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CREATED ON 2025.07.23 | UPDATED ON 2025.11.28

楽天就職ガイド|企業の基本事項・選考対策・内定者のES例文を紹介

企業研究
541 VIEWS
どんな質問をされる? 楽天就職ガイド 頻出質問と内定者の回答も解説

こんにちは。就活会議編集部の望月です。 「大企業だけど挑戦できる」「若手からチャンスがある」。楽天を志望する学生の多くがそう語ります。 楽天市場や楽天トラベルなど、多岐にわたるサービスを展開する楽天は、大企業ながらも挑戦し続ける「ベンチャー的姿勢」を持ち合わせており、私の周りでも志望者が多い企業でした。 就活会議に寄せられたデータを見ても、安定した基盤を持ちながら挑戦するカルチャーに馴染めるかどうかが選考で見られているようです。今回は、これらの口コミやデータをもとに、楽天への就職のコツを解説します。

この記事は、就活会議の会員が投稿した体験記にもとづいて作成・編集をしています。就活会議の会員は現役の学生であることを確認しています。

「楽天グループ」の基本情報

楽天グループの選考対策に入る前に、基本的な情報をおさらいしましょう。楽天の事業内容や競合情報などの基本情報を把握しきれていないという人は参考にしてください。

ミッション・コンセプト 「グローバル イノベーション カンパニー」であり続けるというビジョンのもと、企業や顧客価値の最大化を目指す
事業内容 「インターネットサービス」「モバイル」「フィンテック」の3つの事業を中心に展開。海外へも視野を広げている
各事業ごとの競合【インターネットサービス】
Eコマース事業:Amazon、Yahoo! ショッピング等
トラベル事業:じゃらん、エクスペディア、JTB,HIS等

【モバイル】
Y!mobile、UQモバイル、docomo、au、SoftBank等

【フィンテック】
クレジットカード事業:三井住友カード、JCBカード等
証券事業:SBI証券、野村証券、大和証券、三菱UFJ証券ホールディングス、みずほ証券等
楽天特有の強み「楽天経済圏」に基づいたサービス間でのポイント活用による顧客の囲い込み
将来性モバイル事業の安定的な黒字化と、楽天経済圏の相乗効果にかかっている
就職難易度 非常に高い

すぐに選考対策を確認したい人は、「内定者の回答から紐解く! 楽天グループの志望動機に入れたい3つの要素」より下の項目をチェックしてみてください。

また、楽天での働き方や選考対策については、就活会議のYouTubeチャンネルでも解説しています。気になる人は「【動画解説】楽天の働き方や選考対策をチェック」から動画を見てみましょう。

ミッション・コンセプト

1997年に創立された楽天は、「グローバル イノベーション カンパニー」であり続けるというビジョンのもと、企業や顧客価値の最大化を目指す企業です。「グローバル イノベーション カンパニー」とは、以下のような意味合いを持ちます。

世界中の人が幸せに生きられる社会を創るため、創業以来培ってきた楽天が持ちうる知識や創造力を存分に発揮し、常識を変えられる革新的な事業を生み出す企業を目指す考え

そして、「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」という、楽天が改革し続けることで社会にも変革をもたらすことをミッションとしています。

このミッションを達成すべく、すべての従業員のなかに組み込まれているのが「楽天主義」という行動指針。これは「ブランドコンセプト」と「成功のコンセプト」の2つから構成されています。それぞれがどのようなものなのかを詳しく確認してみましょう。

まずは、ブランドコンセプトについて解説します。

ブランドコンセプト 詳細 コンセプトが表れた取り組み
大義名分 すべての人に手軽で、便利なサービスや製品を提供し、
社会的意義や価値を創造する姿勢。
・年会費を無料にしたり、審査を簡単にしたりと、より多くの人がクレジットカードを持てる機会を創出
・日本の携帯料金が高いことへ警鐘を鳴らし、独自の料金プランを開設
品性高潔 法令や国際ルールを順守することはもちろん、
顧客が安心してサービスを利用するために責任を持って情報と向き合うことを表す。
・楽天ペイの厳格なセキュリティ対策
・楽天市場の厳しい出店審査、レビューによる品質の可視化
用意周到 事業を成功させるための方法論として掲げている考え。
事業の成功のために従業員一人ひとりがプロフェッショナルに事業を進めることを大切にしている。
・将来の通信事業需要を見据えた基地局の配置準備
・楽天トラベルでユーザーが宿泊予約後に緊急事態が起きた際のサポート体制構築
信念不抜 「大義名分」は基盤に置きながらも、状況に応じて事業を推進し続ける姿勢。 ・スマホ代が高いことへ問題意識を持ちながら、すでに大手が寡占する中で携帯キャリア参入を決行
・モバイル事業に赤字が出ていても目標に向け動き続ける姿勢
一致団結 100以上の国・地域から集まった約3万もの従業員がいることを強みとし、
全体の方針に向かい「一つのチームである」意識のもと進んでいくための考え。
・全従業員が参加する「朝会」
・楽天モバイル契約数増加のために、グループ全社員が顧客を紹介し、皆で目標達成に向かう姿勢

次に、成功のコンセプトについて解説します。

成功のコンセプト 詳細 コンセプトが表れた取り組み
常に改善、常に前進 さまざまな手段で、何が何でも物事を達成する
という強い意思を持つことの重要性を訴えている。
・楽天市場のユーザー体験を継続的にアップデートする姿勢
・楽天ポイントをグループサービス全体で利用可能化にし、常に顧客の利用しやすさを求める姿勢
Professionalismの徹底 楽天グループはプロフェッショナルの集まりである自覚を持ち、
「勝つ」ために考え、成長する姿勢を促している。
・楽天トラベルの顧客アンケートで、意見を取り入れ成長する姿
・楽天トラベルで宿泊施設の課題解決に向けた取り組みを強化
仮説→実行→検証→仕組化 仕事を進めるうえで、具体的なアクション・プランを立てることの
大切さを説いている。
・EC事業への早期参入、そこからのトライアンドエラー
顧客満足の最大化 あくまで「サービス会社」という思いを忘れず、
顧客満足度を高めることを念頭に置いている姿勢。
・楽天ポイントの複数サービスでの利用可能化により顧客がサービスをお得に使用しやすくする取り組み
・さまざまな事業への膨大な顧客データ活用により、顧客の声を各サービスへ反映
スピード! !
スピード! !
スピード! !
「他社が1年かかることを楽天では1カ月でやり遂げる」
というスピード感を大切にしている。
・楽天証券でのリアルタイム株価更新、株取引のスピード感

