「学生時代に力を入れたこと」の作り方|内定者の回答例25選付き
こんにちは。就活会議編集部の佐藤です。 新卒就活で合否を大きく左右する「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」。私自身、「特別な経験がない」と悩んでいましたが、自分の役割と行動に焦点を当てることで、決して目立つエピソードではないゼミ活動の経験が企業に評価されるガクチカになりました。 この記事では、ガクチカの基本的な作り方を徹底解説。加えて、大手企業の内定者の回答から見えてきた5つの共通点も伝授します。これらを意識することで、あなた独自の経験や強みが明確に伝わる、説得力のあるガクチカを作れるでしょう。
この記事は、就活会議の会員が投稿した体験記にもとづいて作成・編集をしています。就活会議の会員は現役の学生であることを確認しています。
まずは下準備しよう! 「学生時代に力を入れたこと」の見つけ方
ガクチカを作る際に、「そもそもエピソードが見つからない……」と悩む学生は少なくありません。学業はもちろん、アルバイトやサークルなど、多様な経験をしているからこそ、ガクチカに最適なエピソードを選ぶのは難しいものです。
ここではガクチカの見つけ方を解説します。自分ならではのとっておきのエピソードを自信を持って選びましょう。
なお、すでにガクチカで伝えるエピソードが決まっている人は、内定者が実践! 「学生時代に力を入れたこと」の効果的な作り方から読み進めましょう。
①学生時代を振り返って取り組んだ経験を洗い出す
まずは、学生時代の経験をすべて棚卸ししましょう。以下のリストに沿って、ノートやパソコンのドキュメントなどに箇条書きでまとめるのがおすすめです。
- 学業
- ゼミ活動・研究
- アルバイト
- サークル
- 部活動
- 留学
この際、日常生活の些細な経験も含めて問題ありません。たとえば、日記を書くことや読書、筋トレなどといった趣味や習慣もあわせて記録しておきましょう。「就活でアピールできるか」という視点にとらわれず、まずは思いつく限り書き出してみることが重要です。
自分の経験が可視化できたら、それぞれのエピソードをさらに深掘りしていきます。以下の具体例を参考に、それぞれの項目を考え、その理由も言語化しましょう。
- 学業→最も得意だった科目、最も苦労した/苦手だった科目、最も印象的だった科目など
- ゼミ活動・研究→研究テーマ、研究を進めるときに大変だったこと/課題、実行したこと、結果/成果、学んだことなど
- アルバイト、サークル、部活動、留学→始めたきっかけ、特に注力したこと、大変だったこと、結果/成果、学んだこと、自身のポジションなど
②志望企業に合わせてエピソードを選ぶ
「一つのガクチカをすべての企業の選考で使い回せば良い」と考えている人もいますが、これはおすすめできません。企業によって求める人物像や重視されるスキルは大きく異なるため、志望企業に合わせてエピソードを選び直すことが重要です。
たとえば、食品業界と一口に言っても、営業職や企画職ではコミュニケーション能力や交渉力、行動力などが重視される一方で、研究開発職では論理的思考力や粘り強さ、製造職では集中力や作業を正確にこなす力などが求められます。
このように、志望企業の業界や職種の特徴に合わせて、アピールする強みや経験を区別する必要があります。
そのためには徹底的な企業研究が必須です。企業のホームページや就活情報サイト、OB・OG訪問などを通じて「企業の求める人物像」や「その企業の業務内容」の理解度を深めましょう。
志望企業について理解を深められたら、以下の例を参考にし、志望企業に合ったエピソードを選びましょう。
- コミュニケーション能力が求められる場合 →相手の悩みを引き出し、本音を理解した経験や、異なる意見を持つ人の話を聞き、状況を整理した経験を選ぶ
- 協調性が求められる場合 →チームで共通の目標に向かって協力した経験や、異なる立場の人々と連携し、物事を成功させた経験を選ぶ
- 主体性が求められる場合 →自ら課題を見つけて改善・提案した経験や、率先して行動を起こし、成果につなげた経験を選ぶ
- 論理的思考力が求められる場合 →複雑な情報や状況を整理し、問題の原因を特定して解決した経験や、筋道を立てて説明することで相手に納得してもらえた経験を選ぶ
内定者が実践! 「学生時代に力を入れたこと」の効果的な作り方
エピソードを選出したら、次は実際にガクチカの文章を組み立てていきましょう。
前提として、就活での選考ではガクチカを含めたすべての質問を通じて、初対面の採用担当者があなたの能力や人柄、企業とのマッチ度を見極めます。そのため、自分のことをまったく知らない人に自身のこれまでの経験をわかりやすく伝えることが非常に重要です。
なかでもガクチカは自分ならではの経験や強み、志向性を存分に伝えられるチャンスです。これから解説する構成に沿って作成することで、初対面の人にしっかりと伝わるガクチカを作ることができますよ。
①結論
ガクチカに限らず、選考でのすべての質問において、必ず最初に結論を伝えましょう。これにより、採用担当者は学生がこれから話す内容の全体像を把握できます。
たとえば、「私が学生時代に力を入れたことは、7カ月間アメリカへ留学したことです」のように、エピソードの概要を簡潔に一文で述べましょう。
②目標設定
次に、その出来事において自身が定めた目標を伝えましょう。社会人として働くうえで、物事に取り組む前に目標を決めることは、成果を出すうえで不可欠です。「目的意識を持って物事に取り組める学生だ」と企業はプラスの印象を抱くでしょう。
「はじめに『〇〇』という目標を立てました」と伝えます。この目標は、周りから指示されたものよりも自主的に立てたものが望ましいです。「この経験を始める際に、どのようなことを頑張ろうと思っていたか」という視点で振り返ってみましょう。
もし「物事を始める際に目標を設定できていなかった」という場合でも、物事に取り組むなかで「もっと改善したい」「もっと頑張りたい」と感じたことであれば問題ありません。
③課題
その経験のなかで自身がぶつかった壁や課題について詳しく言及しましょう。単に「大変だった」と述べるだけでなく、課題を具体的に伝え、その原因を深く掘り下げるほど、この後に述べる「施策」や「結果・成果」の説得力が増します。
困難や課題とともに、その原因についても触れると良いでしょう。自分なりに分析した原因を伝えることで、「物事を客観的にとらえ、分析することができる」という論理的思考力のアピールにもつながります。
「結果がスムーズに出たため特に苦労しなかった」と感じている人もいるかもしれません。それは、課題を大変だと感じずに、何らかの努力を続けられたからだと言えます。その場合は、過去と現状のギャップを探してみましょう。
- (現状)アルバイトにおいて、マニュアル本が整備されていて新人もすぐに不明点が確認できる (過去)自分が新人のときは、マニュアル本は作られておらず先輩がいないときに非常に困った →「マニュアル本がなく、新人が不明点を確認できなかったこと」が課題になる
- (現状)大学で苦手だった授業のテストで、S評価を取れるようになった (過去)C評価しか取れなかった →「テスト勉強が足りず、C評価しか取れなかったこと」が課題になる
④実行した具体的な施策
次は、課題を解決するために実際におこなった行動や施策を具体的に伝えましょう。ここでも、周囲から指示されて受動的におこなったことではなく、自主的に取り組んだことを伝えるのがポイントです。
この施策を明確に伝えることで、あなた独自の視点や工夫、物事への取り組み方や考え方を企業にアピールできます。
- 時系列に沿って思い出す (例)ゼミ活動での研究発表 →発表2カ月前・1カ月前・2週間前・1週間前
- 周りに働きかけたことを思い出す (例)サークルでの話し合いで、周りの人に積極的に意見を聞いた
- 時間を費やしたことを思い出す (例)部活動で毎日2時間の朝練習を自主的におこなった
- 周りに感謝されたことを思い出す (例)大学でのグループワークで自ら書記を担い、議事録をメンバーに共有していたら、感謝された
