【就活ガイド】株式会社商工組合中央金庫の企業研究〜企業分析で選考突破〜
株式会社商工組合中央金庫(商工中金)は、政府と中小企業組合の共同出資により誕生した政府系金融機関です。誕生以来、中小企業専門の銀行として事業を展開しており、中小企業に特化したノウハウを有しています。 この記事では商工中金の基本情報や業界内での立ち位置をもとにお伝えするとともに、先輩たちが実際に行った企業研究方法をご紹介します。商工中金の選考を受ける前にどのような会社なのか、その特徴をしっかり理解していきましょう。
商工中金の会社概要
まずは商工中金について理解しましょう。 ここでは商工中金の選考に通過した先輩たちが行った企業研究と、その社風などをお伝えします。
商工中金の基本情報
会社名 | 株式会社商工組合中央金庫 |
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業界 | 金融・銀行 |
本店所在地 | 東京都中央区八重洲二丁目10番17号 |
事業所 | 店舗数 国内102/海外4 |
設立日 | 1936年10月8日 |
経常収益 | 1,493億円(2021年度) |
従業員数 | 3,622人 |
資本金 | 2,186億円(内政府保有株式1,016億円) |
平均年齢 | 38.4歳 |
初任給 | 大卒 20万5,000円(2021年4月実績) |
福利厚生・社内制度 | 健保組合、厚生年金など各種保険完備 |
過去の採用人数 | 2017年4月 131名 2018年4月 137名 2019年4月 118名 2020年4月 148名 2021年4月 88名 |
経営理念 | (使命) 中小企業による中小企業のための金融機関である商工中金にとって、お客さまの成長こそが私たちの成長です。 私たちは、お客さまの立場になって長期的な視点で企業を見つめ、創業以来培ってきた中小企業経営への深い理解力と先進的な金融手法をはじめとする総合金融サービス、そして、全国に展開するネットワーク力を最大限に活かし、企業のライフステージに応じたソリューションでお客さまの持続的成長を支援してまいります。 お客さまと分かち合った無数の喜びが、各地で実を結び、やがて日本の新たな力を創造していく、これこそが、私たち商工中金の使命です。 |
代表者 | 関根 正裕 |
事業内容 | 中小企業等協同組合その他主として中小規模の事業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融の円滑化を図るために必要な業務を営む |
事業内容
商工中金は通常の銀行ではなく、半官半民の政府系金融機関です。昭和初期の恐慌時、危機的状況に陥った中小企業を救済する目的で、政府と中小企業組合の共同出資により誕生しました。現在も、中小企業専門の金融機関として事業を展開しています。
商工中金は、主に下記のようなサービスを提供しています。
- 資金調達
お客様の多様な資金調達ニーズにあわせ、各種金融ソリューションを提案します。 - 資金運用
当座預金、普通預金、定期預金など各種預金を取り扱っており、ニーズにあわせて利用していただけます。 - 事業・経営サポート
お客様の事業を深く理解し、多様なソリューションで事業活動を総合的にサポートします。 - 海外進出サポート
お客様の海外進出検討段階から現地での事業拡大ニーズまで、海外拠点や現地の政府機関、提携金融機関とのネットワークを活かし、幅広くサポートします。
次に、商工中金での業務内容を見てみましょう。商工中金では、大きく営業店での業務と本部での業務に分かれます。
営業店 | 法人渉外、融資審査、融資管理、預金・為替 |
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本部 | 企画、営業推進、融資審査、調査、市場関連業務など |
更に営業店での業務は、営業部門と業務部門に分かれています。
このうち営業部門の「営業窓口」は商工中金の「顔」として、お客さまに関わるすべてを担当します。お客さまの現況から将来の在り方までを見通し、お客さまに合った最適な金融サービスを提供します。窓口業務を中心に営業を支える業務部門は、窓口サービス、営業窓口事務、営業企画という職種に分かれ、お客さまと直接応対する窓口業務、営業活動を支える一連の融資業務など、さまざまな職務におけるプロとして商工中金を支えます。
引用元:https://shochu-saiyo.com/work/