すべてに見られるのは「成功のためにいかにして行動するか」という姿勢。それを裏付けるかのように、さまざまな事業でコンセプトが体現されています。

「ブランドコンセプト」では、「大義名分」のもと、それを実現するための信念が連なっています。「成功のためにどのような考えを持つべきか」が記されていると認識すると良いでしょう。

一方で、「成功のコンセプト」には楽天における「成功のために重要な行動」が記されています。これらに共感し、基づいて行動できる人こそが、真の「楽天パーソン」になれるのかもしれません。

事業内容

楽天のおもな事業内容は、「インターネットサービス」「モバイル」「フィンテック」の3つ。その中でも事業内容の幅は広く、日本のみならず海外へも視野を広げています。

そんな3つの事業に対し、詳しく見ていきましょう。

事業名 事業内容
インターネットサービス
(コマース事業)
「楽天市場」をはじめとしたECサイトや、旅行予約サイト「楽天トラベル」の旅行予約サイトの運営が主。
顧客に楽天の他サービスを同時に使用してもらう「クロスユース」の促進や地域活性化の取り組みで収益向上を目指す。
モバイル
(通信事業)
「楽天モバイル」の携帯キャリア事業が核となる。
「日本のスマホ代が高すぎる」と警鐘を鳴らし、低価格でありながらもネットワーク品質の高いサービス提供に努めている。
フィンテック
(金融事業)
「楽天カード」「楽天銀行」「楽天証券」「楽天ペイ」「楽天Edy」などのペイメントサービス、生命保険サービス、損害保険サービス、仮想通貨の媒介などが主。
使用しやすく、安全性・利便性の高い金融サービスを提供し「誰もが取り残されることなく金融サービスへアクセスできる社会」を目指している。

また、それぞれの2024年度(2024年1月1日~12月31日)の売上は以下のようになりました。

2024年事業別売上

売上で見ると、インターネットサービス事業やフィンテック事業が依然として強く、営業の根幹を支えていることがわかります。一方で、モバイル事業の売上はほかの2つと比べると売上が少ない状況です。

しかし、高品質なネットワーク環境の提供や、状況改善に注力しているため、さらなる利益創出に向けて動いている最中になります。詳しくは「各事業ごとの競合」や、「将来性」を確認してみてください。

各事業ごとの競合

企業研究で欠かせないのが競合比較。競合との比較ができると、楽天なりの強みや弱みを知ることができたり、後に志望動機を作成する際に活かせたりします。

楽天グループがほかの企業と比較して「より注力したいポイントがどこか」を意識しながら、インターネットサービスの「Eコマース事業」「OTA(ネット専業の旅行会社)」、モバイルの「低価格スマホ」、フィンテックの「クレジットカード事業」の視点で、競合を確認していきましょう。

まずは、インターネットサービスの「Eコマース事業」の競合の比較です。

運営グループ名 サービス名 強み 成長戦略
楽天 楽天市場 ・ポイント制度による顧客の囲い込み
・商品数の多さ
・楽天モバイルのユーザーを中心としたクロスユース推進
・翌日配送などの物流強化
Amazon Amazon ・注文から出荷までをAmazonが担う物流システムによる配送の速さと低コスト化 ・独自の物流網の強化
・デジタルコンテンツへの領域展開
LINEヤフー Yahoo! ショッピング ・PayPay、LINE、ヤフージャパンに集まるユーザー情報の活用 ・PayPayとの連携による商品の割引、ポイント還元の強化
・リユース事業を始めとした環境問題への取り組み

次に、「OTA(ネット専業の旅行会社)」の観点でインターネットサービスの「トラベル事業」の競合の比較を見ていきましょう。直接的な競合は同じOTAである「じゃらん」や「エクスペディア」ですが、リアルで店舗を構える旅行代理店も競合にあたるため、これらの観点で解説します。

運営グループ名 サービス名 運営形式 取り扱い宿泊施設数 強み 成長戦略
楽天 楽天トラベル OTA4万以上
(2025年3月時点)
・インバウンド需要を取り込み、予約サイトの多言語化、決済の通過の種類の多様化
などの外国人向けサービスの手厚さ
・インバウンド需要の拡大を見込んだ施策強化
・楽天モバイルのユーザーを中心としたクロスユース推進
リクルート じゃらん OTA約2万7千
(2024年4月1日時点)
・宿やホテルの網羅性の高さ
・航空会社やバス会社との連携による宿泊と交通のパック予約プランの豊富さ
・ツールを活用した宿側への集客コスト削減の取り組み
Expedia, Inc. エクスペディア OTA日本国内のみで約3.8万件
(2025年10月時点)
・宿泊施設のみならず交通やアクティビティなどの「旅行商品」の提供 ・事業を旅行事業へ一本化したことにより、旅行事業へ投資できる体制が整う
・アメリカのみならず多国へサービス展開の強化
JTBグループ JTB 店舗
OTA
団体向け営業
国内店舗数:354拠点
OTA:約1万2千(2025年10月時点)
・圧倒的なシェアとブランド力
・宮内庁や大企業とも取引基盤を持つ
・旅行を元に、環境問題の課題解決に貢献する事業を展開
・デジタル活用による収益性の向上を目指す取り組み
HISグループ HIS 店舗
OTA
団体向け営業
国内店舗数:213拠点・グローバルネットワークを最大限に活用
・ホテルやテーマパーク事業など事業範囲が広い
・旅行事業と非旅行事業の収益比率1:1を目指す取り組み
・海外マーケットの拡大・強化

次に、「低価格スマホ」という観点でモバイル事業の競合を確認してみましょう。楽天モバイルは「格安スマホ」とも呼ばれ、おもに格安層の取り合いをしていますが、もちろん大手の携帯キャリアも競合になります。それぞれを詳しく見ていきましょう。