実行した施策はできれば2〜3つ挙げてみましょう。複数の施策について言及することで、一つの施策のみに触れたときよりも、自分ならではの工夫や強み、価値観が際立ちます。
文章にする際は「そこで私は〇つの施策をおこないました。一つ目は~」とはじめに施策の数を提示し、その後に一つずつ詳しく言及するのがおすすめです。
⑤結果・成果
そして、結果や成果についてまとめましょう。これらは、数字を用いて定量的に表現することで、企業にあなたの成果が正確に伝わります。
- 〇カ月間で顧客満足度が〇%向上した
- イベントの来場者数が例年と比べて〇%増加した
- TOEICの点数が〇カ月前と比較して〇点上がった
ここで伝える結果や成果は、「全国大会優勝」などの大きなものでなくてもかまいません。企業は、結果や成果そのものよりも、その結果に至るまでの「過程」を重視しています。
もし「目立った結果が出ていないから、このエピソードはガクチカにふさわしくないかも」と感じた場合でも、自分なりの努力の過程を具体的に伝えられるのであれば、まったく問題ありません。
⑥その経験から学んだこと
最後に、その経験から得た学びやスキルについて言及して締めましょう。
- 周りの人との情報共有や助け合いが不可欠であることを実感した
- 結果が出るまで粘り強く努力し、最後までやり遂げることの大切さを学んだ
- 膨大なデータを効率的に収集し、論理的に分析する力を身に付けた
- 長期的な視点を持って計画を立て、見通しを持つことの重要性を理解した
ただ学ぶだけでなく、「これまでの経験から得た学びを、社会人として働くうえでどのように活かせるか」といった「再現性」を企業は重視しています。「この経験から得た学びを、志望企業のどのような業務で活かせるだろうか」といった視点を持つことで、企業に刺さるガクチカに仕上がります。
業界別! 内定者の「学生時代に力を入れたこと」の実回答6選
「文章を作成できたけど、このガクチカで選考を突破できるかわからない」と不安を感じる人もいるかもしれません。実際に内定を勝ち取った先輩たちは、どのようなガクチカを企業に伝えていたのでしょうか。
ここからは、就活会議に寄せられた情報をもとに、特に就活生に人気の業界で内定をつかんだ先輩たちのガクチカを紹介します。選考を突破するガクチカとはどのようなものなのか、内定者の実回答を見て理解を深めましょう。
①食品
食品業界は、食品の開発、製造、販売と多くの人が協力し、他部署間で連携して仕事を進めるのが特徴です。そのため、食品業界の企業にガクチカを伝える際は、チームワークや協調性を発揮した経験、周囲と協力して物事を成し遂げた経験を伝えましょう。
実際に選考通過した回答
〇〇部で抜本的な組織改革を行い、△△大会優勝に導いたことです。
当部は私を含め未経験者主体で強豪校との間には顕著な実力差がありました。そこで「個人力」で劣るチームには「組織力」で勝ることが重要と考え、組織改革を最上の課題と設定しました。その際に後輩を含む他部員の当事者意識の低さに直面しました。
必ずしも全員でやる必要があるのかという意見が出る中、チームで活動をする以上何らかの形で全員を巻き込んだ成果に拘りたかったため、まずは自身が人一倍の熱意と誠意を持って仕事に取組み、模範となることで彼らの当事者意識や焦燥感を刺激して自発的な参加を促そうと考えました。メンバーとの信頼構築を第一に奔走した結果、協力獲得に成功しました。
各々の得意分野に絞った仕事配分を行い、多様性を活かすことでレベルの高い結果に結実したのは感慨深かったです。この組織改革を行うことで芋づる式にチームの組織力や練習意識は向上し、目標達成に貢献できました。 (2021年卒 九州大学大学院 サントリーホールディングス 生産研究部門 内定)
この回答からは、困難な状況でも周囲と協力し、チーム全体で目標達成を目指す強い協調性が伝わります。
「後輩の当事者意識が低い」という課題に対し、自ら模範となり自発的な参加をうながした行動は、チームを牽引するリーダーシップを効果的に示しています。
食品業界で不可欠な、「組織を動かし、成果を出す力」を、具体的なエピソードを交えてアピールできている回答です。
②総合商社
総合商社は、幅広い分野の商品やサービスを国内外で取引する企業です。なかでも「5大総合商社」と呼ばれる三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅の5社は就活生に非常に人気の企業です。
総合商社で働くうえでは、多様な国籍や文化を持つ社内外の人々との連携が不可欠です。また、多くの大規模な案件に長期的に取り組むのが日常的です。そのため、コミュニケーション能力や信頼関係構築力、困難に直面してもあきらめず、目標達成に向けて行動し続ける粘り強さなどをガクチカを通じてアピールしましょう。
ここでは伊藤忠商事の内定者によるガクチカの実回答を紹介します。
実際に選考通過した回答
私はUSJでアルバイトリーダーとして、顧客満足度を78%から90%に向上させることを目標にした。
課題として、顧客対応の遅れによるクレームが発生していた。私は、顧客満足度を向上させるためには、従業員の個々の特徴を最大限に活かしたサービス提供が必要だと考えた。そこで、従業員が自身の特徴を発揮できる環境を整えるために、帰宅時間や休憩時間を活用し、彼らの自信や不安などについて対話する機会を積極的に設けた。
このアプローチにより、従業員の強み、弱みを理解し、適材適所な配置を実現することができた。その結果、経験やスキルに応じた専門知識を持つ従業員が適切な役割を担い、顧客はより高品質なサービスを受けることができ、満足度が向上した。目標は達成できなかったが、お客様からの手紙やコメントを通じて、私たちの努力が報われたと感じた。
今後も、顧客の視点に立ち、従業員の個性を活かし続けることを大切にしていきたい。 (2025年卒 立命館大学 伊藤忠商事 総合職 内定)
この回答からは、顧客満足度の向上に対し、従業員一人ひとりとの対話の機会を積極的に設けるという地道な努力を継続したことが明確に伝わります。
この行動から、商社で不可欠な信頼関係構築力や粘り強さが備わっていることを、採用担当者に効果的にアピールできるでしょう。
この経験で得た「顧客の視点を立ち、従業員の個性を活かし続けることの重要性」という学びは、商社で働くうえでも顧客視点で主体的に行動できる姿を想起させます。
③IT
科学技術の発展にともない、IT業界は年々、新卒の就活生の間で人気が高まっています。技術の進化が非常に速く、常に新しい知識やスキルが求められる業界であるため、ガクチカでは学習意欲や好奇心、主体性などを伝えられるとより良いです。
ここでは、例年就活生から高い人気を誇るNTTデータの内定者によるガクチカを取り上げます。
実際に選考通過した回答
サークルの企画運営長としてイベントの刷新による参加率向上を達成したことである。
所属していたサークルは約30人の中規模なサークルであったが、合宿やスノボ等の毎年恒例であったイベントへの参加数が約10人であり、繋がりが薄いという課題があった。そこで、参加率を向上させるべく4名のメンバーと共に新たな企画運営チームを立ち上げた。課題の原因解明の中で参加率が低いメンバー数人に意見を聞くと、「内容が毎年同じでつまらない」という声が多く挙がったため、イベント刷新として納涼船などの新たなイベントの提案を行った。
チームの一体感を作りながら議論を重ね、イベントを実行した結果、参加者を25人程に増やすことができた。 (2025年卒 東京工業大学大学院 NTTデータ SE・コンサル・営業コース 内定)
この回答では、IT業界で重視される主体性を効果的にアピールできています。
この学生は「イベントの参加率が低い」という課題に対し、「新たな企画運営チームを立ち上げる」という主体的な行動で解決に乗り出しています。これは、ITエンジニアやコンサルタントが顧客の潜在的な課題を見つけ、自らプロジェクトを推進する姿勢に通じる資質です。
最終的に参加者を25人に増やしたという具体的な成果は、その課題解決の有効性を裏付けていると言えるでしょう。
なお、IT業界について知識を深めたい人は、以下の記事も確認してみましょう。IT業界の業種・職種や向いている人、選考対策を詳しく解説しています。
