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CREATED ON 2025.08.12 | UPDATED ON 2025.11.28

化粧品会社に就職するには? 業界知識や適性・選考のコツを徹底解説

業界研究
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選考突破は難しい?化粧品会社への就職 業界知識や内定者が語る選考対策を紹介

こんにちは。就活会議編集部の佐藤です。 「化粧品が好き」「美容に興味がある」。そんな思いから、化粧品会社に憧れを抱く人もいるでしょう。 しかし、就職するには「好き」だけでは不十分です。化粧品業界では、企画・開発・広報などの多様な職種が連携して一つの商品を生み出すため、熱意だけではなく、消費者のニーズを読み解き、形にする力が求められます。 就活会議のデータからも、内定者は「ビジネス視点」を備えている傾向が見られました。今回は、化粧品業界の基礎知識や選考対策を、内定者の回答例を交えながら徹底解説します。

この記事は、就活会議の会員が投稿した体験記にもとづいて作成・編集をしています。就活会議の会員は現役の学生であることを確認しています。

全体像を押さえよう! 化粧品会社の業界知識

業界への解像度が高まれば、「なぜ化粧品会社に興味があるのか」という自身の理由がより明確になったり、「漠然と気になっていたけれど、イメージと違った」といった新たな発見があったりして、今後の就活に役立つはずです。

まずは、化粧品業界の知識を下記4つの項目に分けて解説するため、業界への理解を深めましょう。

市場規模・今後の動向 【市場規模】化粧品市場は全体として緩やかな成長傾向にあり、底堅く推移

【今後の動向】品質だけでなく多様な価値提供が、市場の持続的な成長を牽引するカギとなる
働く魅力 ・人々の美や健康に貢献できること

・化粧品を通じてポジティブな心理的価値を提供できるような仕事ができること など
おもな職種 研究・開発職、品質管理・品質保証職、商品企画職、マーケティング職、広報・PR職、営業職、販売職 など
就職難易度 総合職や技術職を中心に、ほかの業界に比べて非常に高い

化粧品業界での働き方や選考対策については、就活会議のYouTubeチャンネルでも解説しています。気になる人は「【動画解説】化粧品業界の働き方や選考対策をチェック」から動画を見てみましょう。

市場規模・今後の動向

化粧品市場の市場規模や今後の動向を押さえることで、業界全体への理解を深められ、選考で化粧品市場について聞かれた際に、説得力のある回答ができるようになります

今後伸びる市場や注目されている分野を理解すれば、化粧品会社で働くうえでどのようなスキルや経験を身に付けるべきかが見えてきます。より具体的なキャリアプランを立てられるようにするためにも、市場規模や今後の動向を確認していきましょう。

市場規模

化粧品市場の動向を分析するため、今回はみん就がおこなった調査である「新卒就活人気企業ランキング」の消費財部門から、上位3社の資生堂、コーセー、花王の3社を取り上げます。

化粧品市場の規模を分析するうえで、ここでは国内でも大手企業の資生堂、花王、コーセーを取り上げます。

まずは、近年における3社の営業利益・コア営業利益の推移を見ていきましょう。なお、コア営業利益とは、営業利益から一時的な損失や利益を除いて算出される指標のことです。

資生堂のコア営業利益の推移

出典:業績・推移データ|IR ライブラリ|投資家情報|株式会社資生堂

花王の営業利益の推移

出典:連結経営成績|花王株式会社

コーセーの営業利益の推移

出典:経営成績|財務ハイライト|IR情報|株式会社コーセー

このことから、日本の化粧品市場は、原材料費や為替などの外部環境の変動によって収益性が左右されつつも、底堅く推移していることがわかります。

特に花王は、日用品を含む幅広い事業ポートフォリオを持っているため、資生堂やコーセーと比べて事業効率の改善が利益に直結しやすい構造にあると言えます。

この底堅い成長の背景には、以下の5つの要因が考えられます。

要因 概要
国内需要の支え 花王の資料からは、日本のトイレタリーおよび化粧品市場は2025年1月から6月にかけて前年同期を上回る実績を示しており、

特に国内化粧品市場の伸長率は2025年第2四半期(4~6月)で前年比102%と報告されている

これは、内需が市場を支えていることを示唆していると言える
高付加価値製品の投入と
ブランド力強化
資生堂は「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「エリクシール」といったコアブランドの力強い成長に加え、「新アルティミューン」などの最新技術を活用した商品に好調な推移が見られる

コーセーは「コスメデコルテ」の価格改定前の駆け込み需要が増加したことと、新製品「毛穴美容液オイル」のヒットにより増収

花王も「Curél」「KATE」などの注力6ブランドが日本市場で売上を大きく伸ばし、収益性を大幅に改善
値上げによる収益性改善 コーセーは「DECORTÉ」や「エレガンス」で値上げを実施し、下期には「インフィニティ」「雪肌精」などのブランドでも値上げを予定しており、企業の収益性改善を図っている
DXによるマーケティングと
顧客接点強化
コーセーはデジタルマーケティングによる顧客の店頭誘致や、2026年開始予定のネットショップを通じて顧客接点の拡充を図っている

資生堂もグローバル共通の基幹システム「FOCUS」の導入により、データに基づいた迅速な意思決定や業務プロセスの効率化を進め、生産性向上につなげている
構造改革とコスト削減 資生堂はグローバルでの固定費削減、日本の収益性改善、事業マネジメントの高度化を図っている

コーセーは中長期ビジョンのなかで「構造改革の完遂と基盤再構築」を掲げ、日本事業の収益性向上に向けた事業構造の見直しを進めている

花王は中期経営計画で「稼ぐ力の向上」を掲げ、構造改革と成長戦略を両立させ、投資効率の改善を目指している

出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信|株式会社資生堂 出典:2025年 第2四半期決算説明資料|株式会社資生堂 出典:2023年実績(1-12月)および2024年見通し|株式会社資生堂 出典:SHIFT 2025 and Beyondアクションプラン 2025-2026|株式会社資生堂 出典:業績・推移データ|IR ライブラリ|投資家情報|株式会社資生堂 出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信|花王株式会社 出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)連結決算の概要及び中期経営計画「K27」の進捗|花王株式会社 出典:経営戦略と中期経営計画「K27」|花王株式会社 出典:2025年12月期第2四半期(中間期)決算短信|株式会社コーセー 出典:サステナビリティ戦略|株式会社コーセー 出典:2025年12月期 第1四半期決算説明会資料|株式会社コーセー 出典:中長期ビジョンVision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030|株式会社コーセー

このことから、国内化粧品市場が緩やかに成長している背景には、各メーカーが市場環境の変化に柔軟に対応し、成長を牽引していることが挙げられます。

具体的には、高付加価値製品の開発・投入、戦略的な価格改定、デジタル技術を活用したマーケティングの進化、そして徹底した構造改革とコストマネジメントによって、収益性を確保していると言えるでしょう。

将来性

化粧品市場の将来性は、国内においては消費者の根強い需要に支えられ緩やかな成長が見込まれる一方で、特にアジアなどの海外市場では、競争激化や消費低迷といった厳しい課題に直面しています。

化粧品市場を取りまく現状は、以下の通りです。

状況 概要
国内市場の底堅さ コーセーの分析によると、物価上昇による個人消費の停滞が見られるなかでも、底堅く推移している
インバウンド需要の変化 訪日外国人旅行者数は増加しているものの、旅行者の消費行動の変化や円高等による購買意欲の低下により、インバウンド消費は減速傾向にあると資生堂は指摘

コーセーも客単価の下落や訪日客数の落ち着きにより売上成長が緩やかになったと見ている
海外市場の不透明感 世界経済は地政学リスクの高まり、経済成長の鈍化、米国の関税政策などにより先行き不透明感が強い状況

特に中国市場では景気状況の悪化による消費低迷、中国国産ブランドの台頭、価格競争の激化が続いており、欧米市場も成長鈍化が見られる

このような市場環境において、各社は将来の成長と収益性確保のために、以下のような戦略を推進しています。

戦略 概要
高付加価値・
高価格帯ブランドへの集中投資
・資生堂:コアブランドの成長を強化し、新アルティミューンなどの最新技術を搭載した商品の投入で差別化を図る

・コーセー: 「コスメデコルテ」やアルビオンの主要ブランドなど、ハイプレステージ事業(高品質な素材や最先端の技術を提供する事業のこと)を利益創出の源泉と位置付け、国内での売上伸長を牽引する

・花王: 注力6ブランドを中心に、高付加価値製品の提案とブランド育成に力を入れる
デジタル化の推進と
新たな顧客接点の創出
・資生堂:グローバル共通の基幹システム「FOCUS」の導入を完了し、データに基づいた迅速な意思決定、需給予測精度の向上、在庫日数短縮、業務プロセスの効率化による生産性向上を目指す

・コーセー:デジタルマーケティングによる顧客の店頭誘致を促進し、2026年にはネットショップを開始して顧客接点の拡充を図る計画

・花王: DXによるマーケティング手法の高度化を推進し、高付加価値製品の提案力を強化
新領域への事業拡大と
ポートフォリオの多角化
・資生堂:スキンケアを核としつつ、ダーマ・メディカルビューティー、インナービューティーといったウェルネス領域への提供価値拡大を進める

・コーセー: ビューティに軸足を置きながら、ウェルビーイング領域に提供価値を拡大し、プロダクトだけでなく体験そのものを提供する事業拡大を考えている

・花王:一つの分野で強みを発揮する戦略に基づき、社会的有用性と自社ならではの技術や価値が発揮できる事業を選んでグローバル成長を目指しており、UVケアや化粧品が成長ドライバーとして位置付けられている
海外市場の再構築と
戦略的シフト
・コーセー:中華圏市場への高い依存から、次なる成長領域として「グローバルサウス市場(ASEAN/インド)」へ戦略をシフトし、M&A(企業の買収・合併のこと)や提携によるインオーガニック(外部の経営資源を活用して成長を目指す戦略のこと)な成長投資を強化することで、2030年までに海外売上比率50%以上を目指している