運営グループ名 サービス名 強み 成長戦略
楽天 楽天モバイル ・通信ネットワークのソフトウェア化によるコストカット実現。
そこから格安スマホの提供を可能にしている
・契約回線数の拡大
・快適な通信サービス提供へ向けた回線改善
・楽天モバイルのユーザーを中心としたクロスユース推進
ソフトバンク Y!mobile ・ソフトバンクショップのみならずY!mobileでショップを構えるため、
顧客に対し手厚いサポートが可能
・シンプルな料金プランや家族割引サービスの充実化により、
複雑な料金体系を避けたい層や充実したサービスを得たい層までを取り込める
KDDI UQモバイル ・auのネットワークを使用できることによる通信安定性
・くりこしプランによる利用者の通信料のムラをなくす取り組みによる運営コスト抑制
・5G通信の提供
・au PAY、auじぶん銀行、auでんきなどとのサービスのセット提供による支払いの簡略化
NTTドコモ docomo・国内でもっとも広いカバーエリアを所有
・地方や山間部でも通信の安定性を担保
・dカードやd払いなどとの連携による顧客の囲い込み
・通信品質の強化
KDDI au ・都市部から地方まで網羅的に高品質な通信環境を提供 ・5Gネットワークの拡大強化
・au PAY、auじぶん銀行、auでんきなどとのサービスのセット提供による支払いの簡略化
ソフトバンク SoftBank ・都市部において5Gネットワークのカバー率、速度に優位性を持つ
・データ容量無制限で利用可能
・PayPayとの連携によるポイントキャンペーンで顧客を囲い込む

最後はフィンテック事業です。事業のなかでも売上割合の大きい「クレジットカード事業」と、ネット証券のリーディングカンパニーである「楽天証券」を扱う「証券事業」の競合について解説します。

まずは、クレジットカード事業についてです。

運営グループ名 サービス名 強み 成長戦略
楽天 楽天カード ・多様性やLGBTQ+に対応したサービスが提供可能 ・多様性やLGBTQ+に対応したサービス提供の強化
・楽天モバイルや楽天市場の決済サービス利用によるクロスユース推進
SMBCグループ 三井住友カード ・SMBCグループが母体となる信頼性の高さ
・SMBCグループの銀行や証券の顧客とも連携が可能になり、安定した館員基盤を築ける
・決済ビジネスの強化
・グループ単位でのビジネスモデル変革により、常に事業改革できる基盤がある
ジェーシービー JCBカード ・日本初ブランドという信頼性の高さ
・多様なニーズに応えるカードラインナップ
・顧客を第一に考えた使いやすさの追求
・ポイントが貯まりやすいサービス実装

次に、証券事業を見ていきましょう。楽天証券が位置するネット証券のみならず、独立系証券会社、メガバンクを親に持つメガバンク系証券なども競合に当たります。それぞれを比較してみましょう。

運営グループ名 証券会社名 区分 強み 成長戦略
楽天 楽天証券 ネット証券 ・楽天カード、楽天銀行などのフィンテックサービスとの連携が可能
・楽天カード積立による顧客定着率の高さ
・楽天モバイルや楽天市場の決済サービス利用によるクロスユース推進
SBIグループ SBI証券 ネット証券 ・業界最多の口座数から圧倒的な顧客接点とデータを持つ
・オンライン取引の手数料無料化を先行し、競争優位性を確立
・資産預かり運用から成る安定的な手数料の確保、富裕層向けコンサルティングの充実で顧客単価を最大化
・地方銀行との連携強化
野村ホールディングス 野村証券 独立系証券 ・国内最大の預かり資産残高と、富裕層に強い対面営業ネットワークを所有
・長年の歴史と業界トップブランドとしての高い信用がある
・富裕層向けサービスを強化し、長期的な目線で安定収益を得る取り組み
・国際的な競争力を高める取り組み
大和証券グループ 大和証券 独立系証券 ・独立系であり、自由度の高い経営戦略が可能
・調査や分析力で業界トップクラスの評価がある
・顧客の人生設計に寄り添うコンサルティングの質を追求し、収益の安定化を図る
・外部企業との連携を積極的におこなう
MUFGグループ 三菱UFJ証券ホールディングス メガバンク系証券 ・国内最大の金融グループの信用力、顧客基盤がある
・銀行・信託との強固な連携が可能
・銀行の取引先をターゲットに、総合的な提案をする取り組みを強化し、収益拡大を図る
・アジアを中心とした海外市場での成長の取り込み
みずほフィナンシャルグループ みずほ証券 メガバンク系証券 ・親会社の銀行・信託と協力した戦略立てが可能
・大規模法人向けビジネスにおける高い市場シェアを誇る
・銀行の顧客に対し、付加価値の高い証券サービスを迅速かつタイムリーに提供
・グループで横断的な課題解決を通じ、顧客からの預かり資産を安定的に拡大

競合他社の強みはそれぞれですが、楽天グループが重視しているのは、「顧客が利用しやすいサイトであること」と「クロスユースの推進」です

利用のしやすさに関しては「できるだけ料金プランをシンプルにする」「多様性に対応したサービス提供」という、まさしく顧客の使いやすさを追及した仕組みが整っています。

ここから、楽天グループの「成功のコンセプト」における「顧客満足の最大化」を実現しようとしている姿勢が汲み取れます。

クロスユースの推進に関しては、楽天特有の強みにも通じる部分があるため、次の項目で詳しく見ていきましょう。

楽天特有の強み

楽天グループの強みを端的に言うと「顧客の囲い込みが実現できる」ということ。これは、「サービス間でのポイント活用」、いわゆる「楽天経済圏(楽天エコシステム)」という考えに基づいたからこその施策です。

「楽天経済圏」とは、下記のような考え方を指します。

楽天経済圏とは
「楽天市場での買いものや、楽天モバイルで貯まったポイントを、楽天トラベルで活用する」など、楽天ポイントを楽天のサービス内で循環させる取り組み。顧客にとって、ポイントが貯まると買いものや支払いをお得に済ませられるメリットがある。

「買いものと銀行」「モバイルと銀行」「銀行とクレジットカード」などと、複数の事業を掛け合わせている企業は見られますが、上記したすべての事業に着手しているのは楽天ならでは。だからこそ、生活圏に根差したポイント活用を顧客に提案でき、楽天にとっても顧客の囲い込みができるのです。

将来性

「楽天はベンチャー気質だから将来性があるのかわからない」と不安に思う人もいるかもしれません。その企業でやりがいを持って長く働くためにも、志望企業の将来性を確かめておきたいものです。

楽天の将来性は、モバイル事業の安定的な黒字化と、楽天経済圏の相乗効果にかかっていると言えるでしょう。

モバイル事業は2025年3月通期では営業損益で赤字を計上しており、全体の利益額を押し下げています。2020~2024年(各年1月1日~12月31日)の楽天全体の利益額の推移と、各事業の利益額の推移を確認してみましょう。