3分でわかるIT業界|職種・将来性・向いている人など徹底解説④薬品・化粧品
薬品・化粧品は日常生活に密接にかかわる商材のため、興味を持っている人も多いでしょう。これらの業界では人々の健康や生命にかかわるため、責任感や誠実さが求められます。
また、特に開発・研究職において新たな成分や製品の開発は試行錯誤の連続であるため、すぐに結果が出なくてもあきらめずに取り組み続ける粘り強さや探求心が重要視されます。
ここでは化粧品を中心に幅広い事業を展開しているマンダムの内定者によるガクチカを見てみましょう。
実際に選考通過した回答
研究活動においてリスク管理の徹底に全力で取り組みました。
想像とは異なる結果が得られることが多い研究を迅速かつ正確に行うために、まず最終目標を明確に決定し、目標に向けた長期的なスケジュールを設定しました。目標は明確でなければ達成が困難であると考えており、目標に具体性を持たせることで最適な行動を選択しやすくなり、また研究意欲の向上にも繋がると考え、尽力しました。
さらに、実験で得られる可能性のある結果を書き出し、そのすべての結果に対して次の対策を考えました。私はこの考え方を「リスクツリー」と名付けました。まず望ましくない事象を定義し、それに繋がる因果関係をツリーの形で視覚化し分析することで、様々な不具合の発生条件を把握でき、その要因を洗い出すことで事前にリスクを回避することが可能になると考えました。
これらの考えを取り入れ尽力した結果、国内の学会で研究内容を公開することができました。 (2022年卒 関西大学大学院 マンダム 研究職 内定)
この回答は、薬品・化粧品業界の研究職で求められる責任感や粘り強さ、探求心を明確に示しています。
特に「リスクツリー」という独自の考え方を考案し、起こり得る結果の施策を事前に考えたという行動は、この業界で求められる高い責任感を効果的にアピールできています。
「まず最終目標を明確に決定し、長期的なスケジュールを設定した」ことは、試行錯誤の連続である研究開発において、結果を出すために不可欠な粘り強さや計画性があることの証明にもなっているでしょう。
⑤銀行・証券
銀行業界は、預金や融資など、個人や企業のお金のやり取りをサポートする業界です。安定性や給与の高さが人気の理由の一つでしょう。一方で証券業界は、株式や債券などの売買を仲介したり、企業の資金調達のサポートをしたりする業界です。
これら金融業界は、複雑な市場の動きを分析し、顧客に最適な提案をしたり、顧客の大切な資産を扱う責任の大きい仕事をしたりする業界です。そのため、論理的思考力や誠実さ、責任感が求められます。
ここでは、みずほフィナンシャルグループの内定者によるガクチカを紹介します。
実際に選考通過した回答
私は学生時代、大学の全バドミントンサークルが参加できる大会を議長として主催した。
この大会はコロナの影響によって2年間開催できておらず、スポーツを通じた学生交流の場を復活させたいと感じていた。しかし、この大会には全6サークル中、3サークルしか参加していなかった。そして、その理由として初心者の多いサークルでは大会に参加する人が少ないことが分かった。これを解決するため、2つの施策を行った。
1つ目は初心者リーグの作成だ。大会を実力ごとに3つのリーグに分けることで初心者の参加ハードルを下げた。
2つ目は参加者抽選の実施だ。協賛企業と交渉し、入賞者だけでなく、参加者が抽選で景品をもらえるようにすることで、参加への動機付けを行った。
この結果、2年前と比較して参加者は150人から200人に増え、アンケートによる満足度も60%から85%に上がった。このように、私は周りの人を巻き込みながら、主体性を持って行動できる。 (2024年卒 みずほフィナンシャルグループ 基幹職(総合) 内定)
サークルの参加数が少ない原因を深く分析したうえで、具体的な施策を実行できている点が素晴らしいです。また、成果を定量的に示しているため、この学生が実行した施策が非常に効果的だったことが読み取れます。
さらに選考対策として、議長を務めたきっかけについて言語化しておくと、より良いアピールになるでしょう。
⑥広告・出版・放送
広告・出版・放送などのマスコミ系の業界も、就活生に非常に人気の高い業界です。これらの業界は、多くの人々にさまざまな影響を与えられる点が大きな魅力の一つでしょう。
選考では、発想力や好奇心だけではなく、コミュニケーション能力や協調性、粘り強さも求められます。これは、働くうえで社内外の関係者と円滑に連携したり、売上や効果といった目標達成に向けて粘り強くプロジェクトに取り組む姿勢が重要だからです。
今回は、ソニー・ミュージックエンタテインメントの内定者によるガクチカの実回答を見ていきましょう。
実際に選考通過した回答
○○国でマングローブ林の植林を行った際、現地の方と協力して目標を達成した経験について話します。
私達は○○の拡大を目標としていましたが、○○な状況が目標の達成を困難なものにしていました。加えて、方言の強い地域であったことから、現地の方とコミュニケーションを図ることに苦労をしました。この課題を解決するため、私はチームの交渉役として現地の方に話をすることになりました。話して伝えることが難しかったため、得意の絵で表現したり、ジェスチャーを使うなどし、環境破壊の現状や活動の理由などを説明しました。
その結果現地の方と協力し、○○を解消する方法を編み出すことができました。さらに、水質改善活動を始動させることができ、目標を達成しました。
この経験から、1回では変化は生まれないことも、継続×努力によって結果に結び付くことを実感しました。 (2024年卒 ソニー・ミュージックエンタテインメント 総合職 内定)
この回答からは、困難な状況下で粘り強く現地の人とのコミュニケーションを工夫し、課題解決に貢献した経験が伝わります。特に、言葉の壁があるなかでジェスチャーを駆使したという具体的な行動から、問題解決への主体的な姿勢や試行錯誤する力を示せています。
選考対策として、「チームの交渉役を担当した背景・理由」や「この活動を継続できた理由」など、各場面での自身の感情や思いを整理しておくと、さらに良いでしょう。
エピソード別! 内定者の「学生時代に力を入れたこと」の実回答14選
「自分のこれまでの経験から、どのようにガクチカを作成できるのか知りたい」と感じている人に向けて、エピソード別に人気企業の内定者によるガクチカを紹介します。内定者の経験と自分の経験と照らし合わせて、自身のガクチカの完成度を上げましょう。
①サークル
サークル活動は基本的にチームでおこなう活動のため、チーム全体で取り組んだことではなく、自分自身が主体的に取り組んだことに着目することが大切です。
実際に選考通過した回答
私は、所属するサークルのメンバー全員が練習に夢中になり、楽しみながらチーム目標を達成できるような環境作りに努めました。私は、チーム内で意見が分裂した時、積極的に話し合う機会を作り、状況を整理しました。
そして、チームで目標を決めた後、目標を達成するための個人の行動指針をチーム全体に共有しました。
また、全員の士気を上げるために、努力をすれば学年を問わずに、花形で踊れる平等なルールを設けることが重要なのではないかと考えました。
そして、個人個人を理解して、全員が強みを発揮して、楽しく場所を交互して演舞できる仕組み作りをすることを工夫した結果、全員の大会に向けてや普段の練習の士気が上がり、チーム目標を達成することができました。 (2021年卒 同志社大学 味の素 コーポレート部門 デジタル・情報システムコース 内定)
この回答では、チーム全体の目標達成のために、メンバー一人ひとりを尊重し、仕組みを整えた主体的な行動が示されています。
特に、意見の対立を調整した行動と、平等なルールを設けてモチベーションを高めた工夫は、組織を円滑に動かす協調性やリーダーシップを効果的にアピールできています。
入社後も多様なメンバーをまとめ、組織の士気を高めながらプロジェクトを推進できる人材として、採用担当者に高く評価されるでしょう。
実際に選考通過した回答
所属するテニスサークルにおいて、○○主催団体戦○○大会優勝を目指したことです。