・資生堂:中国・トラベルリテール事業は引き続き厳しい状況にあるものの、固定費低減やコストマネジメントで減益幅を軽減し、米州事業でも構造改革を加速して黒字化を目指すなど、各地域の事業基盤再構築に取り組んでいる

・花王:化粧品事業において「グローバル・シャープトップ」事業構築を掲げ、注力6ブランドへの投資を集中。アジア圏を中心としたグローバル拡大を加速することで、2027年までに海外売上比率50%の達成を目指している

出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信|株式会社資生堂 出典:2025年 第2四半期決算説明資料|株式会社資生堂 出典:2023年実績(1-12月)および2024年見通し|株式会社資生堂 出典:SHIFT 2025 and Beyondアクションプラン 2025-2026|株式会社資生堂 出典:業績・推移データ|IR ライブラリ|投資家情報|株式会社資生堂 出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信|花王株式会社 出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)連結決算の概要及び中期経営計画「K27」の進捗|花王株式会社 出典:経営戦略と中期経営計画「K27」|花王株式会社 出典:花王グループ 化粧品事業成長戦略|花王株式会社 出典:アジア圏を中心とする新たなグローバル成長戦略を本格始動|花王株式会社 出典:2025年12月期第2四半期(中間期)決算短信|株式会社コーセー 出典:サステナビリティ戦略|株式会社コーセー 出典:2025年12月期 第1四半期決算説明会資料|株式会社コーセー 出典:中長期ビジョンVision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030|株式会社コーセー

これらの多角的な戦略が、化粧品市場の将来性を形作ると考えられるでしょう。製品の品質だけでなく、顧客体験、健康、社会・環境への貢献といった多様な価値提供が、今後の化粧品市場の持続的な成長を牽引するカギとなると言えます。

働く魅力

化粧品業界は、特に美と健康に関心がある人にとって、非常に魅力的な業界です。この点を明確に押さえることで、「化粧品業界で働くうえで何を成し遂げたいか」といったビジョンがはっきりしてキャリアプランを立てやすくなったり、入社後のギャップを防いだりできます。

内定者が語るこの業界のおもな魅力は、以下の通りです。

化粧品業界ならではの最大の魅力は、人々の美や健康に貢献できることでしょう。化粧品は単に肌をケアしたり、見た目を飾ったりするだけでなく、使う人の気持ちを高め、自信や喜びを与える力を持っています。

まさに「魔法」とも言えるような、この化粧品ならではの力に魅力を感じ、人々の「なりたい自分」をサポートできることは、働くうえで大きなやりがいとなるはずです。どのような魅力に強く共感できるかを明確にし、化粧品業界に対する自身の考えを整理しておくと良いでしょう。

おもな職種

販売職のイメージを持たれやすい化粧品業界ですが、実際にはさまざまな職種が存在し、活躍の幅も広いです。化粧品業界のおもな職種を以下から確認し、興味のあるものを探してみましょう。

職種 概要
研究・開発職 肌や髪のメカニズムを解明する「基礎研究」と、

基礎研究で得られた知見や商品企画からの要望をもとに具体的な化粧品を作り上げる「処方開発」に分けられる
生産・製造職 開発された処方にもとづき、実際に化粧品を製造する
品質管理・品質保証職 さまざまな検査をおこない、製品の品質と安全性を守る
商品企画職 市場調査やトレンド分析をおこない、新商品を企画する
マーケティング職 プロモーション戦略など、製品を市場に広める方法を考え、ブランド価値を高める
広報・PR職 メディアへの情報発信やイベント、キャンペーンの企画・実施を通じて、企業やブランドのイメージ向上や製品の認知度向上を図る
営業職 自社製品を小売店や百貨店などに販売し、売上を最大化させる
販売職 デパートの売り場などで直接消費者に製品の魅力を伝え、販売をおこなう。美容部員やビューティーアドバイザーとも呼ばれる

研究職や品質管理職はおもに理系学生が志望することが多い一方で、営業職やマーケティング職などは文系学生が志望することが多いです

入社後の展望を具体的にしたうえで選考に臨めるよう、挑戦したい職種や業務を今のうちから考えておきましょう。

就職難易度

化粧品業界は、ほかの業界に比べて就職難易度が非常に高いのが特徴です。ここでは、就活会議の会員のデータをもとに就活会議独自で算出した「就職難易度」を見ていきましょう。

なかでも就活生に人気の高い資生堂、コーセー、花王の選考難易度は以下の通りです。なお、これらの情報は必ずしも合否を左右するものではありません。あくまで就活の参考資料の一つとして、活用してください。

企業名 選考難易度 平均(メーカー業界)
資生堂 4.5/5 3.9/5
コーセー 4.5/5 3.9/5
花王 4.7/5 3.9/5

※メーカー業界の企業数は41,388社。データは2025年10月時点。

このことから、化粧品会社はメーカー業界の他企業と比較して、選考難易度が非常に高いことがわかります。

そのため、化粧品会社への就職を目指すには、しっかりと準備を重ね、数々の難関な選考を突破しなければなりません。本記事の「化粧品会社の選考対策6選|内定者のアドバイス付き」から選考対策を詳しく解説しているため、先に選考対策を知りたい人はこちらを確認してください。

人気の化粧品会社を徹底比較

競合比較をすることで、業界全体の動向を理解したうえで、志望企業の強みと弱みを客観的に把握できるようになります。

ここでは資生堂、花王、コーセーの3社を取り上げ、「ブランド・製品」「強み」「文化」の3つの観点から比較します。

企業研究を通して、どのような製品やサービスや企業文化に魅力を感じるのか、どのような強みを持った企業で働きたいと感じたかなどの観点から、自己理解を深めましょう。

①各企業のブランド・製品を比較

ここでは、資生堂、コーセー、花王が展開する化粧品ブランドと主力製品、ブランド戦略を比較します。

企業名 おもな化粧品ブランド・特徴 ブランド戦略 ターゲット層
資生堂 ・SHISEIDO:新アルティミューンなど最新技術を搭載した商品が好調

・クレ・ド・ポー ボーテ:高付加価値スキンケアとして価値の磨き上げに注力し、コアブランドとして力強い成長を遂げている

・NARS:中国のプロモーションで大幅に伸長し、メイクアップカテゴリーでシェア拡大に貢献
「ブランド力の基盤強化」「高収益構造の確立」「事業マネジメントの高度化」を最優先課題として掲げ、回復力のある事業構造の実現を目指している 特定の年齢層や性別に限定せず、スキンビューティーとウェルネスを融合し、一人ひとりの自分らしい健康美を実現する企業を目指している
コーセー ・DECORTÉ :「毛穴美容液」がヒットし、ラグジュアリーと最先端サイエンステクノロジーの価値構築を目指している

・ALBION:なかでも「エレガンス」が増収を確保。認知度向上を目指した大型広告も実施

・JILL STUART: 若年層向けの可愛らしいパッケージと世界観が特徴のメイクアップブランド
世界中の一人ひとりの生涯に寄り添うために、コーセーグループと想いを同じくする企業やブランドと相互連携し、持続的な成長と企業価値向上を目指す「ビューティコンソーシアム構想」の実現を掲げている ジェンダー・ジェネレーションを超えた幅広い顧客層へのアプローチ価値提供を目指している
花王 ・Curél:敏感肌・乾燥肌の「セラミドケア」に特化した製品群

・KATE:若年層に人気のプチプラメイクアップブランド

・SOFINA:皮脂ケアやエイジングケアを手掛ける
持続可能な社会への貢献と事業成長を加速させるため、「グローバル・シャープトップ」事業の構築(顧客から高い需要があり、高収益となる事業をグローバルに展開する)を戦略の柱としている 生活者の「低価格志向」と「実用性や付加価値の高い製品への需要」の両方に対応

社会変化に応じた幅広いニーズに対応する姿勢を示している

これらのことから、企業はそれぞれ明確なブランドポートフォリオ戦略を持ち、主要ブランドに投資を集中しつつ、市場環境や消費者のニーズの変化に合わせた柔軟なアプローチを取っていることがわかります。

各社とも幅広い消費者層を対象としつつも、特定のブランドや製品カテゴリーにおいては、年齢、肌悩み、ライフスタイル、購買力などの明確な軸でターゲットを定めて戦略を展開しています。

このように、各社は独自のブランド戦略と製品開発を進めることで、激しい競争が繰り広げられる化粧品市場で、確固たる地位を築いているのです

また、後ほど詳しく解説しますが、選考では「自社製品を使ったことがありますか」と自社製品の仕様について聞かれることがあります。志望企業がどのような化粧品ブランドを手掛けているのか把握したうえで、実際に製品を使用し、使用感や感想を覚えておくと良いでしょう。

②各企業の強みを比較

次に、資生堂、コーセー、花王の強み(競合優位性)を比較します。

資生堂

・圧倒的なブランド力とグローバル展開力:

150年以上の歴史を持っており、国内外で高いブランド認知度と信頼を確立している。アジアを中心に欧米でも事業を拡大しており、企業の合併・買収をしながらポートフォリオを強化

・最先端の研究開発力と肌化学:

皮膚科学、生理学など幅広い分野で長年の研究実績を持ち、業界をリードする技術力を保有。近年はAI(人工知能)技術を研究開発に積極的に導入し、これまでの知見と組み合わせることで、より効率的で革新的な製品開発を目指している

コーセー

・高機能・高付加価値な製品開発力:

スキンケアを中心に、独自の技術にもとづいた高機能な製品開発に強みがある。「リポソーム」技術に代表されるように、肌への浸透性や効果実感にこだわった製品で高い評価を得ている

・ブランドの世界観の構築:

「DECORTÉ」「JILL STUART」など、ブランドごとに明確な世界観やストーリーを構築し、それが製品の魅力と相まって顧客の共感を呼んでいる

・和漢植物研究:

「雪肌精」に代表されるように、和漢植物の知見を活かした製品開発がおこなわれている

花王

・幅広い生活者への浸透力と信頼性:

総合的な日用品メーカーであり、その強固な販売網と流通チャネルを活用して、製品を幅広い消費者に届られる

・「手が届く高品質」の提供:

「ソフィーナ」「キュレル」など、機能性の高い製品を手ごろな価格で提供

各社が異なるアプローチで市場における独自の競争優位性を確立していることがわかります。

資生堂は、その歴史とグローバルなブランド力を最大の武器とし、最先端の技術を駆使して世界市場での競争優位性を確立しています。一方、コーセーは、特定の技術やブランドの世界観を深く追求することで、コアな顧客層からの高い支持と信頼を獲得していると言えます。

そして花王は、日用品メーカーとしての強固な流通網と「手が届く高品質」という独自の立ち位置によって、幅広い層に製品を浸透させ、安定した収益基盤を築いていると言えるでしょう。

なお、就活を進めるには、各企業の持つ強みと、自分自身が重視したい点を照らし合わせることが重要です。

たとえば、グローバルに活躍できる機会が多い企業で働きたいと感じるなら資生堂、敏感肌など特定の肌悩みに特化した製品提供を通じて、肌悩みを持つ人のサポートをしたいと考えるなら花王、といったように、両者を照らし合わせることで志望企業が明確になるでしょう

③各企業の文化・理念を比較

最後に、資生堂、コーセー、花王の企業文化・理念を比較してみましょう。

資生堂

・歴史と革新性の融合:

150年以上の長い歴史を持つ老舗でありながら、常に新しいアイデアやAIなどの技術を積極的に取り入れる挑戦的な姿勢がある

ダイバーシティ&インクルージョン(多様な人々が互いを尊重し、それぞれの個性を活かして活躍できる環境づくりを目指す考え方)の推進:

グローバル企業として、多様なバックグラウンドを持つ社員の個性や意見を尊重する風土が強い

・温厚さと挑戦的な社風が混在:

日本の大手企業らしい温和で人を育てようとする風土と、外資系企業のようなスピード感や挑戦的な雰囲気が混在している

コーセー

・人を大切にする文化:

社員一人ひとりを大切にし、後押しする文化が受け継がれている

・協調性とチームワーク:

社内交流の活性化や部門間コミュニケーションを促進する取り組み(KoCoLaboの開設、社内SNSなど)が見られ、チームで協力しながらより良いものを生み出すことを重視している

・チャレンジ精神と貢献欲:

若手でもアイデアを出しやすい風通しの良い企業文化がある

性差にとらわれない美への追求:化粧品に男女は関係ないという考えを持ち、ジェンダー平等へのアプローチも積極的におこなっている

花王

・「花王ウェイ」という企業理念:

花王で働くにあたっての行動原則が明文化されており、高い倫理観と誠実さを重視する文化が浸透している

・顧客への徹底した視点:

「豊かな生活文化の実現」を使命とし、「よきモノづくり」を通じて社会貢献を目指しており、「生活者のニーズに寄り添う」ことを最優先に考える顧客志向が非常に強い

・堅実なものづくりと品質へのこだわり:

基礎研究に裏打ちされた技術力と、品質に対する妥協しない姿勢が特徴。問題解決には部署間の連携やチームワークを重視し、困った時には相談できる風通しの良さがある

出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信|株式会社資生堂 出典:2025年 第2四半期決算説明資料|株式会社資生堂 出典:2023年実績(1-12月)および2024年見通し|株式会社資生堂 出典:SHIFT 2025 and Beyondアクションプラン 2025-2026|株式会社資生堂 出典:業績・推移データ|IR ライブラリ|投資家情報|株式会社資生堂 出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)決算短信|花王株式会社 出典:2025年12月期 第2四半期(中間期)連結決算の概要及び中期経営計画「K27」の進捗|花王株式会社 出典:経営戦略と中期経営計画「K27」|花王株式会社 出典:2025年12月期第2四半期(中間期)決算短信|株式会社コーセー 出典:サステナビリティ戦略|株式会社コーセー 出典:2025年12月期 第1四半期決算説明会資料|株式会社コーセー 出典:中長期ビジョンVision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030|株式会社コーセー

資生堂はグローバルな挑戦と多様性を推進し、変化を恐れず果敢に新たな挑戦をする文化が強い一方で、コーセーは社員一人ひとりを大切にする協調的な環境が特徴であると言えます。また、花王は、堅実な倫理観と顧客志向の強さが特徴的で、社会貢献を重視する文化が根付いています。

このように、各企業によって企業文化は大きく異なるため、これらの違いを明確に理解することで、どの企業が自身の価値観や理想の働き方に合致するかを見極めるヒントになるでしょう

化粧品会社に向いている人の5つの特徴

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化粧品会社の志望動機でよく見られるのが「化粧品が好き」という理由です。しかし、選考では「自社に貢献してくれる人材か」というビジネス視点が学生を判断する基準になるため、「自身の資質や特徴を活かして活躍できること」を伝える必要があります。

そのためには、化粧品会社に向いている人の特徴をしっかり押さえておくことが不可欠です。

ここからは5つの特徴について解説するので、自分自身が当てはまっているか確認しながら読み進めましょう。

①トレンドに敏感で美容やコスメに強い関心がある人

流行の移り変わりが非常に速い化粧品業界では、各社が次々と新商品を発売し、新しいメイクアップのトレンドやSNSでの「バズり」など、日々新しい情報が生まれています。

そのため、化粧品業界は、美容やコスメに人一倍強い関心を持ち、常にアンテナを張ってトレンドを追求できる人が活躍できます。化粧品の成分や最新の美容トレンド、各ブランドのコンセプトなど、幅広い分野に関心を持ち「知りたい」と思える姿勢も大切です。

②好奇心が強く探求心や分析力がある人

「なぜこの成分が注目されているのだろう」「この商品はなぜこんなに売れているのだろう」といった知的好奇心を常に持つことは、化粧品業界で働くうえで非常に重要です

たとえば、企画職として新商品を考える際は、「SNSでバズったコスメ」といった表面的な人気だけでなく、「なぜその製品が消費者に響いたのか」「どのような点が評価されたのか」といった要因を多角的に分析することが不可欠です。

このように、さまざまなことに強い関心を持ち、「なぜ」を繰り返し考えられる人は、化粧品業界で大いに活躍できる強みを持っていると言えるでしょう。

③提案力がある人

化粧品会社で働くには、さまざまな場面で相手のニーズを的確に理解し、適切な解決策やアイデアを提示する提案力が求められます。

たとえば、販売職として顧客の悩みをヒアリングし、最適な製品を勧める際、顧客のニーズを正確に理解して、自社製品を魅力的だと感じてもらえる提案をする必要があります

自分の考えをわかりやすく相手に伝えたり、相手のニーズを的確に引き出したりできる人は、化粧品会社で働くうえで非常に重要な資質を持つと言えるでしょう。

④変化を楽しめて柔軟性がある人

化粧品業界は、トレンドの速さに加え、テクノロジーの進化、消費者の価値観の変化、サステナビリティへの意識の高まりなど、外部環境が常に変化しています。

たとえば、新型コロナウイルス感染症が流行した際には、「マスクで顔半分が隠れるから外出時に化粧をしなくて良い」と考えた人もいるのではないでしょうか。リップメイクの需要や消費者の関心が薄まった一方で、マスクによる肌荒れを緩和するスキンケア商品は話題になりました。

こうした変化をネガティブにとらえるのではなく、むしろ新しいチャンスとして楽しめる柔軟な思考が必要です。「これまでのやり方にとらわれず、新しいことに挑戦しよう」という前向きな姿勢で、予期せぬ状況にも臨機応変に対応できる人が活躍できるでしょう。

⑤責任感のある人

化粧品業界では、顧客の肌に直接触れる製品を扱うため、安全性や品質に対する意識を常に高く持つ責任感が非常に重要になります。

たとえば、製造現場は責任感を発揮して仕事をすべき場面の一つです。ほんのわずかな異物混入や成分の配合ミスが、顧客の健康を損なう重大な事故につながる可能性があるため、定められた手順を遵守し、一つひとつの作業に細心の注意を払う責任感が求められます。

このように、化粧品業界で働くことは、顧客の美しさだけでなく、その安全と健康を守るという大きな責任を伴います。一つひとつの物事に責任感を持って取り組める人が、この業界に向いていると考えられるでしょう

化粧品会社の選考対策6選|内定者のアドバイス付き

化粧品会社の就職難易度はほかの業界と比べて高いため、化粧品会社への就職を目指すなら、選考に向けた効果的な対策をおこなうことが非常に重要です。

ここからは、化粧品会社への就職に向けてすべき6つのことを、内定者から集めた体験談やアドバイスをもとに紹介します。「化粧品会社へ就職したい」と改めて強く感じた人は、これらを実践し、化粧品会社への就職へ一歩近づきましょう。

①業界・企業理解を深めて志望理由を明確にする

化粧品業界は非常に人気が高く、多くの学生が応募します。そのため、「ただ化粧品が好き」というだけではなく、その企業を志望する具体的な理由を明確にすることで、ほかの学生との差別化を図る必要があるのです。

実際、資生堂の内定者は、以下のようなアドバイスを語っています。

内定者からのアドバイス

企業研究をしっかり行うことが何より大切です。数ある企業の中でどうして花王なのか?ということをしっかりと伝えるためにも、業界研究を行なった上で、花王ならではの強みや弱みをしっかりと見つけ、そこに「どのように自分の強みを生かして行きたいのか?」というマッチングを行うことがいいと思います。

面接に関しては、場数を踏めば踏むほど慣れてくると思うので、早い時期から積極的に練習や対策を行うことが大切であると思いました。 (2020年卒 大阪大学大学院 花王 技術系 研究職 内定)