本部での業務は、営業店と連携をし、幅広いニーズに応えるための基盤づくりを主に担当しています。
IR読み解き!商工中金の売上・競合比較
ここからはIR資料や有価証券報告書を読み解いて企業研究しましょう。
売上・業績
商工中金の直近3年間の業績は下記の通りです。
経常収益
業務粗利益
収益はやや下降傾向です。しかし業務粗利益は増加となっており、経営としては順調であることがうかがえます。
2021年度は、コロナの長期化や物価高騰などによりあらゆる業界で先行き不透明な年となりました。そのような中、商工中金は円滑に資金供給をおこない、2021年度の貸出金が864億円増加しています。
コスト面では、人件費や物件費の減少の他に、合理化施策がしっかり成果に表れたことで前期比で64億円削減できています。
競合他社
商工中金はその特殊な業務内容から、同じ観点からの比較がしづらい会社です。しかし、商工中金の採用面接ではメガバンクとの差別化が聞かれる傾向にあります。そこで、ここでは三大メガバンク(三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)の特徴をみていきましょう。
まず、三大メガバンクと業績を比較すると下記のようになります
2021年度連結経常収益
業績はやはり三大メガバンクが圧倒的に高いです。
三菱UFJ銀行は3大メガバンクの中でも圧倒的に高い業績を誇ります。業界をけん引する存在であり、日本を代表する銀行であることは三菱UFJ銀行の大きな強みです。 また、三菱UFJ銀行はグローバルな事業展開にも積極的です。2021年度の地域別セグメント情報を見てみると、国内と海外での業績の割合は約半分となっています。 今後、三菱UFJ銀行は日本のみならずアジアを代表する金融機関を目指していく姿勢です。
みずほ銀行は、約2,400万人の個人顧客を有しています。日本国民の5人に1人がみずほ銀行の口座をもっているということになります。強固な顧客基盤を築いていることが分かりますね。
業界の動向
銀行業界は、2020年に業界全体の業績が落ち込みました。これは新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたことが大きな要因です。行動規制が発せられたことで消費が低迷し、金融分野全体がマイナスの影響を受けています。貸倒引当金(※)の計上が増えたことも収益が低下した原因となっています。
※貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)とは、貸倒損失によるリスクに備え、損失になるかもしれない金額を予想して、あらかじめ計上した引当金です。
引用元:https://freeway-keiri.com/blog/view/184
また、日本では2016年よりマイナス金利政策が導入されています。銀行の貸出金を増やすことで消費を促し、景気を良くすることがマイナス金利政策の狙いではあるものの、銀行としては収益性が低下したことで痛手となっています。
銀行業界においては、数年前よりネットバンクも注目されています。ネットで口座を開設できる手軽さや、店舗を持たない分手数料が抑えられている点がメリットとなっています。 ネットバンクがどこまで伸びてくるのかも今後着目する必要があるでしょう。
商工中金の強み
ここからは、商工中金の強みを見ていきましょう。
強み・特徴「中小企業に特化した金融ノウハウ」
商工中金は、誕生以来、80年以上にわたって中小企業専門の金融機関として事業を続けてきました。そのため、中小企業の金融に関するノウハウが培われています。 ノウハウを発揮することで様々な視点から各企業の経営の実態を把握し、オーダーメイド型のサービスを提供することが可能となっています。
財務情報だけでなく、業務や技術の内容、経営者の手腕や思いなど、経営の実態を把握しながら、企業のライフステージに応じたオーダーメイド型のサービスを提供しています。長期・短期のご融資のほか、財務改善や事業再生・経営改善、海外展開など、あらゆるニーズに対応するサービスをそろえています。
引用元:https://www.shokochukin.co.jp/about/company/feature/
また、地域の金融機関との連携も強化しており、企業の課題を解決するために必要であればコーディネーターとしてつなげるといったこともしています。このように、中小企業の成長と発展のために幅広いソリューションを提供しています。