楽天の利益額

下記の表は、事業ごとの利益額の推移です。

2020年 2021年 2022年 2023年 2024年
インターネット 403億9,600万円 1,033億5,100万円 646億3,000万円 655億6,700万円 851億3,700万円
フィンテック 802億9,100万円 891億2,000万円 898億4,000万円 1,112億2,400万円 1,533億7,700万円
モバイル -2,272億5,800万円 -4,211億7,200万円 -4,792億5,700万円 -3,145億6,900万円 -2,089億3,300万円

このデータが示すように、2022年を底として、それ以降は赤字額が縮小しています。この背景には、インターネットサービス事業、フィンテック事業が安定的に高収益を維持し、グループの成長を支えてきた構造があります。

加えて、モバイル事業の赤字幅縮小も大きな要因です。モバイル事業の赤字額は2022年をピークに、それ以降は改善傾向です。この転換は2023年に法人契約を本格化したことが起因しています。

2025年現在では、通年で黒字化を目指すという高い目標に向けて動いている最中であり、実際に2025年の上半期(2025年1~6月)では、モバイル事業単体で初めて黒字化に成功しました。

ここからわかるように、モバイル事業の安定化によりさらなる利益額向上が期待できるといえます。さらに、安定性のあるインターネットサービスやフィンテック事業の基盤を強化させ、「楽天経済圏」のさらなる発展を目指しているとも考えられるでしょう。そのため、IT技術の応用や、グローバル展開などを視野に入れ、持続的な成長を追及すると予測できます

就職難易度

誰もが知る大企業でありながらも、ベンチャー的な思考を持ち、常に新たな事業に挑戦し続ける楽天グループ。この姿勢に惹かれる学生も多いことでしょう。

就活会議に登録されている学生の出身大学や、エントリー総数などを元に、独自で算出した楽天グループの就職難易度(5点満点)は、5点満点中4.7点で、非常に高いといえます。

そのため、楽天グループへの就職は簡単にできるものではありません。内定獲得のためにはしっかりと対策が必要となることが予測できるでしょう

楽天グループの選考

楽天グループの基本情報がわかったところで、具体的な選考フローを確認していきましょう。

楽天グループの選考は、前提として「ビジネス職」と「エンジニア職」の2パターンの応募があります。

ビジネス職

ビジネス職は、楽天グループのすべての部門に配属の可能性がある「ビジネス総合コース」と、初期配属を確定する「部門・職種別コース」があります。「部門・職種別コース」は、以下の4コースです。

「『楽天』という企業自体に大きな魅力を感じている」という場合は「ビジネス総合コース」、「楽天のなかでも特定の企業に心惹かれている」「自分の経験や強みが活きそうだと感じる」場合は、初期配属が確約されたコースを選択すると良いでしょう

選考フロー

2026年卒向けのビジネス職の選考フローは基本的に以下のようになります。

選考応募ページ登録

エントリーシート(ES)提出

webテスト受検

オンライン面接実施

内定通知

選考について、このような内定者の口コミが寄せられていました。

選考体験談

ES・最終面接が鬼門だと感じました。実際に、落ちている方はここの2つで落ちている方が多かったように思います。 (2021年卒 慶應義塾大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

選考体験談

自身の場合は、2次面接が鬼門であると感じた。2次面接では、落としてやるというような雰囲気(しっかり評価している)を感じた。

したがって、2次面接でしっかりアピールできなかった人は落ちているのではないかと感じた。 (2022年卒 中央大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

学生により鬼門だと思う選考段階が異なるようです。ここから、どの段階でも気を抜かずにやり遂げることが重要だとわかります。

状況や選択したコースによって選考ステップが異なる場合があるため、気になる人はOB・OG訪問やインターンシップの際にたずねてみると良いでしょう。

また、内定した場合はTOEICスコア800点、もしくは同等の資格の取得が必要となります。「楽天で働きたい」という強い意思がある人は、選考時にアピールポイントになるよう、今のうちから英語力を身に付けることをおすすめします。

エンジニア職

エンジニア職は、内定時には配属が確定しており、給与も個人の能力によって確定します。そのため、入社後に即戦力として活躍することが求められています。特定のポジションにいきなり配属されるため、「どの職種でエンジニアをしたいか」を決めたうえで面接に臨むことが大切です。

エンジニア職で募集している職種例は以下の通りです。

これらはあくまで募集職種の一部にすぎません。どのような職種があるのかを把握するために、夏季にジョブプログラムを実施しています。「楽天でエンジニアとして働くイメージを明確にしたい」「どの職種でエンジニアをするかを決めて、面接に備えたい」という人は応募してみると良いでしょう。

選考フロー

2026年卒向けのエンジニア職の選考フローは、基本的に以下のようになっています。

応募

一次書類選考

コーディングテスト(一部テスト除外のポジションあり)

二次書類選考

面接(複数回)

オファー

エンジニア職にも、以下のような選考体験記が寄せられました。

選考体験談

実感として、一次面接が鬼門であったと感じました。ただ、最終面接も緊張感のあるものだったので油断は禁物です。 (2025年卒 エンジニア職 内定)

ビジネス職同様、どの段階も気が抜けないことがわかりました。

即戦力としての活躍が見込まれるだけあり、コーディングテストも存在します。選考対策はもちろんのこと、これまで学んだことを衰えさせないよう、継続してエンジニアリングスキルを培うことも大切にしましょう。

また、先輩たちの体験記を確認するなかでわかるのが「どの段階の面接も気が抜けないこと」「自身を持って回答すること」「会話をするという意識が大切なこと」です。具体的にどのような準備をすれば良いかは記事内で解説するため、引き続き読み進めてみてください。

内定者の回答から紐解く! 楽天グループの志望動機に入れたい3つの要素

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楽天グループの概要や選考フローがわかったところで、いよいよ志望動機を作成する段階に入りましょう。

志望動機といっても、「楽天グループに受かるために、どのようなことを志望動機に書けば良いのかわからない」という人もいるでしょう。そのような人にぜひ見てほしいのがこの項目。

就活会議に寄せられた内定者のコメントを紐解くと、楽天グループに受かるための志望動機には3つの要素が含まれていることがわかりました。その3つについて解説するため、内容をしっかりと押さえ、あなたなりの志望動機を考えてみましょう。

①楽天グループへの共感性

どの企業にも、独自の考えや理念は存在します。楽天には、「楽天主義」や「楽天経済圏」「企業理念」など、独自の考え方が非常に多いです。

内定者の多くは、これらについて意味や意義をきちんと理解し、志望動機に盛り込んでいる人が多いことがわかりました。実際に、楽天グループへの共感性を志望動機に入れた例を見てみましょう。