私たちのチームは8年間優勝から遠ざかっており、優勝することが悲願でした。昨年度も準決勝で敗退した際、相手チームとの実力差や自チームの試合経験不足を痛感し、練習量・練習内容の改善をすることによって個々の実力のレベルアップを図り、優勝という目標を実現するために取り組みました。
二ヶ月という決して長くない準備期間を精一杯有効利用し、各々が自己の成長に成長に努めた結果、今年度において団体戦優勝を8年ぶりに果たすことができました。 (2025年卒 名古屋大学大学院 伊藤忠商事 総合職 内定)
「団体戦優勝を8年ぶりに果たした」という快挙は、この学生の頑張りがあったからこそでしょう。素晴らしい成果を読み手もしっかりと理解できます。
さらに良くなる点として、具体的な施策内容やそのなかで自身が工夫した点についても言及しておくと良いでしょう。もう一歩深掘りして自身の考えや行動を明確にしておくことで、選考でも自信を持って面接官からの質問に答えられるようになります。
②アルバイト
アルバイト経験は、非常に多くの学生がガクチカのテーマとして取り上げます。そのため、ほかの学生との差別化が難しいことも事実です。人気企業の内定者はどのようにアルバイト経験をガクチカとして伝えていたのか、見ていきましょう。
実際に選考通過した回答
大学入学当初から続けている鳥貴族でのアルバイトで、業務効率化と顧客満足度向上に努めた。
当初、接客の際に提供ミスやレジの打ち間違えなど従業員の初歩的なミスが目立っていた。状況改善のため、毎月従業員同士でミーティングを行うことを店長に提案した。ミーティングを通して、「業務に関する情報の共有ができていないこと」がミスの原因として特定できた。そこで、顧客満足度を2.7から3.5に向上させることを目標に、お客様の声が従業員に届く仕組み作りを行った。
具体的には、2つの施策に取り組んだ。1つ目は、接客時にミスしやすい箇所の聞き取り調査を行い業務マニュアルを作成すること。2つ目は、顧客アンケートの貼り出しだ。
その結果、業務の際の課題が共通認識となり、業務の効率化と口コミサイトでの顧客満足度を3.7に向上させることができた。
この経験から、常に問題意識を持ち、現状改善に向けて自ら取り組むことの大切さを学んだ。 (2023年卒 中央大学 日本ハム 総合職 内定)
この回答では、主体性や論理的思考力、課題解決力など、さまざまな強みをアピールできています。
ミーティングを通じて「情報供給の不足」という根本的な原因を特定し、さまざまな施策を主体的に実行したことは、採用担当者に「入社後も現状に満足せず、課題を見つけ、具体的な施策で課題解決できる資質がある」と感じてもらえるでしょう。
成果に関しても具体的な数字を述べており、この学生が実行した施策の有効性を裏付けています。
実際に選考通過した回答
個別指導塾のアルバイトで独自の指導法を取り入れたことです。
当初の課題は生徒ごとに理解度に差があることであり、原因は個別指導塾であるにも関わらず、全生徒に同じ教材を用いた指導体制が取られていることだと考えました。個別指導塾の強みは個々に寄り添った指導が受けられる点だと考え、生徒のレベルに応じた2つの対策を講じました。
1つ目は「教材の選定」です。塾指定の教材は解説が詳しく良い点もあったため、既存の教材に加えてレベル別の教材を取り入れることで、個々に適した指導を実現させました。
2つ目は「確認テストの実施」です。定期的に生徒の理解度を確認し、教材や指導法の改善を繰り返しました。
その結果、9人の受験生を第一志望校に合格させることができました。この経験から、既存の体制の良いところは活かし、新しい解決策を組み合わせて課題にアプローチすることで、より良い成果に結びつけられるということを学びました。 (2024年卒 みずほフィナンシャルグループ 基幹職(総合) 内定)
この例文は、課題の原因として「生徒の理解差」だけでなく、「全生徒に同じ教材を用いていた」と一歩踏み込んで原因を考えている点がポイントです。深い洞察力や、根本原因を探ろうとする姿勢がよく伝わります。
また、生徒の習熟度に合わせて独自にテストを作成している点から、主体性や行動力も強くアピールできています。
③部活動
部活動に所属し、高い目標に向かって粘り強く努力を重ねた人も多いでしょう。部活動経験からは、忍耐強さや自主性、目標達成意欲などさまざまな強みをアピールできます。
実際に選考通過した回答
私はラグビー部のマネージャーとして活動する中で、怪我をした選手のリハビリを支える活動に学生スタッフと共に挑戦しました。
当初部活動には選手が80名、大人のスタッフが2名、学生スタッフが5名おり「1部リーグ3位」を目標として掲げていましたが、選手のモチベーションに差がありました。そこで、いくつか考えられた原因の中でも怪我をした選手のモチベーションの低下に着目し、自分達に出来ることはないかと大人のスタッフに相談したところ、選手が怪我をした際のリハビリの1部を任せて頂くことなりました。
この活動で、選手と信頼関係を築くことが怪我の再発予防になると考え、量と質の観点から任せたいと思われる環境作りに注力しました。具体的には、量に関して1人暮らしを始め、誰よりも早く練習に行き準備をすること、質に関しては、筋力量を測れる機械を使用し、リスクをデータで伝えること等を実施しました。
この結果、徐々に選手から相談を持ち掛けて貰えることが増え、選手の当事者意識を高めることに繋がりました。 (2024年卒 早稲田大学大学院 日本ハム 総合職内定)
この回答は、この学生が課題を特定し、その解決のために自ら行動範囲を広げた自主性を示しています。
特に「量」という献身的な行動と「質」というデータにもとづいた論理的なアプローチという多角的な観点からアプローチをおこなっている点が、この学生ならではの工夫と課題解決力を際立たせています。
実際に選考通過した回答
私が所属していた〇〇部で副部長を務めた年、他大学と組んでいる連盟が80周年を迎えました。そこで私は各大学のOBも含めた80周年記念合宿を企画し、幹事として運営しました。
その中でも特に大変だったことは、年齢の離れたOB達との予定の調節と、関東圏の連盟校との連絡です。OB達は平均年齢60代で、私たちとは予算や行きたい場所など大きなずれがあります。予算に関しては修学旅行で使われる宿を利用することで抑え、当日の行動に関しても自由にすることで各ニーズに応えました。
加えて交流がメインであるので、食事は必ず一同で取ることをルールにしました。また関東圏に住む学生たちとは、顔を合わせて話をすることはなかなかできませんでしたが、テレビ電話を使うことで密に連絡をしました。
綿密に計画を立てた結果合宿は成功し、私自身も状況を俯瞰する力がついたと感じています。 (2019年卒 大阪市立大学大学院 山崎製パン 生産技術職 内定)
この回答は、高い調整力やコミュニケーション能力、全体を俯瞰して最適な解決策を導き出す計画性など、多様な強みを伝えています。
合宿参加者に楽しんでもらうために、OBと学生間のニーズのズレを調整する具体的な施策をおこなった点から、物事に対して主体的に取り組む姿勢を採用担当者にアピールできています。
④ボランティア
ボランティア経験は、利他的で誠実な印象や行動力の高さをアピールできます。活動内容が多種多様であるため、背景や状況の説明を簡潔に伝えることが重要です。
実際に選考通過した回答
私が学生時代に頑張ったことは、海外NPO団体が主催するサマースクールで行ったワークショップです。
新たな知識を得ることの面白さを届けたいと考えていた私は、海外NPO団体が主催する高校生向けのサマースクールの運営に携わりました。
与えられた業務は、参加者の日常生活のサポートが主でしたが、自分からも何かを発信したいと考え、研究分野に関するワークショップを開催することを決めました。研究分野について知識の少ない参加者に対し、慣れない英語で説明することは大変でしたが、他のメンバーのサポートもあり活発な議論がなされる有意義な場を創り出すことが出来ました。
常に参加者の視点に立ち、どうやったら面白くなるか・興味をもってもらえるかを考え続けたことが、たくさんの意見が飛び交うことにつながったと考えます。