内定者からのアドバイス

化粧品業界全体の資生堂含む企業の立ち位置を理解しておく。

また資生堂は海外の売りあげをさらに伸ばそうとしているため、海外の化粧品を扱う企業について調べ、世界での資生堂の立ち位置も把握しておくべきである。世界的にみると資生堂はまだまだである。 (2021年卒 近畿大学 資生堂 事務所限定職/国内工場(製造系・技術系・事務系) 内定)

まずは徹底した業界・企業研究を通じて、志望企業のブランド・製品や強み、企業文化などを深く理解しましょう。以下の項目を参考に、志望企業の業界・企業研究を進めてください。

業界研究

・業界の立ち位置と分類

・業界の市場規模と成長率

・業界全体の構造とサプライチェーン

・業界全体の主要なプレイヤー(競合他社)とその特徴

・業界が抱える課題とトレンド

・業界の歴史と変遷

・社会・経済が業界に与える影響

・業界で求められる専門知識・スキル

企業研究

・企業概要

・企業理念・ビジョン・ミッション

・事業内容、おもな化粧品ブランド、製品・サービス

・主要なターゲット層

・競合他社と差別化戦略

・過去の成功事例・失敗事例

・今後の事業展開・成長戦略

・企業文化・社風

・働き方・福利厚生

・求める人物像

次に、調べた企業の情報が自身の価値観や将来ビジョンとどのように結び付くのかを考えましょう。

この際、これまでの経験と結び付け、根拠として示すことが重要です。

そうすることで、「基礎化粧品を使うことで肌荒れを改善することができ、それが自信につながったという経験があったからこそ、志望企業の敏感肌、ニキビ肌、混合肌などさまざまな肌悩みに合わせた基礎化粧品を開発・製造している点に魅力を感じている」と自分ならではの経験をもとに考えを明確に伝えられ、志望動機に説得力が生まれます。

面接では自分の言葉でこれらを伝えることで、志望度の高さと企業への貢献意欲を示すことができ、採用担当者への好印象につながります

②自己分析を徹底し化粧品会社で活かせる強みを明確にする

後ほど詳しく解説しますが、化粧品会社の選考では、自身の強みを具体的なエピソードを交えて問われる傾向があります。そのため、自己分析を徹底し、化粧品会社で働くうえで活かせる強みを具体的な経験とともに明確にすることが重要です。

化粧品業界で活かせるおもな強みは、「化粧品会社に向いている人の5つの特徴」の要素です。これらを参考に、自身がアピールすべき強みを明確にしましょう。

資生堂と花王の内定者は、以下のように自己分析の重要性を語っています。

内定者からのアドバイス

資生堂への内定を目指すなら、学生時代の経験の独自性などを前面に出し、自分の強みを明確に示すことが重要だと思います。企業の中長期計画や最近の取り組みを調べ、自身の経験やスキルがどうその中で生かせるかを具体的に伝えることが重要だと思います。

面接では、誠実で丁寧な表現が求められるため、準備と自己分析を行うべきです。

また、業界や企業研究だけでなく、自分のキャリアビジョンもしっかりと伝えることが重要です。資生堂の企業文化や価値観に共感し、その一員としての自覚をアピールするとよいと思います。 (2024年卒 資生堂 Research & Development(R&D) 内定)

内定者からのアドバイス

自分のやりたいこと、それを叶える方法を明確にすること。その方法が正しいかということよりも、自分で頑張って調べてわかったことであれば評価してもらえます。

この企業に限らず、業界のOB訪問を行うことは重要だと感じました。面接でない場で自分をさらけ出すことは勇気がいりますが、自分の挑戦したいことに対してもらう意見は本当に貴重で、面接でもとても役に立ちます。企業研究や競合他社の研究、職種について調べることなど、インターネットでも書籍でも情報がたくさんあるので、広く見ておく視点が特にこの職種においては大切だと思います。

この企業では入社熱意も非常に重視されるので、自分の気持ちを熱心に話せば面接官にも伝わると思います。 (2020年卒 慶應義塾大学 花王 事務系 マーケティング・商品開発職 内定)

自己分析の際は、以下の手順に沿って自身の強みや弱みを正確に把握しましょう。

参考までに、化粧品会社の内定者が選考でどのように強みを伝えていたかを紹介します。

内定者の回答

私の強みは、失敗を恐れず、実行することができることです。

私は新しいコミュニティの場を作ること、自己解決能力を養うために、一人旅育成プランに参加し、12人の仲間と共にタイとカンボジアで8日間過ごしました。初対面の人たちとの旅だったので、意見が食い違うこともありましたが、話し合いを重ね、一人一人の意見に耳を傾けたことで傾聴力が身に付きました。

また、行き帰りと最終日は一人だったので、そのような言語の通じず、誰にも頼れない環境に身を置いたことで、自分で物事を処理する能力が身に付きました。私はこのように、自分が成長できるチャンスがあれば、率先して取り組みます。

アテンダントスタッフとして、自分ぼ成長と共に、お客様の美とご要望に応えるために、失敗を恐れず、お客様としっかり向き合っていきたいと考えております。 (2021年卒 東京経済大学 ピアス 販売職 内定)

内定者の回答

私の強みは、「異なる分野に挑戦し、成功体験を積み重ねた」ことである。

高校時代、サッカーの強豪校に進学し、日々の厳しい練習のなかでチームメイトと切磋琢磨した結果、全国ベスト16という歴代最高の成績を収めた。

大学時代では、医療系の学部に進学しており、入学当初の成績は、学年で最下位であったため、友人に協力してもらうことで莫大な記憶の情報処理に励んだ。その結果、3年次から成績が伸び始め、最高学年次には学年上位の成績を収め、国家資格を取得した。

そして現在は、大学院で研究活動に励んでいる。私の長所である「チャレンジ精神」を活かし、0から1を生み出すクリエイティブな能力を身につけたい。 (2024年卒 信州大学大学院 アルビオン 研究職 内定)

強みについて、一人目の内定者が述べた「失敗を恐れず、実行できること」は、化粧品業界で非常に重要な資質です。たとえば、新しい美容トレンドや販売手法を試す際、失敗を恐れずに実行に移せる行動力は、常に変化し続ける化粧品市場で顧客の関心を引き付けるために不可欠だと言えるでしょう。

また、二人目の内定者が持つチャレンジ精神も、この業界で大いに活かせる強みです。たとえば、革新的な新素材や製品技術の開発において、これまでの常識や定説を疑い、成功率の低い未知の領域に踏み込んでいく探求心として発揮されるでしょう。

このように、内定者たちは「化粧品業界で働くうえで再現性のある強み」を具体的なエピソードとともに伝えたことが評価されたと考えられます。

③コミュニケーション能力や協調性を発揮した経験を考える

化粧品会社では、研究職やマーケティング職、営業職など、さまざまな職種の人々が連携して業務を進めています。そのため、化粧品会社で働くうえでは、他者に自分の考えを的確に伝えるコミュニケーション能力や、チームでの取り組みを円滑に進める協調性が非常に大切です。

選考で効果的にこれらの能力を発揮した経験を伝えられるよう、事前に洗い出しておくことが重要です。以下の項目を参考にし、自分の経験を思い返してみましょう。

実際に、内定者は過去の経験を聞かれた際に、以下のようなエピソードを伝えていました。

内定者の回答

私は大学で体育会系部活動に所属しており、部活動を通じて多くの貴重な経験を積むことができました。特に、リーダーシップやチームワーク、問題解決能力を磨くことができた点が大きな成長につながりました。3年次にはキャプテンに選ばれました。キャプテンとしての役割は、チームメイトのモチベーションを維持し、練習や試合でのパフォーマンスを最大限に引き出すことでした。特に、全員が共通の目標に向かって努力できるように、定期的にミーティングを開催し、意見を交換し合いました。

また、練習メニューの改善や新しい戦術の導入など、チームのパフォーマンス向上に向けた具体的な提案を行い、チームの一体感を高めました。試合での敗北やメンバーの怪我など、さまざまな困難に直面することもありました。その度に、チーム全体で問題の原因を分析し、改善策を考えることで、次に繋がる成長を遂げることができました。例えば、練習内容の見直しやメンバーの役割分担の再調整を行い、チームの弱点を克服しました。

御社のサプライチェーン職でも、これらの経験を活かし、チーム全体の効率とパフォーマンスを向上させるための貢献をしたいと考えています。リーダーシップを発揮して、プロジェクトチームを統率し、メンバー間の円滑なコミュニケーションを図りながら、共通の目標達成に向けて努力します。また、問題解決能力を活かし、サプライチェーンの効率化や最適化に取り組み、御社のビジネス成長に寄与したいです。 (2025年卒 資生堂 Supply Chain 内定)

この回答は、学生が部活動を通じて培った能力と役割意識を具体的に示しています。

特に、キャプテン経験を通じて「チーム内での自分の役割を理解し、適切な行動を主体的に考えられる」能力が備わっている点が企業に評価されると考えられます。これは、単なる経験ではなく、困難な状況下でチームに貢献し、組織を動かす力として伝わるため、「入社後も自身の強みを発揮して積極的に組織に働きかけてくれるだろう」という期待につながるでしょう。

④積極性や挑戦意欲を発揮した経験を考える

化粧品業界は、変化が激しい業界であることを解説しました。そのため、化粧品会社は変化に常に対応できる人材を求めており、積極性や自主性、チャレンジ精神を持っていることが非常に重要になります

以下のような経験がこれまでにないか、ぜひ振り返ってみましょう。

実際に、内定者は自己PRとして以下の回答をしています。

内定者の回答

私は自ら課題を見つけ、考え、解決のために主体的に行動することができる。

私が院での研究の対象に選んだ〇〇は、もう研究が終わっていると言う実験家もいた。しかし私は、実験家が当たり前とした現象に理論家として疑問を呈してテーマを設定し、〇〇も通過することができた。