実際に選考通過した回答

2つある。1つ目は、70以上のサービスから形成される楽天経済圏の事業領域の幅広さに強い魅力を感じたからだ。各サービスごとのクロスユース率の高さを体感し、事業間の連携を通して、世の中に対して、真に便利なサービスを提供できることに魅力を感じた。また、まったく違う領域のビジネスを同じグループ内で掛け合わせることで新規事業に挑戦していくことにも魅力に感じた。

2つ目は、企業理念に共感したからだ。私は、「地方の良さを全国・グローバルに発信する」ことを就活の軸としておき、社会や地域の課題に寄り添うパートナーとして活躍したいと考えている。御社は、創業当初からサービスとデータ活用の知見を活かし地域貢献してきた。また、インターンシップを通じて、「どうすれば達成できるか」を追い求める「Get things Done」をはじめとする楽天主義を体感し、自らも成長し続けられる環境が整っていると感じた。

以上を踏まえ、御社において自らも成長しながら、より良い明日を創るために精進したい。 (2025年卒 大阪大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

「楽天経済圏に興味がある」「企業理念に共感している」だけでなく、事業同士の連携や、自分の経験を踏まえた「楽天の志望動機」を具体的に語れています。

このように、楽天独自の考えに対しても、自分なりに深く掘り下げ、理解して志望動機に入れることで、企業理解度の深さを示すことができるでしょう

②自分の経験が楽天グループでどのように活かせるか

企業は、自社の理念に深く共感してくれる人材に加え、成長のために活躍してくれる人材を求めています。それは楽天も同様であり、「楽天主義」のなかでも「成功のコンセプト」で成長できる人材を求めていることが強く表れています

実際に選考通過した回答

私が楽天を志望する理由は提案型営業をしたいと考えているからです。

私はサークル活動でイベントの企画運営を担当しており、その活動の中で企画力とは問題解決力だと気付きました。どんなイベントを行えば会員を楽しませることができて、利益を出すことができるのかを考え続けたことで私の企画力(問題解決力)が養われました。

御社の営業は、企業の方と手を組み、その企業が抱える問題を解決していく提案型営業だと考えております。これはどのような商品を企画すればお客様を楽しませることができ、利益を出すことができるのかという考え方であり、私の経験を活かすことができると思います。

サークルで養った企画力と運営力を生かして、企業すらも気づいていない問題を察知し、的確な言葉で提案し商品の売り上げを上げていくことに貢献できると考えています。 (2018年卒 学習院女子大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

この学生は、サークル活動の企画運営から培った問題解決力を活かして、潜在的な問題を見つけ出し、売上向上に貢献すると述べています。入社後も、「広い視野と深い思考力を持って、サービス向上のために努力してくれるのだろう」ことが想像しやすいです。

単純に「このような経験がある」と述べるだけでは説得性に欠けてしまうでしょう。しかし、「どのように活かせるか」を具体的に述べることにより、入社後の活躍イメージが湧きやすくなるため、「どのように活かせるか」への言及は重要です。

③グローバル環境に対する興味

楽天は2012年から、社内公用語を英語としています。また、応募に際してTOEIC800点程度の英語力が必須であったり、多様な国籍の社員が在籍していたりと、グローバルな視野が整備された企業です。

企業ビジョンでも「グローバルイノベーションカンパニー」という考えを掲げているように、楽天のさらなる成長のためには、世界への興味が不可欠。内定者がこの点をどのように志望動機に盛り込んだのか、例を見てみましょう。

実際に選考通過した回答

御社でITコンサルティングを通じて社会課題を解決し、お客様の成長を支援したいと考え志望します。数あるIT企業の中でも、御社は楽天エコシステムを通じた多くの顧客データや、グローバルなネットワークを有することで、他社にはできない、顧客一人一人に合った最適な提案を行うことができます。

私自身、長期インターン先で予約システムを販売した時も、お客様からの細かいカスタマイズに関する要求や、IT知識に関して説明する中で苦労も経験しましたが、お客さんに喜んでもらった時にこの上ない喜びを感じました。

その中で、御社が独自に有する経済圏やグローバルなノウハウを用いることができれば、お客様に価値をお届けできると考え、御社を志望するようになりました。

私は長期インターンやスリランカでの営業において自身や周囲の業務能力を改善する中で、困難な状況でも真摯に解決策を考え、成果を出す力を培ってきました。この能力を活かし、御社のECコンサルタントとして、多くのお客様の課題をITによって解決し、新しい価値を提供することで事業拡大に貢献していきたいと思います。 (2022年卒 青山学院大学大学院 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

楽天特有のグローバル化に対する考えと、学生の海外での経験が結び付けられています。そのときに培った能力を存分に活かし、即戦力となって活躍してくれそうなことが伝わる例文です。

このように、グローバル環境への興味関心だけでなく、「グローバル展開を活かして何をしたいのか」「どのように活躍できるか」を入れ込めると良いでしょう。

楽天グループのES頻出質問|内定者の回答付き

「楽天グループのESではどのようなことが聞かれるのだろう」。志望動機の作成が済んでも、このような疑問を思い浮かべる人もいるでしょう。

就活会議に寄せられた内容を確認すると、毎年似たような項目がESで聞かれていることがわかりました。どのような内容が聞かれているかをあらかじめ押さえておき、確実にES選考に通過できるよう、内容を準備しておきましょう。「ESの作成でいつもつまづいてしまう」人は必見です。

志望動機

まず、必ず聞かれるのが志望動機です。どの企業においても志望動機は頻出質問ですが、楽天の場合は「なぜ楽天に入社したいのか」を深く見られているといっても良いでしょう。

楽天では、志望動機とは別に「希望するカンパニーとその理由」を聞かれることがあります。そのため、「志望動機」と「希望するカンパニーとその理由」を区別したうえで回答せねばなりません。だからこそ、志望動機では「なぜ楽天に入社したいのか」に焦点を絞り、深掘りして答える必要があるのです。

内定者は実際にどのように「楽天」に絞った志望動機を展開したのかを見てみましょう。

実際に選考通過した回答

「地域の人々が豊かで快適に暮らせる社会」の実現に貢献したいと考えたからです。生まれ育った地元では過疎化による人材不足が深刻な問題となっていることから、私は同じ状況の地域の豊かな暮らしや活性化に貢献したいという思いを持っています。

また紙を用いた業務が中心だったアルバイト先が、IT化したことによって業務が劇的に効率化し以前とは比べ物にならないほど快適に働けるようになったことに感動を覚えた経験から、私は通信の立場から人々の便利な暮らしに貢献したいと考えるようになりました。

