【就活ガイド】株式会社キーエンスの企業研究〜企業分析で選考突破〜
利益率の高い企業として注目されている株式会社キーエンス。46ヵ国230拠点で事業を展開しており、新商品の7割が「世界初」「業界初」であることから、世界の製造業の発展を支えている企業といえます。 この記事ではキーエンスの基本情報や業界内での立ち位置をもとにお伝えするとともに、先輩たちが実際に行った企業研究方法をご紹介します。キーエンスの選考を受ける前にどのような会社なのか、その特徴をしっかり理解していきましょう。
キーエンスの会社概要
まずはキーエンスについて理解しましょう。 ここではキーエンスの選考に通過した先輩たちが行った企業研究と、その社風などをお伝えします。
キーエンスの基本情報
会社名 | 株式会社キーエンス |
---|---|
業界 | 電気機器 |
本店所在地 | 大阪市東淀川区東中島1-3-14 |
事業所 | 全国に複数拠点あり(海外拠点あり) |
設立日 | 1974年5月27日 |
売上高 | 5,381億円(2020年度) |
従業員数 | 8,380名(2021年3月現在) |
資本金 | 306億3,754万円 |
平均年齢 | 35.8歳 |
初任給 | 【修士了】 月給24万0000円 ※博士了 含む 【学部卒】 月給22万0000円 ※2021年4月実績 |
福利厚生・社内制度 | 借上住宅、地域住宅補助、社員持株会、慶弔金(結婚・出産祝い金など)、退職金(確定拠出年金など)、キーエンスグループ健康保険組合(人間ドック補助など)、自己啓発支援(語学レッスン受講など) |
過去の採用人数 | - |
企業理念 (キーエンスの 考え方) | 1. 最小の資本と人で最大の付加価値をあげる 付加価値とは、企業が活動の中で新たに生み出した価値、付け加えた価値をあらわすもの。 最小限の経営資源でアウトプットを最大化することが、キーエンスグループの考える経営の原点。 2. 目的意識を伴った行動が成果をあげる その仕事は何のために行っているか。どんな付加価値を生み出すか。 常に自問自答することで、目的が明確になり最大の成果につながる。 3. オープンな社風 議論の中では、ポジション・キャリア・年齢よりも論理性・合理性を優先。 そこに若い人の知恵と活力がうまれ、活かされる。 4. 強い意欲と情熱を持つ 限られた時間の中で効率的にアクションを進め、高い業績をあげる。 強い意欲と情熱こそが、その源。 |
代表者 | 中田 有 |
事業内容 | センサ、測定器 画像処理機器 制御・計測機器 研究・開発用 解析機器 ビジネス情報機器 |
参考元:https://www.keyence.co.jp/company/about/#about-keyence 参考元:https://www.keyence.co.jp/company/financial-info/#finance-highlight 参考元:https://www.keyence-jobs.jp/recruit/guideline.jsp 参考元:https://www.keyence-jobs.jp/company/philosophy.jsp
事業内容
キーエンスはファクトリー・オートメーションの総合メーカーです。ファクトリー・オートメーションとは、工場での一連の生産工程を自動化するシステムのことです。自動車、薬品、食品など、製造業のさまざまな分野の工場で、キーエンスが製造する商品が使われています。
キーエンスにはビジネス職・S職・エンジニア職の3つの職種があります。エンジニア職はさらに3つの分野に分かれているため、それぞれの役割をよく把握しておきましょう。自分がどの職種の仕事をしたいのか、それはなぜなのかを論理的に説明できるように、しっかりと昇華することが大切です。
職種 | 分野 | 業務内容 |
---|---|---|
ビジネス職 | - | 自動車、電機、食品、医薬品……、関わる業界は多種多様。 そんなさまざまな業界の研究開発、生産技術、購買などの 職種のスペシャリスト、さらには大手メーカーの工場長や 中小企業の社長と、職種や立場の異なる方と関わっていき ます。また営業職としての提案業務からマネジメント業務、 マーケティング戦略立案部門まで幅広いキャリアステップ が可能です。 | S職 | - | 担当業務の質の向上、効率化に取り組み、付加価値の創造 を支えていく仕事です。キーエンスのS職は、単なる定型業 務にとどまらず、常に業務の中で改善できる「気づき」を 発信し、プラスアルファの活躍が求められます。 | エンジニア職 | 商品開発 | 顕在化されたニーズではなく、一歩先の潜在ニーズを形に する仕事です。営業担当や商品企画とともに、国内・海外 を問わずお客様から直接ヒアリング。そこで得た情報をヒ ントに商品開発を行います。お客様のことを深く理解して いるからこそ、「超」付加価値を生み出すことができます。 | 生産技術 | 開発された新商品の量産化を図り、独自の技術を用いて生 産ラインを一から構築するのが生産技術職です。高品質か つ高効率なラインと設備で、高い性能を担保した商品を世 に送り出します。キーエンスが開発したすべての商品の量 産化を支える仕事です。 | コンサルティング エンジニア | お客様から技術的難易度の高いご相談を受けた時が、コン サルティングエンジニアの出番です。「どうすれば最高の カタチで実現できるだろうか?」。お客様の背景情報を細 かくヒアリング。課題の解決策を提供するだけでなく、そ の後の運用まで考え、高い技術力を活かし、一歩踏み込ん だ提案を行います。 |