当たり前と言われていることにも疑問を投げかけて突き詰める姿勢は、新しい価値の創造が求められる商品開発において重要だと考える。

また、研究を進める上で分からないことがあるときは、文献を読むだけでなく、自ら学会や勉強会に出向いてアドバイスをもらい、一つひとつ問題を解決してきた。これにより培われた問題解決力は、商品の課題をみつけて解決していく上でも必ず活かされると考える。固定観念にとらわれずにお客様や商品と向き合い、多様な視点で課題を見つけ、一つひとつ丁寧に解決しながら商品開発研究をしたい。 (2019年卒 立命館大学 資生堂 研究開発職 内定)

この回答は、研究テーマの選定から課題解決のプロセス全体を通して、「主体性」や「挑戦意欲」を効果的にアピールできています。

これらの経験から培った問題解決力は「商品の課題を見つけて解決していくうえでも必ず活かせる」と結び付けており、入社後も果敢に商品開発に挑戦し続けるという、高い貢献意欲が採用担当者に伝わるでしょう。

⑤論理的思考力を発揮した経験を考える

化粧品業界で働くうえで、論理的思考力は重宝される能力です。

たとえば、新商品の開発では、市場データや顧客ニーズを多角的に分析し、ターゲット層の特定や競合との差別化ポイント、具体的な成分の選定からコスト効率までを一貫した論理で組み立てる必要があります

また、マーケティング戦略を立案する際にも、感覚だけでなく「なぜこの広告が消費者に響くのか」「なぜこの販売方法で売り上げが伸びるのか」といった成功要因や、「なぜあのキャンペーンは失敗したのか」という失敗要因を客観的な視点から分析し、次の施策を考案する論理的思考力が求められるでしょう。

実際、ある内定者は、内定を獲得するためには論理的思考力が必要であることを語っています。

内定者からのアドバイス

論理的に自分の発言の理由の理由くらいまで説明できることが大切だと思います。そのため、対策をしっかり行い堂々とした態度で臨むことが、内定が出る人と出ない人の差と思います。

どんな質問が返ってくるか、面接のイメージトレーニングをするといいと思います。 (2018年卒 大阪大学大学院 花王 技術系 研究職 内定)

論理的思考力をアピールできる経験があるか、下記の例を参考に自分の経験を思い出してみましょう。

⑥面接では清潔感や身だしなみを意識する

化粧品業界の選考では、見た目に細心の注意を払い、清潔感のある身だしなみを意識しましょう。特に、美容部員など販売職の選考では、表情や立ち振る舞いまで見られていたと複数の内定者は感じています。

内定者からのアドバイス

インターンシップに参加する事で、企業への理解や自分の働く姿を具体的にイメージできるようになるので、推奨します。面接の時には、何故化粧品会社でなぜ販売職なのか、軸をしっかりと持っておく事が大切です。

また、美容のお手本とでもいえる存在なので、常に身なりや化粧の仕方に気を使うことも重要だと思います。面接を受ける前には、必ず実際の店舗に足を運び、カウンセリングを受けた時の感想を用意しておく事で、面接時に誠実さや熱意を伝える事が出来ると思います。 (2021年卒 常葉大学 ピアス 販売職 内定)

内定者からのアドバイス

美容職であるため、やはり他の企業に比べて見た目はしっかりと気を付けた方が良いと思います。メイクの仕方や服の着こなし、立ち居振る舞いなども普段以上に気を付けたうえで面接に臨むことがまずスタートラインかなと思います。 (2019年卒 奈良女子大学 イプサ レシピスト(美容職) 内定)

面接に臨む前には、以下の点をチェックしましょう。

チェックリスト 詳細
服装 ・しわや汚れがないか、サイズは合っているか

・過度に派手な色やデザインではないか
髪型 ・寝癖がなく、フケなどが付いていないか

・前髪が顔にかかりすぎていないか、表情がよく見えるか

・整髪料を付けすぎていないか
メイク ・派手すぎず、健康的で明るい印象か
・短く整えられているか、清潔か
香り ・香水は基本的に使用しない。する場合はごく控えめにしているか

・口臭、体臭はしないか
表情・立ち振る舞い ・口角を上げ、笑顔を意識する

・背筋を伸ばし、堂々とした姿勢を保つ

・面接官の目を見て話す

・過度なジェスチャーは避け、落ち着いた印象を心掛ける

これらの点を細かくチェックし、万全の状態で面接に臨むことで、あなたの印象は格段に良くなります。

特に化粧品業界では、この学生が「美」を扱う化粧品会社の社員としてふさわしいかどうかという視点で見られています。外見だけでなく、自信に満ちた内面から感じられる「美しさ」も意識して準備を進めましょう。

化粧品会社の選考でよく聞かれる質問6選|内定者の回答付き

化粧品会社の選考では、どのような質問がされるのでしょうか。

就活会議のデータを分析すると、ほかの業界でも聞かれるような一般的な質問が多いことがわかりました。しかし、化粧品業界への意欲をアピールすることは不可欠です。それぞれの質問に対し、具体的な根拠や理由を示して論理的に答える必要があります。

化粧品業界の面接を控えている人は、内定者の回答例を参考にしながら、自身の回答を準備し、選考対策を進めていきましょう。

①志望動機

どの業界の企業の選考でも、志望動機はよく聞かれる質問です。化粧品会社の選考でも、特に以下3点の内容が問われます。

この質問から、採用担当者は、「化粧品業界でなければならない理由」と、この業界に対する本気度を見極めようとしています。単に「好き」という感情ではなく、「なぜこの業界か」という必然性が問われます。

採用担当者に入社への本気度を伝えるためには、自身の具体的な原体験を核としましょう。たとえば、「化粧品を使用することで肌悩みを改善し、自分の容姿に自信が持てるようになった」といった経験です。

その際、「化粧品が人の心を前向きにする力を実感した」といった、当時の喜びや感動という率直な感情を語ることで、あなたの価値観と業界への強い結び付きを説得力を持ってアピールできます。

志望動機を答える際は、以下の流れに沿って回答を組み立てるのがおすすめです。自分の経験や考えを盛り込み、論理的かつわかりやすく伝えましょう

なお、以下の記事では面接での志望動機の答え方や、書類選考での志望動機の書き出しについて詳しく解説しています。これらも参考にし、周囲と差を付ける志望動機を作成しましょう。

面接の志望動機の答え方とコツ4選|内定者回答10選付き志望動機の「書き出し」5つの型|内定者ESから差がつくコツを解説

化粧品業界を志望する理由

この質問に答える際は、化粧品業界を志望する理由として自身の原体験を交えて伝えるのが効果的です。また、「なぜ化粧品業界でなければならないのか」といった理由を、自身の考えを明確にしたうえで具体的に述べましょう。

実際に、数々の内定者が自分ならではの経験や化粧品業界に対する独自の考えを示したうえで、志望理由を伝えています。

内定者の回答

私はもともと化粧品が好きだったということもあるのですが、今私が大学で学んでいる心理学が化粧品に大きく関係していると講義の中で知り、化粧品に関わる仕事がしたいと考えるようになりました。

もともとファンデーションは火傷などでできた顔の傷が気になって心理的負担を感じている人のために作られたものだと講義で知り、化粧品は人の心を助けることができる素敵なものだと感じました。また、心理学で得た傾聴の力は、お客様と店頭でお話ししてカウンセリングを行う際に重要になってくると考えています。

そこで、私の学んだ心理学の知識や傾聴力を活かし、大好きな化粧品に関わり女性が美しくなる手助けをする仕事がしたいと思い、化粧品業界を志望しています。 (2018年卒 関西福祉科学大学 アルビオン ビューティーアドバイザー 内定)

この回答では、自身の専門分野を化粧品の持つ「人の心を助ける」といった社会的価値と結び付けることで、「なぜ化粧品業界なのか」という理由を論理的に示しています。

大学で学んだ傾聴力を、店頭でのカウンセリングで活かしたいと述べることで、自分のスキルが志望企業の業務でどう活かせるかを明確にアピールできています。

内定者の回答

美容部員として、人々に、自信と美しさを提供するのが私の夢だからです。

中学生や高校生の時に、友人に何度かメイクをしてあげる機会があり、自分の手で人をキレイにすることができることに喜びを感じ、鏡を見て喜んでくれる友人の姿を見て、女性を自分の力やアドバイスで美しくすることができる美容部員に興味を持ちました。

美しくなりたい、理想の自分になりたいという思いでご来店なさったお客様の気持ちを絶対に無駄にはしたくなくて、美容部員としてそのような前向きな気持ちをサポートし、寄り添うことで、お客様の自信と美しさに繋がると考えています。私自身、美容部員の方が、コンプレックスを隠すのではなく活かすメイク法を教えてくださり、メイクの楽しさと自信を与えてもらいました。

この経験から、私も悩みを持ち、美しくなりたいという思いでご来店なさったお客様の1番近い存在として、寄り添い、自信を与えてより美しくなっていただきたいです。 (2021年卒 東京経済大学 ピアス 販売職 内定)

この回答では、「誰かを美しく変えたい」という原体験と自分自身が美容部員から受けた感動を重ね合わせることで、熱意と貢献意欲を効果的に伝えています。

特に「美しくなりたい、理想の自分になりたいという思いでご来店なさったお客様の気持ちを絶対に無駄にはしたくない」という表現は、顧客の心に寄り添う高い共感力と誠実な姿勢を示しています。これは、信頼関係が重視される販売職において、非常に評価されるポイントだと考えられるでしょう。

数ある企業のなかでその企業を志望する理由

化粧品業界の企業のなかでその企業を志望する理由を聞かれた際は、その企業独自の強みや特徴を理解したうえで、企業と自身の考えや経験の「共通点」を具体的に伝えることが重要です。

