以下の2点である。
① 偏見や思い込みは変革の妨げになる
② 本質的な要因はデータを分析することで発見することができる
今後、この経験で得たことを大切にして、物事に対して偏見なく0ベースで考えていきたい。
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