このように、現状に満足せず、常により高きを目指すことを、他の物事を行う際も意識しています。 (2021年卒 東京農工大学大学院 マルハニチロ 総合職 内定)
この回答では、与えられた業務に留まらず、自らの専門性を活かしてワークショップを企画・実行した経験から、主体性やチャレンジ精神を説得力を持ってアピールできています。
また、参加者の視点に立って内容を工夫し、議論を活発化させた点から、入社後も顧客のニーズを的確にとらえ、課題解決につなげられる企画力があると評価されるでしょう。
実際に選考通過した回答
交流ボランティアで、日本語を学ぶ留学生にとって話しやすい相手になれるように努めました。
日本語の勉強を始めたばかりの留学生は日本語が通じず、苦労する事も多くありました。その中でも、どうしたら留学生が日本語での会話を楽しんでもらえるのかを自分の英会話の経験も交えながら考えました。
具体的には、言葉だけでなく相槌やジェスチャーなど非言語コミュニケーションを意識的に心掛けたり、実際に私が日本語教育の授業を自主的に受講して、留学生が日本語を学ぶプロセスを知ったり、改善の材料にしました。さらに、母国語ではない言葉を話すのは緊張するため、留学生がリラックスできるような環境づくりにも努めました。
その結果、留学生に会うたびに、積極的に話そうという気持ちが毎週伝わってきて、会話も広がるようになりました。
この経験から、常に相手の立場に立って考え、相手の状況や求めているものを汲み取る力を得る事ができました。 (2019年卒 南山大学 フジパングループ 事務系 内定)
この回答は、「留学生が話しにくい」という課題に対し、単なる優しさではなく、論理的な分析と努力で対応したことがよく伝わります。
「非言語コミュニケーションの活用」や「日本語教育の授業を主体的に受講」という行動からは、課題の本質を見極め、解決のために必要な知識を自ら補う学習意欲を感じ取れます。
これは、入社後も顧客の潜在的なニーズや悩みを深く理解し、信頼関係を構築できる高いホスピタリティ精神や傾聴力があると評価されるでしょう。
⑤ゼミ活動
ゼミや研究の経験は、アルバイトと同様で、ほかの学生とエピソードが被りがちです。だからこそ、具体的な行動を通じて「あなたならでは」の価値観や人柄を伝えることが大切です。
実際に選考通過した回答
学生時代に力を入れたことは、ゼミでリーダーを引き受けたことです。今までリーダーの経験はありませんでしたが、引っ込み思案の自分を変えるチャンスだと思い、引き受けました。
やるからには良い発表にしたいと考えていましたが、グループワークを始めると不安が浮かび上がりました。専門知識不足ということもあり、資料の作成が上手くいきませんでした。
そこで私はいくつかのことをしました。1つ目は、教授や研究室の先輩の方に積極的にアポを取り、アドバイスを求めました。2つ目は、アドバイスを基に分担を決め野外調査や文献調べを行いました。分担はメンバーと積極的にコミュニケーションを取り、特性を見極めて決めました。3つ目は、メンバーに声をかけ意見を交換する時間を増やすことで、意思疎通を図りました。
全員での作業と議論の場を増やした結果、担当の教授に‘分かりやすい発表’という評価を頂くことができました。 (2022年卒 静岡大学 山崎製パン 営業職 内定)
この回答の「引っ込み思案の自分を変えるためにリーダーを引き受けた」という動機からは、自己成長への強い意欲や行動力が明確に伝わります。この行動は、入社後も困難から逃げずに前向きに挑戦できる姿勢を採用担当者に示せるでしょう。
また、「専門知識不足」という課題に対し、教授や先輩を頼る主体的な学習姿勢を示し、さらにメンバーの特性を見極めて分担を決め、議論の場を増やした行動は、個を理解してチームのパフォーマンスを最大化する調整力があることをアピールできています。
この経験は、周りを巻き込みながら成果を出せる人材として、採用担当者に高く評価されるでしょう。
実際に選考通過した回答
そのような経験は、ゼミ長としての活動だ。というのも、私のゼミではゼミ生の熱量に差があった。議論中に話す人は半分程度で、複数回話すのは毎回同じ3人であった。私はゼミ生全員に学びを得て欲しかったため、次の2つを行った。
1.発言しづらかった環境の改善 2.熱量を上げるための環境整備
1に関しては、まず各ゼミ生にゼミの不満を聞いた。その結果、忙しい人はゼミ前の共有知識が足りず、下級生は上級生に対して発言する自信がないために、議論中に発言しづらいことが分かった。そこで、ゼミの制度を変更し、忙しい人も自信がない下級生も発言しやすい環境にした。
2に関しては、1人1人にゼミの具体的な目標を決めてもらった。また、ゼミ長のやる気が周囲に伝わると考え、私自身が人一倍ゼミに熱量を向けた。
これらにより、後期のゼミでは毎回全員が最低1回は発言するようになり、複数回話す人も10人程度に増えた。 (2021年卒 京都大学 味の素 Sales/Businessコース 内定)
この回答は、ゼミ長として組織の課題を分析し、具体的な施策によって解決したプロセスが明確に理解できます。
「ゼミ生の熱量に差がある」という事実だけで終わらせず、ゼミの不満を自ら聞き、「知識不足」と「自信のなさ」という根本原因を突き止めている点から、主体性や論理的思考力を効果的にアピールできています。
「複数回発言する人が3人から10人に増えた」という明確な結果は、この学生の強みであるリーダーシップや行動力を強力に裏付けていると言えるでしょう。
⑥留学
留学経験は、多くの学生にとって貴重なガクチカのテーマです。
しかし、「留学に行った」という事実だけでは、採用担当者には響きません。「その経験を通じて何を学んだか」「自分自身がどのように成長したか」「それを企業でどう活かせるのか」まで明確にしたうえで、具体的に伝えることが重要です。
実際に選考通過した回答
留学先の〇〇〇で、自身の強みである協調性と行動力を掛け合わせ、率先してクラスの課題解決に取り組んだ。
私のクラスでは、学生の語学レベルより低い教材が使用されていた。それに対して不満を抱いたクラスメイトが授業をボイコットし、図書館で勉強するという事態に陥った。この状況の影響で、学びや絆を深める機会を失ってしまった。
そこで、夕食を通じた話し合いの場を設け、多様な国籍のクラスメイト間で意見交換を行いつつ、絆を深めた。そして、仲間と意見書をまとめ上げ、大学側に提出した。
その結果、教材の見直しが行われ、適切なレベルの教材が使われるようになった。そして、クラスメイトが再び教室に全員揃い、学びの最大化につながった。
この経験で培った、協調性と行動力を掛け合わせた課題解決力で、入社後も持続的に貢献していきたい。 (2025年卒 大阪大学 三菱食品 アドバンス職(総合職)職 内定)
この回答は、留学という環境で発生した集団の課題を、主体的な行動や協調性によって解決した経験を明確に示しています。
授業ボイコットという危機的な状況で、自ら話し合いの場を設け、意見書をまとめ上げた行動力は、問題解決のための強い当事者意識が伝わるでしょう。
また、多様な国籍のクラスメイトの不満や意見を尊重し、夕食という場を活用して絆を深めながら意見をまとめた過程は、異なる文化や価値観を持つ人々の間で合意形成を導ける高い調整力を感じられます。
この経験は、社会人としてグローバルな環境で困難を乗り越え、成果を出せる能力を採用担当者に明確にアピールできるでしょう。
実際に選考通過した回答
私は大学2年時に海外留学を経験し、外国語能力や異国文化を学び、自分自身の知見を高めることができた。
将来的には日本だけではなく、海外でも活躍できる人材になりたいとの思いから、極力日本語を使わない、海外の方と積極的にコミュニケーションを取ることを意識し、生活を継続した結果、留学前○点だった英語試験の点数を○点まで伸ばすことができたほか、異文化への理解も進み、自らの視野を広げることができた。
このように、自らの問題意識のもと、目標に向けて努力する姿勢は社会人になって以降も活かせると考えている。 (2025年卒 デロイトトーマツコンサルティング コンサルタント職 内定)
この例文では、留学の目的が明確に伝えらえれている点が良いです。目的意識や具体的な意図を持って物事に取り組める人であることが伝わります。