商工中金の社風
ここからは、商工中金の社風を見ていきましょう。
社風「社員の意見や挑戦を歓迎する企業」
新卒採用サイトの社員インタビューをよんでいくと、行員全体に「中小企業を支えることを通じて日本の発展に貢献したい」という気持ちが根付いています。
商工中金には若手、ベテラン問わず担当者の意見を尊重するという文化がありますが、これは若手のうちから主体性をもってお客様と向き合うことや、ひとつの価値観ではなく多様性を大切にしている商工組合中央金庫だからこその風土といえるでしょう。
商工中金には担当者の意見を重視する文化があり、それが若手の活躍につながっています。もちろん最終決定は支店や本部が下しますが、あくまで融資の第一歩は営業窓口が「自分は融資や支援がしたい」と意思表示をすること。それが起点となって物事が動く。裁量権の源には、お客さまのために何とかしたいというそれぞれの強い思いがあるのです。
引用元:https://shochu-saiyo.com/about/strength/02.html
また、商工中金には社員の挑戦を歓迎する社風もあります。ひとりひとりがお客様に真剣に向き合っているからこそ、その社員の思いや取り組みを応援してくれる企業です。
商工中金は職員一人ひとりの個性や思いを理解して、前向きな取り組みを応援してくれる会社であり、これからもチャレンジを続けていきたいと思います。今後は知識やノウハウを積み重ねることで、担当業務におけるプロフェッショナルと呼ばれる存在になりたいと考えています。そして、これまでにない発想の商品や他の金融機関にはできない新しいサービスを創り出し、お客さまの成長に貢献していきたいです。
引用元:https://shochu-saiyo.com/people/y_hirota.html
商工中金の新卒採用
ここからは、2023年卒の新卒採用の応募条件や待遇について見ていきます。
募集要項
2023年卒募集要項は下記の通りです。職種は総合職ですが、海外勤務も含めて全ての支店での可能性があるフリーコースと、勤務地が限定される特定エリアコースがあります。併願はできません。
募集職種 | フリーコース 特定エリアコース |
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業務内容 | 将来にわたり、マネジメント業務や専門的な業務を含む業務全般に従事していただきます。 【営業店】 法人渉外、融資審査、融資管理、預金・為替 【本 部】 企画、営業推進、融資審査、調査、市場関連業務など |
応募資格 | 2023年3月に四年制大学又は大学院を卒業・修了見込みの方、および2019年4月以降に卒業、修了された方(就業経験のない方に限る) |
給与 | ・初任給 大卒 20万5,000円(2021年4月実績) ・昇給 年1回 ・賞与 年2回(6月、12月) |
諸手当 | 通勤交通費、昼食費補助、ライフプラン手当 など |
勤務地 | 【フリーコース】 全国の本支店および海外拠点 【特定エリアコース】 首都圏エリア:埼玉県・千葉県・東京都及び神奈川県内の営業所 近畿エリア:京都府・大阪府・兵庫県及び奈良県内の営業所 静岡エリア:静岡支店・浜松支店及び豊橋支店を勤務地とする営業所 名古屋エリア:名古屋支店・岐阜支店及び四日市支店を勤務地とする営業所 広島エリア:広島支店・福山支店及び岡山支店を勤務地とする営業所 福岡エリア:福岡支店・北九州支店・久留米支店及び佐賀支店を勤務地とする営業所 |
勤務時間 | 8:40 ~ 17:10 |
保険 | 健保組合、厚生年金など各種保険完備 |
求める人物像は明記されていませんが、採用サイトの人事メッセージでは下記のような発信がありました。
日本の企業のうち99%以上を占めているのが中小企業。 まさに日本経済の実体を成しているのは中小企業であると言っても過言ではありません。 そのような重要な存在である中小企業を、使命感を持ってサポートしていく。 高い志と仕事のやりがいを大切にしたい方にとっては、商工中金はまたとない活躍のフィールドになるでしょう。 (中略) 「社長の夢を叶えたい」「この会社の20年後はどうなっているのだろうか」「あの新しい技術は世の中をどのように変えていくのだろう」中小企業の持続的成長を支援するという「使命」を持った金融機関である商工中金では、職員皆がお客さまのことを思い、そしてお客さまの未来を想像しながら仕事をしています。
引用元:https://shochu-saiyo.com/message/