ある資生堂の内定者は、なぜ化粧品業界を志望し、そのなかでも資生堂を選んだのか面接で問われました。実際の回答を見てみましょう。

内定者の回答

私は御社の消費者のニーズを正確に捉えるマーケティング力、そしてそのニーズに応えるために努力を惜しまない製品開発に魅力を感じ志望しました。

私はよさこいでの衣装製作で人の見た目の美しさに関わる仕事をしました。失敗も多くありましたが、美しい衣装やメイクを身にまとうと踊り子は見違えるような笑顔でパフォーマンスをしてくれました。

この経験から、美しさは人の心のあり方を変えることを実感し、化粧品に興味をもち志望しました。

また、私は身だしなみのひとつとしてメイクをします。しかし、現状では男性用の化粧品はまだ市場に数が少なく、気軽に入手することができません。貴社の世界に通用するマーケティング力を活かした製品開発やプロモーションを行うことで、男性の化粧文化を世の中に浸透させたいです。 (2019年卒 立命館大学 資生堂 総合職 内定)

この回答では、自身の個人的な経験と具体的な貢献ビジョンを、資生堂の「マーケティング力」と「製品開発力」という強みに結び付けています。これにより、企業研究の深さを採用担当者にアピールできているでしょう。

特に「貴社の世界に通用するマーケティング力を活かして、男性の化粧文化を世の中に浸透させたい」という具体的な目標を述べることで、高い主体性や入社後の貢献意欲を伝えられています。

その職種を志望する理由

職種の志望理由を伝える際は、自身の具体的な原体験を交え、なぜその職種に興味を持ったのかを明確に示しましょう。

たとえば、単に「マーケティング職に興味を持ったから」という理由だけでは、なぜ興味を持ったのかその過程を知ることができず、説得力に欠けてしまいます。

「ゼミで化粧品企業と協働プロジェクトをおこない、化粧品のPR方法を考案することが楽しかった」という理由を付け加えることで、あなたならではの経験や価値観がしっかりと伝わり、ほかの就活生と差を付けることができるでしょう。

実際に、ピアスのある内定者は事務系総合職の志望理由を以下のように伝えています。

内定者の回答

マーケティング職において製品企画を行いたいと考えています。

その理由は、より多くの人に製品を通して自信を届けるための手段としてマーケティング職が最適だと考えているからです。

そのように思ったきっかけは以前行っていた広告代理店でのインターンシップ経験にあります。そのインターンシップで各メーカーのブランド担当者の方々とお会いしていましたが、皆様仰っていた事が「自分の想いを製品に乗せて多くの人に届けられることが企画の醍醐味だ」という事で、すごく印象に残りました。

そこから、日本や世界中のお客様が自分を変える瞬間、自信を持てる瞬間に製品を通して側にいる事ができるこの職種に魅力を感じたので、御社でもマーケティング職として活躍したいです。 (2022年卒 立教大学 ピアス 総合職(事務系) 内定)

この回答では、自身のキャリアの目標と動機となったインターンの経験を明確に結び付け、その職種を志望する理由を説得力を持って伝えています。特にインターンでのブランド担当者の言葉を引用することで、志望動機に深い納得感が生まれていると言えるでしょう。

「日本や世界中のお客様が自分を変える瞬間、自信を持てる瞬間に製品を通して側にいる事ができるこの職種に魅力を感じた」とマーケティング職の魅力を自分の言葉で表現しており、この学生の価値観や考えが理解できます。

②学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)

化粧品業界の選考でガクチカを聞かれた際は、、「チームでの協調性」と「粘り強く努力し続けた経験」を伝えるのが効果的です

これは、化粧品会社が多部署連携で製品を世に送り出すため、チームで一体となれる協調性が不可欠だからです。また、開発やマーケティングなど、成果が出るまで試行錯誤が続く業界特性上、困難な状況でもあきらめずに取り組む根気強さが、入社後の活躍の再現性として評価されます。

資生堂の内定者は、以下の経験をガクチカとして伝えています。

内定者の回答

文化祭のダンス発表で30名の振付指導者を務め、最優秀賞を受賞したことです。

当初、メンバー間で振り付けの習得度合いに差がありました。指導者として1人1人と積極的に対話を重ねたところ、従来の一斉指導ではついていけない人が多数いると判明しました。そこで私は、ダンス経験者に協力を仰ぎ、分担して振り覚えが苦手な人に個別練習を導入しました。個別練習では、一斉練習ではできないような細かな部分を個人のペースに合わせて徹底的に教えることができると考えたからです。

こうして振りの習得差が埋まった結果、本番では一体感のある演技を披露して最優秀賞を受賞しました。

この経験から、私は1人1人と向き合う大切さを学びました。また、自分のビジョンをメンバーに共有し、皆の意識を一つにすることが重要であると学びました。 (2022年卒 慶應義塾大学 資生堂 Brand Marketing 内定)

この回答では、具体的な目標設定と課題点、課題解決に向けておこなった行動が示されています。

「30名の振付指導者」というリーダーシップを発揮した役割を明確に伝えています。最終的に最優秀賞という成果を出しているだけでなく、「一人ひとりと向き合う大切さ」「ビジョンを共有することの重要性」といった学びまで言語化できているため、経験から深い学びを得る自己成長の姿勢が伝わるでしょう。

③自身の強み・弱み

この質問では、採用担当者は学生の客観的な自己分析力と、強み・弱みが自社の仕事や文化にどう貢献・影響するかを見極めようとしています。化粧品会社の選考でアピールすべき強みは、「化粧品会社に向いている人の5つの特徴」で紹介した特徴を参考に考えてみましょう。

また、企業は、あなたの短所を通じて自己分析力と成長意欲を測っています。化粧品会社の選考では、ただ強みを述べるだけでなく、弱みを挙げたうえでその克服に向けた具体的な行動や今後の改善策を必ず伝えましょう。これにより、自己理解の深さと、入社後も課題に向き合い成長し続ける主体的な姿勢をアピールできます。

あるコーセーの内定者は、自身の強みについて具体的なエピソードとともに伝えています。

内定者の回答

私の強みは「信頼関係を結ぶ力」です。

学生時代、スターバックスのアルバイトをする中で「お客様の心を掴む」ことに力を入れました。売り上げ推進係として、初め笑顔とショーケース内のフードの見栄えに注力しましたが成果には繋がらず苦労しました。そこで商品そのものをお勧めするのではなくお客様のことを知る事を意識しました。お客様のお顔とお名前、お好みのカスタマイズを覚え、お客様によって接客方法を変化させました。

最終的にはお客様の定着率を前年比から10%上げ、月間MVPを4ヶ月連続で頂く事が出来ました。

御社では、新規のお客様や既存のお客様がいらっしゃると思いますが、私の強みである「信頼関係を結ぶ力」でお客様の真のニーズを読み取りお客様に喜んで頂ける化粧品を提供し続けます。 (2020年卒 東洋大学 コーセー ビューティコンサルタント 内定)

この回答では、販売職で重視される「信頼関係を結ぶ力」という強みを、試行錯誤と具体的な成果を交えて論理的に示しています。

特に、最初は「笑顔とフードの見栄え」という表面的な施策で失敗した経験を正直に述べ、そこから「商品そのものをお勧めするのではなくお客様のことを知る」という本質的な気付きを得ていることから、顧客の真のニーズを深く理解しようとする姿勢と、それを実現するための高い貢献意欲が感じられるでしょう。

また、ある花王の内定者は、自身の強みと弱みを聞かれた際に以下のように回答しています。

内定者の回答

私の強みはチャレンジ精神と行動力です。無謀な挑戦はしないが、できうる可能性が少しでもある事には積極的に挑戦し、困難な課題に直面しても、他の人と議論し合いながら、広い視野を持って挑戦し続ける事で、成果につなげる事ができます。

一方弱みは、頼まれごとを断ることが苦手な点です。本来自分がやるべき作業に影響が出ることもあるので、余裕がない時は自分の状況を相手にしっかり伝え断る勇気を持つように心がけています。 (2022年卒 千葉大学大学院 花王 総合職 内定)

この回答で注目したいのは、弱みの回答方法です。「今後その弱点をどのように改善するのか」という具体的な施策を述べている点が評価できます。これにより、弱みをそのまま放置せず、改善しようとする前向きな姿勢が感じられるでしょう。

④入社後に挑戦したいこと・歩みたいキャリアプラン

この質問は、学生がどれだけ本気で仕事に向き合っているか、また企業の方向性と考えが合っているかを確認するために聞かれます。

たとえば、「肌の悩みを解決して自信を与えたい」「ブランドを通して新しい体験を届けたい」といった形で、化粧品を通じてどんな価値を顧客に提供したいのかを具体的に示しましょう。。そのうえで、その思いが企業のビジョンや強みとどのように重なるのかを説明すると、目的意識の高さと企業とのマッチ度を効果的に伝えられます。

以下の回答は、資生堂の内定者が資生堂で歩みたいキャリアについて聞かれた際の回答例です。

内定者の回答

私は入社後、お客様からまた会いたいと思ってもらえるようなビューティーアドバイザーになりたいと考えています。

そのためには、お客様の言葉一つ一つに耳を傾けることが大切だと思います。そこで、私が心理学を学んで得た傾聴の力を活かし、お客様が話しやすい環境になるよう意識したいと思います。

また、お客様によって悩みはそれぞれ違うことや、自分の悩みを人に打ち明けることはとても勇気がいることだと思うので、お客様が安心して相談してくださるよう、どんな時も笑顔でまっすぐお客様に向き合いたいと考えています。

そして、お客様に「この人に相談してよかった」「また会いたい」と思っていただけるようなビューティーアドバイザーになりたいと考えています。 (2018年卒 関西福祉科学大学 アルビオン ビューティーアドバイザー 内定)