また、この経験から得た「目標に向けて努力する姿勢」という学びを言語化し、社会に出てからも活かせる汎用性の高いスキルであることを示せています。
⑦長期インターン
学生のなかには大学時代からインターン生として社会人と同様の実務経験を積み、企業に大きく貢献している人もいるかもしれません。
長期インターンの経験をガクチカとして効果的に伝えるためには、業務内容の羅列で終わらずに「その業務を通して何を得て、どう成長したのか」を具体的に示すことや、先輩社員から指示されたことだけをこなすのではなく、主体的に考えて行動したエピソードを選ぶことが重要です。
実際に選考通過した回答
様々な経験に私は力を入れてきた人間ですが、最も力を入れたのはファイナンスの長期インターンの経験です。15人の学生インターンを束ねるリーダーとして、資金調達案件の案件成功率の向上に努めました。
課題として、各学生の問題意識を共有できていないこと、そもそもインターンに対するモチベーションが低いことが考えられたので、案件後に学生を集めて反省会を主催したり、スムーズな業務が行えるようにプロトタイプの作成を行いました。
これにより、主体的に成果にこだわるような環境を生み出すことができ、案件成功率を10%向上することができました。 (2024年卒 伊藤忠商事 総合職 内定)
この回答では、まずリーダーとして何人をまとめていたのか、リーダーとしての立場とそのなかで責任感を持って取り組んだことが明確に伝わります。
課題を分析し、実行した施策の結果、どのような成果が出たのか非常にわかりやすいです。
実際に選考通過した回答
長期インターンシップでSNSマーケティングを担当したことです。
社内にSNS運用の経験者や画像のクリエイティブ経験者がいなかったため、ゼロからのスタートとなりましたがSNSについてゼロから学ぶため、同僚と協力して、SNSに強い他社の投稿傾向の分析と、SNS講習への参加を積極的に行いました。学んだことをもとに投稿作りに励み、毎日の投稿と投稿結果の分析、改善を繰り返しました。
その結果、フォロワー数を5千人から1.9万人に伸ばし、売上増加に貢献することができました。
この経験から学んだことは、分析の重要性と、地道な努力をコツコツと続けることの重要性です。同業他社様の分析や、投稿結果の分析など、常に分析を行っていましたが、分析した結果は根拠となり、改善を活かすことに繋がるにはもちろん、他の人に話す際にも重要な根拠となることが分かりました。
また、SNS運用は想像以上に地道な作業が多く、結果に繋がっているという感覚が得られないこともありましたが、毎日信じて小さな努力を継続したことで、大きな結果に繋げることができました。 (2022年卒 中央大学 山崎製パン 総合職 内定)
この回答は、実務経験のなかで主体性や分析力を発揮して成果を出した経験を明確に示しており、即戦力となる資質を強くアピールできています。
社内に経験者がいない「ゼロからのスタート」という状況で、他社分析や講習への参加を積極的おこなった行動からは、自ら課題を設定し、解決に必要な知識を貪欲に吸収する高い学習意欲と主体性が感じられます。
「フォロワー数を5千人から1.9万人に伸ばし、売上増加に貢献」という明確な成果と、「地道な努力をコツコツと続けることの重要性を学んだ」という結び付きは、明白な成果を出すための粘り強さを裏付けていると言えるでしょう。
内定者の「学生時代に力を入れたこと」に共通する5つのポイント
- 課題の原因を深く分析している
- 課題解決の施策を戦略的に考えている
- 自身の役割や貢献したことを具体的に示している
- 自分ならではの視点や工夫を明確に示している
- 周囲を巻き込む力や粘り強さをアピールしている
就活会議に寄せられたデータを分析すると、内定者のガクチカはこれまで紹介した文章構成で組み立てられているだけでなく、上記の5つの共通点があることがわかりました。
ここから一つずつ詳しく解説するので、自分が作成したガクチカを練り上げる際の参考にしてください。
①課題の原因を深く分析している
内定者のガクチカでは、目標達成のために現状と目標のギャップに目を向け、課題分析を深くおこなっています。
実際に選考通過した回答
ビジネスコンテストに出場し、優秀賞を受賞したことです。
私はゼミの活動の一環でビジネスコンテストに3回出場したが、1,2回目のビジネスコンテストでは受賞することができませんでした。この結果を変えていきたいと思ったため、私は3つのことを重視した。
一つ目は、テーマの解釈を正確に読み取ることです。テーマを都合の良い解釈で終わらせず、「なぜ企業はこのテーマを出したのか」「このテーマの背景にどのような課題があるのか」を考え、「定量的」「定性的」の二つを明確に表し、テーマの解釈を行った上で明確な目標を決めました。
二つ目は、ペルソナを設定したことです。1,2回目のビジネスコンテストでは、広範囲にターゲットを設定していましたが有効なアプローチ方法を絞ることができないため、よりプランを訴求できるペルソナ設定を採用し、家族や友達へのヒアリングをもとに架空の顧客を設定しました。また、企業側の理想顧客を想像するのではなく顧客の視点に立って考えることにより、「顧客にとって求めているものは何なのか」という顧客価値をもとにアイデアを決めることができました。
三つ目は、企業様の記憶に残りやすい資料を心掛けたことです。発表時間10分という時間で、プランの提案を行う必要がありました。そこで私たちのチームは情報を多く伝えずに、審査員が理解しやすく記憶に残りやすいような提案を行いました。
「余白のある資料」「ゆっくり話す」「ジェスチャーを用いて明るく」この3点を意識し、プレゼン練習を欠かさずに行いました。
1,2回目で結果を残すことができなかった悔しさ過去に捨てず、今まで培った経験を活かすことによって結果を残すことができました。 (2024年卒 日本たばこ産業 総合職/たばこ営業 内定)
この回答では、「1・2回目のビジネスコンテストでは受賞できなかった」という自身の失敗経験に対して、単に「結果が出なかった」で終わらせていません。
そして、たとえば一つ目の施策について「なぜ企業はこのテーマを出したのか」「このテーマの背景にどのような課題があるのか」という出題側の意図や根本的な背景まで深掘りして分析している点から、課題の原因を深くとらえる能力を感じ取れます。
この学生は3つの施策をおこなった結果、3回目のビジネスコンテストでは結果を残すことができました。このように根本の原因を探ることで、効果的な施策を考えたり、本質的な課題解決につながったりするのです。
②課題解決の施策を戦略的に考えている
課題解決のために単なる努力ではなく、戦略的なアプローチを取っている点も共通点の一つです。もちろん課題解決のために努力できる姿勢は素晴らしいですが、より良い成果を出すためには努力の「質」も重要です。
実際に選考通過した回答
トライアスロンの日本選手権、インカレ、国体での優勝のために日々取り組んだことです。
私の大学にはトライアスロン部がなく、平日の練習は個人の裁量で行なっていました。練習をする中での怪我、モチベーションの維持の難しさの2つの面で課題を感じていました。同時に結果も出ておらず、所属チームの監督に取り組み方を再考するべきと指摘されました。私の裁量で練習を行なっていることで、自身の感覚や独断に頼って練習していたことが原因と考え2つの施策を講じました。
1つ目は監督を通じて専門のトレーナーに助言を求めることです。怪我を起こす原因にきちんとしたトレーニング計画を立てることが出来ていなかったこと、練習後のケアを疎かにしていたことがあったのでこの2点を質問し助言を頂きました。これにより練習以外の部分で意識変革を行うことができ、怪我の頻度が大幅に下がり、大事な試合で成績を残せるようになりました。
2つ目は他大学の選手に合同練習をお願いすることです。この際今以上に精神的な部分や本気で打ち込める環境を整備することを心がけました。
これらにより昨シーズンは近畿の学生中2位、国体、インカレで10位代に入ることが出来ました。 (2024年卒 伊藤忠商事 総合職 内定)