商工中金では中小企業を支援するために、お客様にしっかりと向き合い理解することを大切にしています。その中で、若手のうちから商工中金の仕事を通して、日本に貢献したい、経済を支援したいという志を持っている人を求めていることが読み取れます。
マニュアル通りの仕事ではなく自分でしっかりと考え提案ができるかどうかが重要です。
福利厚生
商工組合中央金庫は国から「プラチナくるみん」の認定を受けています。これは職員の子育てをより高い水準でサポートする企業と認定されると与えられる称号です。 具合的には下記の9つのサポートを行っています。特に短時間勤務制度は小学三年生までの子供を育てているひとが対象になっており、一般的な企業よりも長く取得できるようになっています。
- 母性健康管理
母体や胎児に悪影響が出ないよう、妊産婦は、医師の指導に基づき、通勤の混雑を避けるために始業時刻を繰下げたり、終業時刻を繰上げたりすることができます。 - 産前産後休暇
- 育児休業
- 試し出勤
産前産後休暇や育児休業等からの円滑な復帰を支援する「試し出勤」を利用できます。 - 短時間勤務制度
- 時間外免除措置
- 保育料の一次補助制度
- 看護休暇
- 半日休暇/時間単位休暇
- テレワーク制度
- 時差出勤制度
その他の社内制度
商工組合中央金庫では教育制度が整っており、特に入社2年目まで体系的な教育プログラムが準備されています。また、個人の能力を伸ばすための通信教育、資格取得の補助制度などが用意されています。
企業研究のポイント
商工組合中央金庫の企業研究では、まずは特殊な業務形態・内容を理解することがポイントです。理解するためには、実際に働いている人の声を聞くことが有効ということでセミナーなどに参加したという先輩が多かったです。直接質問する機会があれば、他社との比較や独自の強みなどを直接聞くことでよりリアルな実情を知ることができるでしょう。
「企業研究」で行ったこと、調べて役に立ったこと
まずは、メガバンク3との違いを明確にしておくこと。商工中金は中小企業専門の金融機関であるため、そこをアピールするとメガバンクとの差別化につながる。また、金融機関の中でなぜ銀行なのかということも明確にしておくべき。証券や保険でなくなぜ銀行か、ということも問われるのでしっかりと準備しておく必要がある。私の場合は、インターンに参加し、リクルーター面談に呼ばれ、行員と話す機会があったので、そこでしっかりなぜ銀行なのか、そしてなぜ商工中金なのかというところを伺い、面接で活かせるようにした。やはり、証券や保険よりも取引先の経営に関与できるというのは銀行の特徴の一つであるというのは、そういう場を通して学んだ。
「企業研究」で行ったこと、調べて役に立ったこと
メガバンクとの違い、地銀との違い、他の政府系銀行との違い(とりわけ日本政策金融公庫との違い)などは必ず調べておいた方が良いです。面接自体は基本的にオーソドックスなことが聞かれます。ガクチカや就活の軸、志望動機などを一通り聞かれました。また、なぜ金融か、なぜ銀行か、なぜ商工中金かということも聞かれたので、しっかりと考えておくことをお勧めします。また、中小企業のための銀行であるため、中小企業になぜ興味を持ったかを考えておく必要があります。自身の経験やキャリアビジョンと絡めながら話すことができると、良い評価につながると思います。情報収集としては、パンフレットを読んだり、HPを見たりする他、インターンにも参加しました。
「企業研究」で行ったこと、調べて役に立ったこと
メガバンク、地銀、信金、政府系銀行と、それぞれへの理解を深め、違いは把握しておいた方が良い。その中で「なぜ政府系金融機関か。」、「なぜ商工中金か。」というものは選考通して常に見られているという印象だった。BtoBがメインで、学生からの認知が少ないことからか、商工中金を知ったきっかけは多く問われた印象がある。さらの他の金融機関を絡めた志望理由というものは常にアップデートしていく必要があると思う。その際には「中小企業への思い」という点を併せて考えておくと良い。選考を進んでいくと、印象に残っている社員の事やキャリアプランなどを聞かれる。そこを意識し、出会った社員の名前や印象は記録していくと良いだろう。
ここで紹介したのは先輩が投稿してくれた口コミの一部です。更に詳しい口コミもあるので、ぜひ読んでみてくださいね。
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