参考元:https://www.keyence-jobs.jp/work/business.jsp 参考元:https://www.keyence-jobs.jp/work/s.jsp 参考元:https://www.keyence-jobs.jp/work/engineer.jsp
IR読み解き!キーエンスの売上・競合比較
ここからはIR資料や有価証券報告書を読み解いて企業研究しましょう。
売上・業績
キーエンスの直近5年間の連結業績は下記の通りです。
売上高推移
営業利益推移
参考元:https://www.keyence.co.jp/company/financial-info/#finance-highlight
2018年度までは順調に増収増益となっていましたが、2019年度以降はやや下降気味です。原因としては、新型コロナウイルス感染症の影響が考えられます。 キーエンスは、国内外の製造業をターゲットとした商品を製造・販売しています。しかしコロナウイルス感染症の影響で、製造業では、設備投資や生産活動を減らすという動きが世界的にみられました。 その結果、キーエンスの売上もやや減少してしまったと考えられます。
セグメント別の売上
キーエンスの事業は、電子応用機器の製造・販売を中心に展開する単一セグメントであるため、決算上のセグメント情報の記載は省略されています。
参考元:https://www.keyence.co.jp/company/financial-info/#finance-highlight
競合他社
大手電子機器メーカー3社とキーエンスの業績を比較してみると、下記のような結果になりました。
【電子機器メーカー】2020年度売上高
【電子機器メーカー】2020年度営業利益
参考元:デンソー 参考元:キャノン 参考元:富士フイルム 参考元:キーエンス
売上高では圧倒的に他社に劣るキーエンスが、営業利益ではトップになっていることがわかります。キーエンスの利益率の高さの秘訣については、後の見出しで詳しく説明します。
売上高トップのデンソーは、自動車部品の大手メーカーとして日本および海外で販売・生産をおこなう企業です。 2位のキャノンはカメラで有名ですが、事務機にも強みがあり、現在は連結売上高の57%をプリンターなどを製造するプリンティング事業が占めています。 3位の富士フイルムもカメラで有名ですが、それ以外にも医薬品や再生医療などのヘルスケアや、半導体材料などの高機能材料といった幅広い領域で事業を展開しています。
キーエンスはファクトリー・オートメーション(※)の総合メーカーであるため、上記の大手電子機器メーカー3社とは製造する製品の分野が異なっています。
※ファクトリー・オートメーション・・・工場での一連の生産工程を自動化するシステム
業界の動向
経済産業省の「製造業を巡る動向と今後の課題」によると、製造業では、2020年前半に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で売上高が急速に悪化しました。2020年後半から回復傾向にあるものの、感染症拡大前の水準には戻っていません。この景気悪化に伴い、製造業では設備投資を見送る傾向もあります。 参考元:経済産業省 製造業を巡る動向と今後の課題
ファクトリー・オートメーション総合メーカーであるキーエンスは、特定の顧客・業界に依存せずに製造業のさまざまな企業を対象に事業を展開しています。コロナ禍における製造業の業績悪化を背景に、キーエンスの業績もやや落ち込みました。 今後のキーエンスの業績や事業方針は、製造業の動向によっても左右されると予想されます。
キーエンスの強み「圧倒的な利益率の高さ」
大手電子機器メーカー3社とキーエンスの業績を比較してみると、売上高では圧倒的に他社に劣るキーエンスが、営業利益ではトップになっていることがわかります(競合他社の見出し参照)。この利益率の高さこそが、キーエンスの強みです。 キーエンスの利益率が高い要因は、自社工場をもたないという、メーカーとしては珍しい生産体制にあります。製造を協力会社に委託することで、製品の特性に合った技術と生産ラインを持つ工場で、合理的に生産することを可能としています。