この回答では、課題を特定した後、それらの課題を解決するための施策を具体的に考えています。「どのような理由や考えのもと、どのような施策をおこなったのか」といった、2つの施策について明確に理解できます。
戦略的に施策を考えて実行したからこそ、「昨シーズンは近畿の学生中2位、国体、インカレで10位代に入る」といった素晴らしい成果も出ているのでしょう。
逆に言えば「理由もなくとりあえず実行した」と感じられる施策は、そもそも成果が出にくいかもしれませんし、説得力に欠けてしまいます。「○○といった考えのもと、○○を実行した」と、その施策を実行しようとした背景や理由を明確に示しましょう。
③自身の役割や貢献したことを具体的に示している
内定者は、アルバイトや部活動など、チームで協力しておこなった経験をアピールする場合は自身の役割を明確に示し、組織に貢献したことを具体的に伝えています。
実際に選考通過した回答
大学時代、私は学業と課外活動の両立に力を注いだ。特に印象深かったのは、学術研究プロジェクトへの参加と、学生自治会での活動である。
学業面では、特に経済学のゼミに力を入れた。私は「地域経済の活性化」というテーマで、地方都市における観光産業の影響について研究した。フィールドワークとして実際に地域を訪れ、地元企業や住民へのインタビューを行い、観光資源の活用状況や課題を詳しく調査した。データ分析には統計ソフトを用い、得られた結果を論文としてまとめ、ゼミの発表会で発表した。この経験を通じて、データの収集と分析の重要性、そしてプレゼンテーションスキルの向上を実感した。
一方、課外活動としては、学生自治会での活動が大きな挑戦となった。私は自治会の副会長を務め、学内イベントの企画・運営を担当した。特に、毎年恒例の学園祭では、実行委員会のリーダーとして200人以上のメンバーをまとめ、企画立案から当日の運営までを取り仕切った。スポンサー企業との交渉や、予算管理、各団体との調整など、多岐にわたる業務をこなす中で、リーダーシップと組織運営のスキルを磨くことができた。また、突発的なトラブルにも迅速に対応し、全員が安全に楽しめるイベントを成功させることができた。
これらの経験を通じて、私は問題解決能力やチームワークの大切さを学び、学業と課外活動を両立させる中で、時間管理の重要性も痛感し、自分の限界に挑戦する姿勢を身に付けることができた。
将来、これらの経験を活かし、社会に貢献できる人材になりたいと強く感じている。 (2025年卒 日本たばこ産業 総合職 内定)
この回答では、自治会の副会長という役職にとどまらず、学園祭実行委員会のリーダーとして「200人以上のメンバーをまとめた」ことが具体的に示されています。
また、「企画立案から当日の運営、スポンサー交渉、予算管理、各団体との調整」といった具体的な業務内容と、それらを通じて「リーダーシップと組織運営のスキルを磨き、イベントを成功させた」という結果・成果についても具体的に伝えられています。 このように、自身の立場と組織のために貢献できたことを具体的に言語化することが重要です。
なお、リーダーなど必ずしも目立つ役割を務めていなくても問題ありません。役職に就いていなくても、「このことに自分は専念した」と自信を持って伝えられる経験を洗い出しておきましょう。
④自分ならではの視点や工夫を明確に示している
企業はガクチカで、結果そのものよりも過程を重視する傾向があります。そのため、施策を実行する際に自分ならではの視点で考えたことや、工夫した点を盛り込んでいることも内定者に共通する点です。
実際に選考通過した回答
個別指導塾で伸び悩んでいた生徒の成績を向上させた経験だ。
生徒自身にやる気がなく、両親との勉強に対する認識の差が課題であった。生徒と面談し改めて確認したところ2点問題があった。1点目は、生徒は塾に行けば遊んでも良いと両親から言われており遊ぶために仕方なく来ていること、2点目は国語が苦手なため長文を読むのが嫌ということだった。
そこで、生徒に勉強に対する関心を高めるため生徒の好きなことと勉強を絡めた。その為に生徒の好きなものについて調べ、それに関連した漢字の使い方や諺の問題を作り、好きなもの自体も楽しめるように工夫し隙間時間でもそれを見るようにさせた。
その結果、次はどんな関連したものが出るのかという生徒の関心を引くことができ学習意欲が向上した。自ら進んで隙間時間でも学習するようになり、成績が向上した。特に国語は偏差値が15ポイントほど向上し、当初の志望校より上位の学校に合格することができた。 (2024年卒 早稲田大学 みずほフィナンシャルグループ内定)
この回答では、生徒の「やる気がない」という課題に対し、一般的な勉強法の改善ではなく、「生徒の好きなことと勉強を絡める」という、この学生独自の視点から、オリジナルの教材を作成する具体的な工夫を凝らしている点が明確に示されています。
また、この学生の課題であった「勉強にやる気のない学生の学習意欲を上げる」ためには、たとえば教材の難易度を下げて基礎から徹底的にやり直す、指導時間の延長を提案するといった、この学生とは違った施策を実行する人もいるでしょう。
このように、同じ結果でもそこに至るまでの過程を詳しく伝えることで「自分らしさ」を強くアピールできるのです。なお、「このような経験があるからこそ、この状況でこのように考えた」と自身の原体験と結び付けると、より独自の視点や自身の人柄が際立ちます。
⑤周囲を巻き込む力や粘り強さをアピールしている
企業によって求められる強みやスキルはさまざまであると解説しましたが、内定者は「周囲を巻き込む力・リーダーシップ」や「困難に直面しても努力を重ねる粘り強さ」をアピールしている傾向があります。
実際に選考通過した回答
サークルで〇〇する際に責任者を務めたことです。
私は「『全員が』納得して自信を持てる商品を出したい」という目標を持って責任者になりました。しかし皆が同じ方向を向くのは難しく、悩んだが、メンバーと話すことでその人の性格や得意なことを見つけて仕事に活かすのが良いのではという考えに至り、雑談から学業の話まで会話を重ね、各々の個性を出せる仕事を分担したところ、全員が味を出した、かつ納得のいく商品を考案して売り出すことができました。
この経験から、情報共有や会話から多様性を見つけて活かすことでチームが最大の力を発揮できること、「1つのゴールを様々な視点から見ることの大切さ」を学ぶことができました。
この経験は御社に入社してチームで仕事をする際にも非常に役に立つと考えております。 (2023年卒 京都大学大学院 アステラス製薬 開発部門 臨床開発職・プロジェクトマネジメント職 内定)
この回答は、困難な状況下でチームをまとめ上げ、成果を出した経験を明確に伝えています。
「皆が同じ方向を向くのが難しい」という課題に対し、会話を重ねてメンバーの性格や得意なことを見極めた行動は、単なるリーダーシップでなく、傾聴力や分析力、緻密な努力を続ける粘り強さといった複合的な資質を示しています。
このエピソードは、チームの課題に対し、粘り強く個人と向き合い、多様性を力に変えてチームのパフォーマンスを向上できる人材であることを効果的にアピールできています。採用担当者に「入社後も周囲を巻き込む力を存分に発揮して、組織を牽引してくれるだろう」と好印象を持ってもらえるでしょう。
なお、これらの能力は、幅広い業界の企業で重宝されます。会社という組織のなかで働く以上、周りの人と連携することは不可欠です。また、成果を継続的に出すためには絶え間ない努力を続けることが重要です。
どのような強みをアピールするか迷った場合は、これらの「周囲を巻き込む力」と「粘り強さ」を積極的にアピールしてみてください。
内定者直伝! 「学生時代に力を入れたこと」を面接で効果的に伝える3つのコツ

面接でガクチカを話す際、せっかく素晴らしい経験をしていても、伝え方によってはその魅力が半減してしまうことがあります。ガクチカは頻出質問だからこそ、企業にうまく伝えられるように万全に準備しておきたいものです。
「就活会議」に寄せられた情報を見ると、面接でガクチカを効果的に伝える3つのコツがあることが明らかになりました。
これから解説するポイントを一つずつ学び、面接時や面接練習で積極的に実践してみましょう。