中でも「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントすること」をミッションに掲げ、大規模な顧客基盤と蓄積させたデータを武器に、多岐にわたる分野で革新的な地域活性化事業をおこなう貴社の事業の多角性と社会貢献性の高さに魅力を感じ、貴社であれば自身の理想とする社会の実現に貢献できると考え、志望しました。 (2025年卒 ビジネス職 内定)

地元やアルバイトでの体験談を話すことで、オリジナリティあふれる内容になっています。楽天グループのミッションと経験を掛け合わせて話すことで、「なぜ楽天なのか」の裏付けも十分です。

「なぜ楽天に入社したいのか」を深めるためには、企業理念や楽天グループの考え方に対する深い考察に加えて、インターンや説明会の参加もおすすめします。そこで社員が「楽天の考え」をどう捉え、体現しているかを知ることにより、企業への理解度を格段に高められるでしょう。

希望するカンパニーとその理由

楽天のESで、志望動機と並んで聞かれるのがこの質問です。志望動機で「楽天グループに対する志望動機」を回答するならば、この質問では「楽天グループでどのような仕事をしたいのか」「なぜその仕事をしたいのか」を中心に回答すると良いでしょう

それでは一体、内定者はどのようにして志望動機と差別化した回答をしたのでしょうか。

実際に選考通過した回答

私がコマースカンパニーを志望する理由は二つある。

一つ目は、消費者により近い場所からビジネスを創出し、価値を提供できるからだ。楽天市場やラクマに代表されるように、商品の売買という消費者が馴染み深く頻繁に利用するサービスだからこそ、消費者の動向や要望を常に注視し、それに沿った価値の提案が可能であるところにやりがいを感じることができる。

二つ目は、事業領域の将来性が高く、より多くの挑戦を行えると考えるからだ。IT化の進行に伴いEコマースは今後も高い需要を見込めることに加え、扱える商材や顧客の幅広さから、今後も新規サービス創出の可能性が高く挑戦する機会が多いことに魅力を感じる。

コマースカンパニーで私の強みである迅速さを活かし、目まぐるしく変わる消費者のニーズを把握し最適なサービスを提供することで、人々の日々の生活の豊かさや幸福に寄与したい。 (2022年卒 明治大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

具体的な楽天のサービス名を出しながら、将来性に対しても言及ができている例文です。そこから、「人々の日々の生活の豊かさや幸福」という楽天の企業理念に通ずる部分の実現に向けて動きたい意思が伝わってきます。

さらにこの学生は、志望理由に加えて、「強みを活かしてどう働くか」まで言及できているのもポイントです。企業が志望動機を問う背景には、「その企業にどのように貢献してくれるかを知りたい」という意図があります。このように、「経験や強みを活かし、どのように楽天へ貢献できるか」を具体的に述べることが、採用担当者に入社後のイメージを湧かせる鍵です。

楽天グループの企業理念や、各カンパニーの仕事内容を詳しく調べ、「自分にはどのような仕事内容が向いているか」を今一度確かめてみましょう。

ガクチカ

楽天のESのガクチカでは、ただ「学生時代に力を入れたことを教えてください」という質問がされるわけではありません。加えて「その際、ご自身が務めた役職や実績、活動内容も具体的に記載してください」との質問があります。

一般的に企業がガクチカを問う理由は人柄や価値観、入社後にどのように活躍できるかを見極めることにあります。楽天もその点を見ているのはもちろんですが、特に「与えられた役職に対してどのように成果を発揮できるのか」を重視しているといえるでしょう

内定者は以下のように自分の役割を見出し、「力を入れた」といえるほどの経験を培っていました。

実際に選考通過した回答

アルバイトをしている〇〇で、社員全員を巻き込み、積極的に課題解決を行い、新たな価値をお客様に届けることに力を入れて取り組みました。

私の店舗で顧客満足度が20%下落する問題が発生しました。原因は、企業コンセプトでもある、心地良いサードプレイスを十分に提供出来ていない事と考えました。

そこで、私はマニュアル通りではなく、一人一人に合った新しい接客方法を提案し、実践しました。具体的には、大学で学んだ心理学を活かし、お客様の好みや求めている味を会話から引き出し、それに合ったドリンクやフード等をお勧めしました。

また、お店がお勧めしている商品だけでなく、自分で研究し、良かった組み合わせのカスタマイズも勧めました。その他にも、チームとしてベクトルを合わせるため、店員それぞれが工夫し良かった接客方法をチーム全体で共有することにしました。チームで協力し、話し合うことで、それぞれの強みを活かした接客サービスが出来ると考えたからです。

また、自分の強みである語学力を活かし、外国人のお客様には、英語のメニューを一律に渡すだけでなく、お勧め製品やコーヒーの種類を英語や中国語で説明しました。

居心地の良い居場所を提供し、多くのお客様を笑顔にし、常連客を獲得することに繋げ、顧客満足度を4ヶ月で25%以上高くすることに成功しました。自分で考え、積極的に挑戦し、〇〇で変革を起こす事が出来ました。 (2022年卒 慶應義塾大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

顧客満足度の低下という問題に対し、この学生の学んでいることや強みを存分に活かして課題を解決したことが述べられている例文です。さらに、一人で課題解決に向かうのではなく、チームで協力した姿勢も伝わります。何か課題があった際も、周りを巻き込みつつ、これまでの経験や強みを存分に活かして活躍してくれそうなことが伝わるでしょう。

「役職」といっても、部長やゼミ長、バイトリーダーのような肩書きを想像しがちですが、このような大きなものでなくても構いません。自分の役割の中で、どのように課題に立ち向かい、成果につなげたのかを考えることで、オリジナリティあふれるガクチカになります。

挫折や困難を乗り越えた経験

この質問は、2026年のESで新たに追加された項目です。「挫折や困難を乗り越えた経験」に加えて、「それをどのように乗り越え、乗り越えたことでどのように成長したか、具体的に記載してください」と、詳細な記述が求められています。

仕事をするうえで、挫折や困難は付き物です。楽天グループも例外ではなく、モバイル事業を赤字から立て直しを図っている最中であり、まさしく困難を乗り越えようとしています。この質問を聞くことで、「実際に仕事で困難にぶつかった際、どのように考え、乗り越えていけるのか」を知りたい意図があるといえるでしょう

まずは自分史などを用いて、これまでの経験を洗い出すところから初めて見てください。そこから、どのような挫折や困難があったか、それにどう向き合い、対処したかを考えてみましょう。

楽天グループの面接でよく聞かれる質問|基本はESの深掘り!