一貫生産にこだわらないのがキーエンス流。あえて自社工場を持たず、製造は国内と海外の協力会社にアウトソースしています。こうすれば商品の特性とマッチした技術、生産ラインを持つ工場を柔軟に選択できて合理的です。自社工場を持ってしまえば、新商品を製造するたびにラインの再編成が必要となり、これが生産性の悪化やコスト高を招き、生産体制を意識するあまりに柔軟な企画が生まれなくなってしまいます。世界情勢や市場の変化に左右されず、付加価値の高い商品を大量生産するには、このファブレスという発想が不可欠です。
引用元:https://www.keyence-engineering.co.jp/group/businessmodel/
また、キーエンスは営業スタイルにも特徴があります。それは、代理店などを介さない直販体制を取っていることです。キーエンスの営業担当者は、顧客である生産現場に直接出向き課題を発見、その課題を解決する商品を直接提案するというコンサルティングの役割を果たしています。 この営業スタイルにより、ニーズにマッチする商品を確実に提供できるため、顧客から高い信頼度を獲得することができています。 参考元:https://www.keyence-engineering.co.jp/group/businessmodel/
キーエンスの社風
ここからは、キーエンスの社風を見ていきましょう。
社風「フラットに意見を発信し合える社風」
キーエンスの採用サイトを見てみると、社員座談会や社員紹介のページで「フラットな風土」「オープンな風土」といった声が多数見られました。
キーエンスには立場や役割に関係なく、オープンに議論し合える風土があります。開発-販売間も同様で、販売側は商品について忌憚のない意見を言いますし、開発も販売体制や販売戦略について遠慮なく意見を言います。商品と販売が完全にマッチして初めて大きな課題を解決することができる。これを当たり前のように実現できることがキーエンスの強みだと思います。
引用元:https://www.keyence-jobs.jp/special/crosstalk01.jsp
部署の垣根を越えて議論が繰り広げられることがあるとのことです。より良い商品を届けるために、社員一丸となって取り組む企業風土が根付いた企業といえるでしょう。。
キーエンスでは入社前に想像していた以上にフラットな風土が築かれており、年次が上でも後輩にアドバイスを求めることがあるほどです。活発に行われる事例共有や意見交換を通じて高め合える環境は、「現状維持は退化と同じ」だと考える私にとって、成長のヒントがたくさん得られるのでとても刺激的。
引用元:https://www.keyence-jobs.jp/work/interview/kondo.jsp
また、先輩社員が若手に意見を求めるケースもあることから、年次に関わらず、意見を発信しやすい風潮があることが分かりますね。
キーエンスの新卒採用
ここからは、2022年卒の新卒採用の応募条件や待遇について見ていきます。
募集要項
2022年卒募集要項は下記の通りです。ビジネス職・S職・エンジニア職の3つの職種があり、エンジニア職はさらに3つの分野に分かれています。それぞれの役割をよく理解しておきましょう。各職種の業務内容については、事業内容の見出しで詳しく説明しています。
募集職種 | ■ビジネス職 ■S職 ■エンジニア職 -商品開発 -生産技術 -コンサルティングエンジニア |
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業務内容 | 事業内容の見出し参照 |
応募資格 | ・2022年4月~2023年3月に四年制大学を卒業、もしくは大学院を修了見込みの方 ・募集学科は全学部全学科 ・公平・公正の観点から、キーエンスの役員・社員と三親等以内(子女、兄弟 姉妹、甥姪等)の方はご応募いただけません。 |
給与 | ・初任給: 【修士了】 月給24万0000円 ※博士了 含む 【学部卒】 月給22万0000円 ※2021年4月実績 ・賞与:年4回(3月・6月・9月・12月) |
諸手当 | 時間外、地域住宅補助、通勤 ほか |
勤務地 | 本社・研究所(新大阪)、東京研究所(台場)および国内外各事務所 |
勤務時間 | 8:30~17:15 |
保険 | キーエンスグループ健康保険組合 |
求める人物像 | 非公開 ※求める人物像を公開していないのはなぜですか?(採用サイトFAQより) 皆さんのありのままの姿を見せていただきたいからです。採用活動において最も重要なのは学生の皆さんと企業とのマッチングです。キーエンスの面接前には何の準備も必要ありませんので、ぜひ等身大の自分でご参加ください。 |
参考元:https://www.keyence-jobs.jp/recruit/guideline.jsp
キーエンスでは求める人物像を公開していません。しかし、新卒採用サイトにてキーエンスの考え方が発信されています。その中に、下記のような記載がありました。
