私が達成したことは、現在も挑戦中である「1年に1回学会発表を行うこと」です。私にとってこの目標が困難であった理由は①今までの先輩が誰も着手していない研究内容であり、何もないところから実験系を立ち上げたこと②国家試験に関連した授業とそれに伴うテストや、約22週間に及ぶ薬剤師実習により修士課程の人より研究時間が少ないこと、の2つです。
そのような状況の中で上記の目標を定めた理由は、私自身が「高い研究力と幅広い薬の知識を持つプロフェッショナル」を目指しているからです。これからも多くの新薬が登場することが予想される製薬業界において、既存薬との未知の薬物間相互作用が出現することが考えられます。これを薬の作用機序や製剤特性から予測し、患者様に影響が及ばないように改善策もしくは代替法を提案できるようになるには「研究力」と「薬の知識」の2つが必須能力であると考えていることが背景にあります。
ここから私が目標達成のために行った努力・工夫とそこから得ることができた能力についてまとめます。研究活動を通じて得られた能力には以下の2つがあります。
① 情報収集能力・問題解決能力
先述したように、私の研究は今まで先輩が誰も着手していない技術を必要とするものでした。具体的には、新生児マウスから表皮組織だけを回収して培養、その細胞で膜輸送タンパクの機能を評価するというものです。技術の体得を目指し、その技術を用いている論文を何報も読み込みました。その時意識したことは各論文のMethod欄に記載されている共通点と相違点を明確にして情報を収集したことです。各Methodにおける共通点は必須な要素であると考え、論文の条件をできるだけ使用し、相違点については研究室で継続的に行えるコストレベルまでスケールダウンしました。その中で多くの失敗を経験しました。しかし、その度に問題点をできる限り洗い出し、その中で重要だと考えられる原因について解決策や次の条件を自ら先生に提案し研究を進めました。結果、予定より1か月早く技術を体得し、実験系を確立させることができました。この経験から、必要な情報を効率的に集める能力と、問題点を自ら考え出し対処する能力を身に着けることができました。
② 視野の広さ
実験系の確立に成功した私は、ある薬物の皮膚における薬物動態を明らかにするために研究を進めました。ここからは様々な条件の検討が必要であったため、技術体得時と比較して膨大な実験量が必要になりました。薬剤師実習により研究時間が短くなる中で実験量を補うために「視野を広く保つ」ことを意識して取り組みました。実験過程全体を見つめ、問題が生じた時に闇雲に解決策を考えるのではなく、その問題が自分の研究の中でどのような位置づけにあるのかを常に考えました。そこから、解決すべきと判断した点は原因を考察し、解決が重要でない点は別の評価方法を用いる等、柔軟に研究を進めました。また、視野を広く保つことで実験過程の中で非効率な部分を見つけ、改善方法を自ら考え先生に提案することができ、複数の実験を効率的に進めることができました。実習中も毎日夜から研究に励み、努力できる点は全て尽力しました。その結果、2年間で学会発表2回だけでなく、総説論文1報投稿と目標以上の成果を達成できています。現在も3回目の発表に向けて努力を継続しています。この経験から、限られた時間の中で成果を出すには、目標までの過程を常に意識し、問題点の位置づけを明らかにすることが重要であることを学びました。
私は研究活動を通じて得た上記の能力を、臨床開発職の使命である治験内容の迅速な構築・円滑な進行に活かします。また、これらの能力はこれから出現する患者様のアンメットニーズをいち早く見つけ出し、その改善策を考えることにも活かすことができると考えます。そしてこの能力を最も活かすことができるのは、患者様との共同化、地域包括ケアへのサポート等、患者様のアンメットニーズをいち早く見つけるができる環境がある貴社であると考えます。一刻も早く、一人でも多くの患者様を笑顔にするために、この能力を磨き続けます。
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