この回答では、ビューティーアドバイザー職の役割を深く理解したうえで、その仕事の本質的な価値と個人の強みを明確に結び付けています。

「『この人に相談してよかった』『また会いたい』と思っていただけるようなビューティーアドバイザーになりたい」と具体的なビジョンを設定しており、ビューティーアドバイザー職としてのキャリアパスを強く志望している本気度と高い顧客志向が伝わる回答です。

また、あるコーセーの内定者は、「入社後はどうやってコーセーに貢献できるのか」を聞かれました。実際の回答は、以下の通りです。

内定者の回答

私は大学時代情報技術に関することを幅広く学んできました。

特に数理統計や機械学習といった分野を中心に学んできましたが、その他にも、画像認識や情報セキュリティ、ソフトウェア信頼性などもあります。現時点ではマーケティング分野で私がこれまで学んできたことを活かしたいと考えていますが、今後情報技術がどのように社会に浸透していくかわからない中、ある1点に集中して極めていくのはベストではないと考えています。

御社ではセキュリティやネットワーク、デジタルマーケティング等エンジニアが活躍できる領域が複数存在していることをいかし、これまでと同様に様々な学問に興味関心を持ちながら、時代の変遷についていけるよう、技術者として幅広い分野に関わっていきたいと考えています。 (2020年卒 大阪府立大学大学院 コーセー IT系総合職 内定)

この回答では、自身の専門性と企業が持つ多様な技術ニーズを結び付け、「変化への対応力」と「幅広い貢献意欲」を効果的にアピールしています。

特に「技術者として幅広い分野に関わっていきたい」という目標は、特定の部署に固執せず、企業の成長に合わせて自ら学び、適応していくという、総合職として求められる主体的なキャリア観を伝えることができるでしょう。

なお、志望企業での働き方を具体的にイメージするためには、OB・OG訪問もおすすめです。OB・OG訪問をすることで、インターネット上では知ることができない「リアルな情報」を収集することができます。

以下の手順に沿って、有意義なOB・OG訪問をおこないましょう。

①OB・OGを探して依頼する:

大学のキャリアセンター、大学の先輩や知人からの紹介、OB・OG訪問アプリ、SNSなどからOB・OGを見つける

②事前準備を徹底する:

企業情報や業界トレンドを確認、質問リストを作成、自己紹介の準備

③OB・OG訪問をおこなう

④訪問後にはお礼の連絡をする:

当日中~翌日にメールで送る

⑤業界・企業への理解度を測る質問

化粧品業界や志望企業への理解度を図るために、さまざまな角度から質問されることもあります

実際、化粧品会社の受験者は以下の質問をされています。

志望企業の課題点や改善点

就活会議のデータを分析すると、特に資生堂やコーセーの選考では、「弱みは何だと思いますか」や「コーセーの弱みはなんであると思うか、またその改善点は?」といった形で質問される傾向があることがわかりました。

この質問に十分に答えるためには、志望企業の企業研究を徹底することが不可欠です。ポイントは、面接で企業の課題点や改善点について問われた場合、単にネガティブな側面を指摘するのではなく、企業への深い理解にもとづいた建設的な視点と、課題解決への意欲を示すこと。

以下の手順に沿って、説得力のある回答を準備しましょう。

以下の回答は、資生堂が克服すべき課題を聞かれた際の内定者の回答です。

内定者の回答

この状況下で、御社が克服すべきもっとも大きな課題は、「どのようにして新しいお客様の心を掴むか」だと考えます。

御社はすでに、スキンケア化粧品へのニーズに応えるために、スキンビューティー領域のコア事業化に取り組まれていたり、Eコマースなどデジタル化にいち早く取り組まれているとお見受けしております。その一方で、デジタル化が進む中で、御社の優れたスキンビューティーをどのようにして新しいお客様に提供するか、そして、それをもう一度使ってみたいと感じてもらえるかが課題だと感じます。これまでは、店頭に足を運ぶことで、商品の質感や香り、感触など、商品の良さをダイレクトに感じることができました。

また、美容部員の方との会話や店頭の雰囲気などの商品以外の面でも、お客様の心をつかんでいたのではないかと感じます。そのため、これまでお客様の心を掴むきっかけは、そういったオフラインのサービスに依存していた部分があるのではないかと考えます。これからは、オンラインというツールを新たに組み合わせて、お客様の心を掴むビューティイノベーションを実現する必要があると感じます。

この課題を克服するために、一つの例として私の考えを申しあげますと、お客様とコミュニケーションを取る機会を増やすことが必要だと考えます。御社のブランド価値は、商品の良さだけでなく、美容部員の方の会話や、御社の雰囲気など、包括的なものであり、それが、もう一度使ってみたいという生活者のワクワク感に繋がると考えるからです。

私はR&D志望ではございますが、御社においてお客様と積極的にコミュニケーションを取りたいと考えています。 (2022年卒 東京工業大学大学院 資生堂 Research & Development(R&D) 内定)

内定者の回答

御社は素晴らしい製品と世界的なブランドを有していると思います。しかし、化粧品業界の競争が激化している中、デジタルマーケティングやオムニチャネル戦略の強化が求められていると考えています。

また、環境への取り組みやサステナビリティへの貢献が更に重要化しており、製品開発やサプライチェーンの持続可能性の向上が、御社の課題だと考えています。私が御社に入社したら、新たな消費者層へのアプローチや顧客ロイヤリティの構築することで、これらの課題に対応し、変化する市場に適応していきたいと思います。 (2024年卒 資生堂 Research & Development(R&D) 内定)

これらの回答では、単に企業の課題を指摘するだけでなく、その背景にある市場の変化や業界の動向まで踏み込んだうえで、自分なりの解決策や貢献意欲を示している点が高く評価できます。

また、どちらの回答も表面的な課題にとどまらず、なぜそれが課題なのかという深掘りや、その課題に対して自分自身がどうかかわりたいかという前向きな姿勢が示されており、採用担当者にとって非常に説得力のある回答となっています。

愛用している製品

化粧品業界の選考では、愛用している製品について聞かれることが特徴的です。使ったことのある志望企業の製品について問われることもあれば、自社製品にかかわらず愛用している製品について聞かれることもあります。

これを聞かれた際は、なぜ使用しているのか、その製品の魅力を言語化することが重要です。たとえば化粧下地や口紅など、同じジャンルのほかの企業の製品と比較して魅力を伝えると、選考担当者に「普段からその製品を愛用している」という熱意が伝わりやすくなります。

以下の回答は、コーセーの選考で出題された「普段使っているお気に入りのコスメに関する2分間プレゼンテーション」の内定者の回答例です。

内定者の回答

〇〇大学から参りました。〇〇と申します。これから私のお気に入りのコスメを紹介させて頂きます。

私のお気に入りの商品は、こちらのアディクションのアイシャドウの92番のマリアージュです。 こちらのアイシャドウは、ベストコスメアワードでアイシャドウ部門第一位と、コスメの総合部門でも第一位をとったことのあるアイシャドウで、一時は入手困難にまでなった大人気商品です。2015年の発売以来、百貨店はもちろん、オンラインショップでも不動の人気があります。私は、このアイシャドウを3年前から使っており、リピートして購入しています。使っているコスメの中で、最も思い入れのあるアイシャドウなので選ばせて頂きました。

こちらのマリアージュは、濡れたように煌くシャンパンベージュで、上まぶたはもちろん、涙袋に入れてもうるつやな瞳を表現してくれます。

私がお客様にオススメする理由は4点あります。

1つ目は、ブルベ、イエベ関係なく使っていただくことが出来ます。このお色は他のアイシャドウに重ねてラメを足しニュアンスを変えるのに特化したものです。多少ブラウンっぽさを感じますが色はつかず、ザクザクのラメがキラキラして可愛いです。特にブルベ、イエベ関係なく使えるので1つ持ってると便利だと感じました。

2つ目はとにかく美しくラメラメ。ラメ好きにはたまらないです。大粒のラメなので、アイホールの真ん中くらいにつけると濡れ感もでてキュートな目元に。色はあまりつかないので、単体で使うよりも部分的にプラスで塗るのが1番良いかも。ラメ好きにはたまらない逸品です。

3つ目はノリがいいからコスパがとても良いです。マリアージュは、一つ持っておけば絶対に役立つゴールドラメ。目元全体に塗ったり、黒目の部分に塗ったり、目頭部分に塗ったりと、使い方によって目元の印象を簡単に変えられます。持ちもよいので、コスパもよいです。

4つ目は使い方によって印象を変えられるところです。結婚式にお呼ばれした時のメイクは、ピンク色のアイシャドウにマリアージュを重ねることで、ピンク色のハッピーな可愛さと、マリアージュの華やかさを目元に演出できます。また、大粒ラメでもギラギラと派手な感じではなく、上品で華やかな目元を作ってくれるので、パーティーにはぴったりです。また、普段使われているブラウンアイシャドウにこのマリアージュを重ねることで雰囲気を変えることもできます。仕事中はブラウンカラーでしなやかに、お仕事終わりにマリアージュを加えて煌びやかに、という使い方もオススメです。

お値段は、2000円ととてもお手頃です。ご自身へのご褒美や、ご友人へのプレゼントにこちらのアイシャドウは、いかかでしょうか。

これで私のプレゼンテーションは終了します。ご静聴ありがとうございました。 (2020年卒 東洋大学 コーセー ビューティコンサルタント 内定)

この回答では、単なる商品紹介ではなく、美容部員としてのプロ目線と、顧客への提案意欲を明確に示しています。

「3年前から使っており、リピート購入している」という個人の熱意を付け加えており、説得力が増しています。また、商品の魅力について「ブルベ、イエベ関係なく使える」「ノリがいいからコスパが良い」など、顧客が購入を検討する際に重要視する具体的なメリットに分解して説明しており、美容部員としての高い適性をアピールできているでしょう。