①型通りの回答ではなく自分の言葉で伝える
組み立てた文章を、面接の場でそのまま読み上げるのは避けましょう。面接では、型にはまらずに自分の言葉で伝えることが非常に重要です。
組み立てた文章は面接前に要点を押さえる程度に活用し、面接に向けては自分の表現でかみ砕いて「話す」練習をしましょう。文章をもとに話の全体像やストーリーを頭に入れておいて、その都度「自分の言葉で相手に伝える」意識を持つことが大切です。
実際に話してみることで「状況説明が理解しづらいかも」「実行した施策を詳しく話しすぎてしまう」など、自分の欠点や課題点に気付くことができます。
②一貫性のあるストーリーとして論理的に伝える
面接では話の一貫性を意識して、矛盾なく論理的に伝えることを心掛けましょう。話に一貫性がないと、面接官はあなたの経験を正確に理解できず、あなたの魅力や能力を見極めることが難しくなります。
ガクチカで矛盾が生じるケース
私は大学の〇〇サークルでイベントの集客リーダーを務め、「過去最高の来場者数を達成する」という目標を掲げました。 しかし、集客状況は思うように伸びず、正直、何を改善すべきかわからず、ひたすらSNSでの告知を増やし続けました。
結果的には、その年のイベントは例年とほぼ変わらない来場者数で終わりましたが、この経験を通じて、目標達成への粘り強さと、計画の重要性を学びました。- 「実行した施策」と「学び」が矛盾している →「何もわからずにSNS告知を増やしただけ」という行動から、「目標達成への粘り強さと、計画の重要性を学んだ」という学びを結び付けるのは、論理的な飛躍がある
- 「結果・成果」と「学び」が矛盾している →「例年とほぼ変わらない来場者数」という成果は、「過去最高」という目標とはかけ離れている。目標達成できていないにも関わらず、「粘り強さを学んだ」とポジティブに語るのは不適切
自分が作ったガクチカを見直し、要素一つひとつが論理的に飛躍していないか、矛盾が起きていないか、今一度確認してみましょう。
また、内容に矛盾がなかったとしても、面接でわかりやすく伝えられなければ、あなたの経験や価値観を採用担当者に適切に理解してもらうことは困難です。
面接本番で緊張していても、先ほど解説した文章構成に沿ってわかりやすく伝えられるように、アウトプットの練習を重ねましょう。
③「自分の感情」と「客観的な事実」を区別して話す
面接で話す際、自身の感情を話すときと、事実を論理的に話すときを明確に区別して伝えるのもおすすめです。
以下の内容は、「自分の感情」と「客観的な事実」を区別する際の具体例です。
- 「自分の感情」を伝えるとき:「練習環境が整備されていないことが課題だと考えました」「大会で負けたとき、非常に悔しかったです」「成果が数字として目に見えることが大きなモチベーションにつながりました」
- 「客観的な事実」を伝えるとき:「イベントの来場者数が〇%減少しました」「直近5年で平均〇人の退部者が出ています」「各メンバーのモチベーションが大きく下がっていました」
企業がガクチカを通じて知りたいのは、あなたの物事への向き合い方やモチベーションの源泉です。
そのため、単に事実を羅列するだけでなく、その経験のなかで「どのような感情を抱いたのか」というあなたの内面を交えて伝えることが重要です。これにより、あなたの人間性や志向性を深く理解してもらえるでしょう。
しかし、ガクチカを伝える際には、論理的な思考力を示す必要もあります。特に、課題解決のプロセスや成果の説明といった場面では、客観的な事実にもとづいた説明を心掛けましょう。その際、具体的な数字を用いることで、情報の正確性と信頼性が高まります。
感情と事実を適切に使い分けることで、面接官はあなたの人柄や価値観と論理的思考力の両方を把握し、より多角的にあなたを評価できるようになります。
「学生時代に力を入れたこと」が思い浮かばないときの3つの対処法

「大学時代はつい遊んでばかりいた」「周りと比べて優れた経験をしていない」と悩んでいる人もいるかもしれません。
しかし、エピソードの大小にかかわらず、ガクチカは誰にでも必ず存在するものです。たとえば、日常の些細な出来事だと自分自身では感じていても、それはあなたの強みや価値観をアピールできる貴重な経験かもしれません。
これから解説する対処法を試して、自信を持って企業に伝えられるガクチカを見つけましょう。
①時間を忘れて没頭した経験を思い出す
日常生活のなかで「力を入れたとまでは言い切れないけれど、時間を忘れて没頭した」という経験があるか思い返してみましょう。没頭できることは、あなたにとって夢中になれることだと言えます。
以下の例を参考に、時間を忘れて没頭した経験がないか考えてみましょう。
- もともと関心があった心理学に関する本を半年間で6冊読んだ
- 体力づくりのために始めた筋トレに取り組むと、気付かないうちに2~3時間経っている
- 独学でプログラミング学習に取り組んだ
そして、没頭するなかで「ここはスムーズにいかなかった」「ここでほかの人はしないようなこんな工夫をした」という点を見つけてみましょう。
それらの点を深掘りすることで、自分ならではの視点をふんだんに盛り込んだガクチカを作れます。
②周りの人から褒められた経験を思い出す
エピソードを探すうえで、周囲の人から褒められた経験を思い出すのも効果的です。周りの人から褒められることは、ほかの人よりも優れているからこそ結果や成果を出せていることだと言えます。
これは「自分の得意なこと」に当たるため、その「すごさ」に自分自身だとなかなか気付かないかもしれません。
以下のリストを見て、周りの人から褒められた経験がないか思い出してみましょう。
- アルバイトで視野の広さを先輩社員に褒められた
- ゼミ活動で研究に費やす時間が長いことを教授に褒められた
- 部活動で顧問の先生からチームをまとめる力を評価された
このような経験を思い出すことで、自分の強みを強くアピールできるガクチカを作れます。
③不満や疑問を感じて行動した経験を思い出す
日常生活で不満や疑問を感じて、状況を変えるために行動した経験を考えるのも有効です。
以下のリストを参考に、自身に当てはまる不満や疑問を感じて行動した経験がないか考えてみましょう。
- アルバイト先でマニュアルが統一されておらず、新人教育がスムーズに進まなかった
- サークルの参加者アンケートを紙媒体で収集するのが非効率だと思った
- 住んでいた学生寮の清掃ルールがあいまいで不衛生だった
これらに対して課題解決のために主体的に行動した経験は、ガクチカとして十分に効果的に伝えられます。
企業に刺さる「学生時代に力を入れたこと」で選考を突破しよう
この記事では、ガクチカの作成方法や面接時に伝えるコツを解説しました。
ガクチカは、あなたのこれまでの頑張りを存分にアピールできる絶好の機会です。しかし、どれだけ素晴らしい経験をしていても、企業にわかりやすく論理的に伝えられなければ選考を突破することは難しいでしょう。
この記事で紹介した内定者の実回答やコツ・アドバイスを参考にして、自身のガクチカをブラッシュアップし、自信を持って志望企業に伝えられるよう準備を重ねましょう。
就活会議編集部
就活会議の編集チームです。就活生の皆さんの役に立つ「企業と面接のリアルな情報」を発信しています。体験記・ESは 会員登録すれば見放題! YouTubeチャンネルも配信中です!編集部についての詳細は 記事コンテンツの制作方針をご確認ください。

この記事の編集担当者
佐藤 美空
大学卒業後、就活会議のグループ会社であるポートに新卒入社。約1年間キャリアアドバイザーとして文系学生の就職支援をおこなう。就活生時代にポート運営の就活メディアを活用した経験から、「今度は私が就活生の役に立つメディアを創りたい」という思いでライターに転身。現在は就活会議のライターを担当している。
大学卒業後、2018年にパーソルキャリアに入社。中途人材紹介事業において、4,000名以上の求職者と100社以上の企業を支援。2022年に就活会議のグループ会社であるポートに入社。キャリアアドバイザーとして学生の就活支援に従事し、新規事業である就活会議エージェントの立ち上げにも参画。現在は約100名規模となるキャリアアドバイザーグループの責任者を務める