市場原理・経済原則で考える 私たちは「当たり前のことを当たり前に実践する」という考えを大切にしています。変化の激しい市場環境において、何が「今の当たり前」なのかを確信をもって判断できなければなりません。そのための軸となるのが「市場原理・経済原則」に基づいて合理的に検討すること。この判断のものさしを社員全員で共有できているので、個人による判断のぶれが生じにくくなります。
目的・問題意識を持って主体的に行動する 「その仕事は何のために行っているのか」「その仕事はどんな“価値”を生み出すのか」という目的を強く意識するようにしています。この目的意識が、「目的に照らしてこのやり方が本当に適切か」という問題意識につながり、既存のやり方や常識にとらわれない新たなブレークスルーを生み出す原動力になっています。
引用元:https://www.keyence-jobs.jp/company/philosophy.jsp
キーエンスでは、「明確な目的をもって行動できる人」「主体的に動ける人」「論理的な思考力がある人」が求められていることがわかります。目的のために主体的に行動した経験をアピールすると、キーエンスにマッチしていると判断してもらいやすいでしょう。また、自分の経験や考えに基づいた、論理的な回答ができるように対策をしておきましょう。
福利厚生
基本的な福利厚生・社内制度はそろっています。キーエンスでは、社内制度として自己啓発支援が受けられます。成長に貪欲な人を求めているキーエンスらしい制度ですね。
- 借上住宅
- 地域住宅補助
- 社員持株会
- 慶弔金(結婚・出産祝い金など)
- 退職金(確定拠出年金など)
- キーエンスグループ健康保険組合(人間ドック補助など)
- 自己啓発支援(語学レッスン受講など)
引用元:https://www.keyence-jobs.jp/recruit/guideline.jsp
企業研究のポイント
キーエンスの企業研究のポイントは、効率性の高さを求めるという企業理念をよく理解しておくことです。キーエンスは他の企業に比べて選考に関する情報をあまり公開していません。そのため選考対策は非常に難しいです。まずは企業の方向性や考え方を理解し、自分の価値観がマッチしていることを伝えられるように準備しておきましょう。 実際に口コミを投稿してくれた先輩たちは、「会社を知るというよりも、自分がキーエンスにいかにマッチしているか、どう活躍することができるのか」を明確にすることを意識して企業研究に取り組んでいました。
「企業研究」で行ったこと、調べて役に立ったこと
有価証券報告書を読みこみました。それにより企業の特徴や強み弱みがわかりました。 特殊な企業だったので業界分析はしませんでした。 OB訪問をしました。2名ほど。どちらも現役の社員ではなかったので質問がしやすかったです。 選考対策を調べました。キーエンスでは例年に多様なフローで選考が行われていることを知り、必死に対策できるようにしました。 時事問題についても質問が出るとのことだったので日経新聞などは欠かさずに読むようにしていた。 とはいえキーエンスでは企業研究自体にはそこまで拘る必要はないと考える。なぜならこれは人事の方もおっしゃっていたことではあるがキーエンスでは会社と就活生とのマッチングを重視しているからである。
「企業研究」で行ったこと、調べて役に立ったこと
キーエンスはFA(ファクトリーオートメーション)を扱うメーカーです。売っている商品は多数あるものの、どの商品がどのくらい凄いとか、こんな特徴があるというようなキーエンス自体の企業研究はいりません。(実際に私もしていないです。)1次選考から最終選考まで他の企業の選考とは全く異なる独自の選考形式を取っています。ネットや企業側も対策不要とありますが、特殊な選考形式だからこそ、対策は必要ですし、それが効果的だと思います。また、OB訪問も実際にしませんでした。詳細はここでは書きませんが、いわゆる就活のノウハウで乗り切れる選考ではなく、コミュニケーション能力や頭の回転の速さを見る面接なので、この二つの能力に自身のある方は受かりやすいのではないでしょうか。
「企業研究」で行ったこと、調べて役に立ったこと
1.特殊な選考方法への対策をした. この会社ではエントリーシートやグループディスカッション,グループ面接が一切なく,代わりに要素面接があるなど,他社と比べると特殊である.どのようなことが面接で聞かれるのか事前に下調べしておくのは必須である.おそらく毎年同じ形式が続いている. 2.どのような人材が求められているか体験記などを読んで把握していった. 志望動機や熱意はあまり関係なく,スキルや性格重視である.どのような能力を持っていて,どのような性格の人が求められているのか,事前に把握しておくと面接や性格テストで良い印象を与えられる. 以上の2つを企業研究として行った.正直会社がどういう商品を扱っているかとかは知らなくても大丈夫.
ここで紹介したのは先輩が投稿してくれた口コミの一部です。更に詳しい口コミもあるので、ぜひ読んでみてくださいね。
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