ESに通過したら、次は面接で社員と顔を合わせて話す段階です。楽天の面接は、基本的にESの深掘りをベースにして進められます。そのため、自分のESに対して、「どのように深掘りされるか」をあらかじめ予測するのが面接通過のカギです。

どのような深掘り質問をされるか、実際に合った質問とともに確認し、予想外の質問にも落ち着いて回答できるようにしましょう。

経験に対して「なぜ」を突き詰める質問

ESでは、あなたの経験に基づいて話を展開することも多くあるでしょう。いくらES内で経験の背景やそこから得たことなどを説明していても、面接官があなたの人となりを理解するには、まだ知りたいことがたくさんあるはず。だからこそ、経験に対して「なぜ」が問われるのです。

就活会議に寄せられた口コミによると、実際に楽天の面接では、このような深掘り質問がされました。

上記からもわかるように、楽天の面接では「このような経験をした」だけでは太刀打ちできません。経験を通して感じたことはもちろん、「なぜそれをしようと思ったのか」という経験の前のことから、「経験で工夫したこと」など経験の最中のことまで詳しく聞かれます

ESや面接で「この経験を取り上げよう」と決めたら、経験をする前のことから後のことまでを網羅的に思い返してみてください。

楽天における将来のビジョンを問う質問

どの企業の面接でも将来のビジョンについて問われることはあるでしょう。しかし、楽天では「楽天に入社した際の将来のビジョン」を深く聞かれます。そのため、「楽天に入社したい」という意思も大切ですが、「楽天に入社したらどうしたいか」も考えておく必要があるでしょう。

「将来のビジョンを問う質問はどのようなものなのか」と感じる人に向けて、実際に楽天の面接であった質問を就活会議に寄せられた口コミのなかから紹介します。

これらの質問は、最終面接でされることが多いです。一般的に最終面接では、社会人になる覚悟や、その企業に入社する意思を問われる機会が多くあります。楽天も同様で、覚悟や意思を見られているといっても良いでしょう

ESの段階で希望するカンパニーを記載すると同時に、5年後、10年後と、楽天グループでどのように活躍しているかを具体的に想像してみてください。そうすることで、深掘り質問にも対応しやすくなるでしょう。

チームでの協力経験を問う質問

仕事は、一人で完結するよりも、チームでの協力が求められる場面が多いです。楽天も、ブランドコンセプトに、チームとして成功をつかむことを目指した「一致団結」という価値観が提示されています。そのため、チームでの協力経験は楽天で重視したいことの一つなのです。

就活会議に寄せられた口コミによると、実際にチームでの協力や、チームでの立ち位置を聞かれる質問では以下のものがありました。

学生生活での活動でも、チームで何かに取り組んだ経験は多いはず。「チームでこんな経験をした」で終えずに、「チームでの活動で何か起きたとき、どのように乗り越えたか」も思い返しておけると、想定外の深掘り質問にも対応しやすくなるでしょう。

内定者の回答から読み解く! 楽天グループの内定に近づく3つのコツ

楽天のESや志望動機の頻出質問などは理解できたところで、「内定に近づくためにはどうすべきか」が気になる人もいるでしょう。

就活会議に寄せられた内定者の回答を分析すると、楽天グループの内定獲得には3つのコツがあることがわかりました。どのようなコツがあるかを理解したうえで、自分のES内容をブラッシュアップしたい人はぜひ読んでみてください。

①楽天独自の事業戦略を自分なりに解釈し共感を示す

楽天には「楽天経済圏」など、独自の事業戦略があります。これを「あなたなりにどう理解しているのか」そして、楽天グループの一員になるにあたり「どう自分事ととらええられるか」を示すためにも、楽天独自の事業戦略をあなたがどう考え、共感できているかをアピールすることが大切です

例として、志望動機にこれらを組み込んだ学生の回答を見てみましょう。

実際に選考通過した回答

新しいコンテンツやサービスを広めることによって世界中の人たちに感動を与えたいと考え、貴社を志望する。

アルバイトにおいて、マニュアル構築を通じて課題解決に貢献した経験から、自分がつくり出した仕組みによって物事が効率化したり便利になったりすることにやりがいを感じた。そのため、「楽天経済圏」という独自のビジネスモデルを展開し、様々な価値を世界中に提供することによって多くの人の生活を豊かにしている貴社には魅力を感じている。

また、私は「グローバルに活躍できること」を企業選びの軸の1つとしているため、積極的なグローバルな事業展開をする貴社であれば、グローバルに活躍しながら成長し続けることができると考える。

以上より、私は貴社において世界中の人に感動を与える仕事がしたいと考えている。そして、これを実現するために、アルバイトで培った課題解決力を活かして貴社のサービス拡大に貢献していきたい。 (2022年卒 慶應義塾大学 ビジネス職 内定)

この学生は、「楽天経済圏」の考えが、学生自身の思いと一致していることを述べています。さらに、この思いを抱くきっかけとなった出来事が記されていることで「楽天で経験を積むなかでも、楽天グループの方向性に合った思考ができる」ことを面接官に想起させるでしょう。

ただ「楽天の考えに深く共感している」だけでは一般的な志望動機で完結してしまいます。しかし、「自分が思う楽天と一致するポイント」を合わせて語れると、グッと志望度の高さや入社後のイメージが高まる志望動機にできるのです。

②エピソード内容を具体的に描写できるようにする

楽天のESでは、ガクチカや挫折経験などの一般的な内容が聞かれることが多いです。しかし、「実績・活動内容・乗り越え方・成長性を具体的に書け」とのコメントがあるため、ただ頑張ったことや、挫折したことを述べるだけでは不十分とみなされてしまうかもしれません。

あなた自身について深く知ってもらえるチャンスになるため、この点についていかに詳細に描き、面接の際に面接官からの質問を引き出せるかがカギとなります

実際に内定者が答えたESのガクチカ内容と、面接時の深掘り質問を同時に見てみましょう。

実際に選考通過した回答

大学2年の半年間、サッカーチームの運営に携わり、平均動員数を270%向上させたことだ。

江戸川区を拠点にするサッカーチームは、年齢層の固定化と区民への認知度の低さという課題があった。これらを解決するために、私は8人のチームメンバーとともに新しいプロモーション企画を立案した。

具体的には、サッカー非観客層である年配者に着目し、別の施設との相互送客システムを企画した。さらに、企画の立案にあたり、銀行からの融資を獲得するために、企画の社会的意義や各ステークホルダーの利益などを何度も検討した。

その中で、私は主にスケジュール管理と議論の進行役を務めた。自身の強みである「計画力」と「推進力」を活かせたと考えている。半年間という限られた時間の中で企画の立案、推進、実行を行わなければならなかったため、マイルストーンを設定するなどをして計画的に進めることを心がけた。そして、効率的にそれぞれの仕事を行えるようにチームメンバーへの仕事の配分なども行った。また、議論を効率的に進めるために、定期的に自分たちの目的・目標の確認を行うことで、客観的な視点を持つことを心がけた。

結果、平均動員数約1000人であったものを、企画当日は、2700人の動員に成功し、観客数の増加、観客年齢層の多様化、認知度の向上につなげ、振興に貢献した。この経験から得た教訓を活かし、今後もチームワークと計画力を発揮し、挑戦をし続けていきたい。 (2025年卒 中央大学 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

この回答に対して、以下の深掘り質問がありました。

・ガクチカの活動を続けられたモチベーションは?
・活動をおこなったグループの中でのあなたの役割は?
・ガクチカの活動を通して最も成長できたことは?
・ガクチカを進めるうえで何を大切にしていた?
・ガクチカの活動を行ううえで、工夫した点は?
・ガクチカの活動で挫折したことは? またどのように対処した?

サッカーチームの運営において、課題解決のために施策を考え、実行したエピソードが、その背景や具体的な取り組み内容とともに提示されています。

もし、「課題解決のために動いた」という事実だけを記載したなら、その背景や取り組み内容について深掘りされたかもしれません。しかし、そこまで具体的に述べることで、一歩踏み込んだ深掘り質問を引き出すことに成功しています。

このように、エピソードを具体的に描写できるようになることで、よりあなたのことを面接官に知ってもらえる機会を創出できるのです。

③入社後のビジョンを明確にする

楽天グループの面接では、企業や事業内容の理解はもちろん、あなたの対人スキルや課題解決方法などの、より詳しい仕事への向き合い方が見られる傾向にあります。仕事への向き合い方を自分の中で明らかにするには、入社後のビジョンをはっきりと想像できていることが欠かせません。

内定者が「入社後に何をしたいか」を面接で聞かれた際の内容から、どこまで入社後のビジョンを明確にすべきか、ヒントを得てみましょう。

実際に選考通過した回答

短期、中長期目線で申しあげますと、短期目線ではコンサルティング営業をやりたいと考えています。具体的には、御社のコマースカンパニー事業部において、EC戦略の立案などをすることで、顧客企業様の売り上げ向上に貢献したいです。

自分の強みである「困難な状況でも真摯に解決策を考え、成果を出せる」を活かし、お客様の期待を常に上回る営業マンとして御社に貢献していきます。

中長期目線では、3~5年ほどコンサルティング営業をした後に、御社 の事業企画・サービス企画の部署において、新規事業チームのリーダーを務めたいと考えます。そのために私は常に先輩のリーダーの所作を見て学び、積極的に質問し、自身が改善を続けることでリーダーシップを強化していきたいです。

最先端の自動運転分野や医療分野など、大きな案件のリーダーを務め、社会に新しい価値を提供できるような人材として活躍していきたいです。 (2022年卒 青山学院大学大学院 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

短期、中長期と、入社後すぐの話のみならず、さらに先のことも見据えた回答ができています。そこでどのように企業に貢献するのか、どんな力を発揮するのかまで具体的に述べており、将来のことをきちんと考えている様子が伝わってくる回答です。

さらに、この学生は「なぜコマースカンパニー事業部なのか」との深掘り質問に対しても以下のように回答できています。

実際に選考通過した回答

御社のECを利用しているお客様の売り上げ向上に貢献していきたいと考えているからです。

自分自身長期インターンで予約システムを販売してきましたが、お客様からの細かいカスタマイズに関する要求や、IT知識に関して説明する中で非常に苦労も経験しましたが、それを乗り越え、最終的にお客さんに喜んでもらった時にこの上ない喜びを感じました。

そのような経験から、将来は課題を抱えているお客様のお困りごとを解決していきたいという想いが強くなりました。

御社に入社した暁にも、EC戦略の立案などを通じてお客様の事業拡大に貢献していきたいと考えているため、数ある御社の事業部の中でも、特にコマースカンパニー事業部を志望しています。 (2022年卒 青山学院大学大学院 ビジネス職 ビジネス総合コース 内定)

深掘り質問に対しても動じずに、学生ならではの経験を裏付けとして語れています。コマースカンパニー事業部で活躍したいという熱い意思と、楽天でなければならないという思いが面接官に評価されたのだと考えられます。

このように、「入社後自分が何をしたいか」ももちろん重要ですが、「楽天グループで何がしたいか」という「企業」に焦点を絞った回答ができるよう準備しておくと良いでしょう

楽天グループがどのような企業かを理解して就職へのヒントにしよう

この記事では、楽天グループの事業内容から、選考のコツまでを解説してきました。

楽天グループは就職難易度も高く、誰にでも言える回答を用意していては、面接官を惹きつけることは難しいかもしれません。しかし、「楽天の考えにどれだけ共感できるか」「これまでの経験を活かして楽天で何ができるか」など「楽天」を主体とした考えができれば、面接官をあっと言わせる回答が準備できます。

記事内で解説したことを踏まえて、ES内容を作成したり、自分自身で深掘りしてみたりして、万全な状態で選考に臨めるよう準備しましょう。

【動画解説】楽天の働き方や選考対策をチェック

就活会議のYouTubeチャンネルでは、楽天の内定者や選考経験者、実際に働いていた社会人にインタビューしています。

働き方や福利厚生、選考突破の秘訣などを動画でわかりやすく解説しているため、気になる人はチェックしてみてください。

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この記事の編集担当者

望月 晨生

新卒で寝具・家具メーカーに入社後、大手ECサイトの販売を担当。寝具や家具にまつわるオウンドメディアの立ち上げに携わる。自分で何かを作り上げることに魅力を感じ、ライター職に転職。現職では就活会議のコラム立ち上げに携わり、ライター・編集ディレクターを担当。

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編集責任者

江副 裕斗

大学卒業後、2018年にパーソルキャリアに入社。中途人材紹介事業において、4,000名以上の求職者と100社以上の企業を支援。2022年に就活会議のグループ会社であるポートに入社。キャリアアドバイザーとして学生の就活支援に従事し、新規事業である就活会議エージェントの立ち上げにも参画。現在は約100名規模となるキャリアアドバイザーグループの責任者を務める

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