⑥自身の研究に関する質問

研究職や開発職の選考では、自身の研究経験を深掘りされるケースが多いです。

化粧品会社各社の比較で説明した通り、複数の化粧品会社はそれぞれの分野で高い技術力を保持しています。そのため、学生時代から熱心に研究に取り組んでいる学生が、その学びや経験を活かして入社後に即戦力として活躍してくれることを期待しています

だからこそ、学生時代から自身の研究に熱心に取り組み、さまざまな知識や知見を得ている人材が求められていると言えるでしょう。

研究内容についての深掘りに対応するためには、以下の項目に沿って自身の経験を言語化しておくのがおすすめです。

以下の回答は、研究で一番大変だったことと、研究内容について聞かれた際の内定者の回答例です。

内定者の回答

質問①:研究で一番大変だったこと

回答①:目標としていた学術的新規性の論文作成のために、報告例のない化合物の合成に挑戦しました。最初は似た構造を持つ化合物の合成方法を参考にして実験を進めたのですが、行き詰まってしまった時期がありました。しかし合成の基礎から学び直し、様々な関連する論文を読んで情報収集し、それらを踏まえた対策を指導教員に提案してディスカッションを重ねながら実験を進めることで、最終的に合成に成功しました。この経験は、問題解決力や周囲の方と協力しながら物事を進める力の成長に繋がったと考えており、貴社での研究開発の場でも活かすことができるのではないかと考えています。

質問②:大学での研究内容についてわかりやすく説明してください

回答②:主に洗剤に含まれる成分である界面活性剤という物質があります。界面活性剤を水に溶かし、その中に少量の油を分散させると、油の粒が自発的に動き回ります。液体内を物体が自発的に動き回るこの現象は、将来的に薬を人体内の特定の部位に届けるためのシステムであるドラッグデリバリーシステムに応用できることが期待されています。油が自発的に動き回るメカニズムは未だ推定の段階であり、動く条件の解明や運動の制御方法については明らかになっていません。そこで、私の研究ではさまざまな種類の界面活性剤と油の組み合わせで油の運動を観察し、その挙動を解析することで、動く条件やメカニズムを解明しようと試みています。 (2024年卒 花王 技術系 研究職 化学系 内定)

内定者の回答

大学では主に情報と生化学の勉強を行いました。内容としましてはプログラミング、IA、ビックデータ、数学、生物、化学、物理の基礎です。

学部時代の研究室ではバイオマテリアルの研究を行いました。研究対象は、人体の弾性力が求められる部位に多く存在しているタンパク質の一種で、吸光度計やサンプルの精製、乾燥、凍結などには分析機器やその他の機器を用いました。大学院では生物物理の研究を行なっており、研究対象は全ての生き物の体内に存在しているアクチンという細胞骨格です。この研究の際には分子間相互作用の変化測定のために測定機器を用いています。大学、大学院では幅広い分野の勉強を行ってきたので、貴社のさまざまな業務に活かせるのではないかと考えています。 (2022年卒 九州工業大学大学院 資生堂 事務所限定職/国内工場(製造系・技術系・事務系) 内定)

これらの回答では、自身の専門性をわかりやすく説明する能力と、研究を通じて身に付けたスキルや経験が具体的に示されています。

特に、一人目の内定者は、研究経験を通じて行き詰ったときにも決してあきらめずさまざまな施策を実行する粘り強さや、周囲と連携する協調性を培ったことが伝わります。これらの資質は、化粧品業界で活躍するうえで非常に重要です。

二つ目の回答では、大学や大学院で取り組んだ幅広い分野の学習と研究経験を簡潔にまとめています。

これらの回答例では、専門知識をただ羅列するのではなく、「研究を通じて何を考え、どのように行動し、どんな能力を身に付けたか」を面接官に効果的に伝えられています。

人気の化粧品会社に特化した選考対策|内定者のアドバイス付き

「就職難易度の高い化粧品会社に何としてでも就職したい」という人は、ここから解説する各社に特化した選考対策を読み込みましょう。

一口に化粧品会社と言っても、各社の選考フローやポイントはさまざま。まずはこれまで解説してきた3社に加え、就活会議の口コミが豊富であるアルビオン、ピアスを取り上げ、人気企業合計5社の選考の特徴を押さえたうえで、内定者の選考体験記を元に効果的な対策法を実践してください。

①資生堂

資生堂は、セールス職の本選考がインターンシップ参加者のみを対象とするため、インターンへの参加が内定への重要なカギとなります。インターンの情報収集は必ずおこないましょう。

内定者からのアドバイス

資生堂セールス職はインターン経由の選考になります。インターンではメンターとして社員の方が評価をしながら常に横についていただく形になりますが、強調性や貪欲な姿勢、アイデアマンとしての貢献などがグループワークの高評価につながると思います。

選考フローはインターンと最終面接のみで、面接官やメンター社員との相性もあり、運要素も強いと思うので、自分のありのままの強みを堂々とお伝えすることが評価されると思います。 (2025年卒 資生堂 Sales 内定)

内定者からのアドバイス

私の場合は、追加募集での選考だったため、インターンシップには参加していないのですが、基本的には、インターンシップへの参加が非常に重要なようです。

実際、面接においてもインターンシップへの参加の有無について聞かれたので、よっぽどの事情がない限りは、まずインターンシップへの申し込みをすることをお勧めします。 (2024年卒 資生堂 Supply Chain 内定)

また、インターンのグループワークでは自身の役割を責任を持ってやり遂げ、組織に貢献することで評価につながります。積極的に発言している人が評価されていると感じた内定者が数多くいるため、グループ内でどれだけ存在感を出し、主体的に行動できるかがカギとなるでしょう。

26・27卒を対象としたインターンは、以下の日程でおこなわれました。志望職種のインターンに応募できるよう、企業ホームページを定期的に確認しましょう。

職種名 実施期間
Sales 2025年10月下旬~11月上旬
Brand Marketing 2025年8月20日(水)~9月5日(金)の間に1Dayプログラムを複数回実施
Digital Marketing 2024年9月11日(水)~12日(木)
Finance 2024年11月28日(木)
Supply Chain 2024年11月22日(金)、11月25日(月)で1Dayインターンを実施

※SalesとBrand Marketingに関しては27卒向けの情報、それ以外の職種は26卒向けの情報を記載。

近年の資生堂のインターン選考では、下記の質問がESや面接でされています。これを参考にし、自身の回答の準備をしましょう。

また、自己分析を深めることが重要だと感じた内定者もいます。自己分析で資生堂で働くうえで発揮できる強みを明確にし、インターンや選考時に具体的なエピソードとともに強くアピールしましょう。

内定者からのアドバイス

企業研究よりも自己分析が大事だと思います。

自己分析で自分の強みを見極め、それをインターンのワークで思いっきり表現してください。そしてそれにまつわるエピソードを面接で話し、熱意を伝えることが一番重要であると思います。マーケティングに関する事前の知識は必要では無いですが、知っているとワークで便利ですし、興味があるということを示すことができると思うので本やネットで基礎は押さえておくといいかもしれません。 (2022年卒 慶應義塾大学 資生堂 Brand Marketing 内定)

②コーセー

コーセーの選考の特徴は、事前に対策をしにくいような変わった質問が多いことです。そう感じたある内定者は、以下のようなアドバイスをしています。

内定者からのアドバイス

選考を通して、オーソドックスな質問よりも、突飛な質問が多いため普段からの思考能力、頭の回転の速さ、言語化能力が問われる。そのため、会社とのマッチングの問題も大きいと思うが、短期的な対策だけではどうにもできないので、日頃から気をつけて生活することが大事であると考える。

またGDや面接など、様々行われるのと、倍率も非常に高いので、面接官に対して『~~な子』と印象付けるように、差別化を図ることが大切であると考える。 (2024年卒 コーセ ーものづくり総合職(研究開発職) 内定)

突飛な質問をされるのは、事前に準備されていない「ありのまま」の学生の人柄や志向性を知りたいという思いや、予想外のことにも臨機応変に対応できるかという柔軟性が見極められていると考えられます

日頃からゼミ活動やアルバイトなどで、自身の考えをまとめて論理的に伝える経験を意識的に積んでおくと良いでしょう。しかし、「完全に対策できない質問をされたときは、率直な自身の思いを伝える」という意識で、気を張りすぎないことも大切です。

③花王

花王は、「花王Way」と呼ばれる企業理念で、使命、ビジョン、基本となる価値観、行動原則を詳しく規定しています。「花王Way」の概要は以下の通りです。

花王Way 内容 解説
使命 豊かな共生世界の実現 ただ商品を売るだけでなく、社会全体が豊かで、
環境とも調和できるような世界を作ること
ビジョン 人をよく理解し期待の先いく企業に 顧客自身も気付いていないような潜在的なニーズを深く理解し、
それに応えることで、顧客のより良い生活を実現する企業となる
基本となる価値観 正道を歩む
よきモノづくり
絶えざる革新
常に誠実で、正しい道を歩むこと

高品質で、社会にとって良い製品を作ること

現状に満足せず、常に新しいことに挑戦し続けること
行動原則 共生視点
現場起点
個の尊重と力の結集
果敢に挑む
自分の行動が社会科環境にどう影響するかを常に考えること

実際の現場に足を運んで課題を見つけること

一人ひとりの個性を尊重し、チームで協力して大きな力を生み出すこと

失敗を恐れず、新しいことに果敢に挑戦すること

出典:花王ウェイ(企業理念)|花王株式会社

これらから、花王は人々と社会、地球との共生を非常に重視している企業だとわかります。また、「絶えざる革新」や「果敢に挑む」といった言葉からは、現状に満足せず常に新しい価値を創造しようとするチャレンジ精神も感じられます

花王の社員はこれらの価値観を共有しているため、選考を突破するには、「花王Way」を深く理解することが不可欠です。そのうえで、「なぜ花王を志望しているのか」「なぜ花王でなければならないのか」といった志望理由を明確に伝えることが非常に重要です。

企業研究を徹底し、花王の事業内容や経営理念、業務内容や企業文化・社風がどのように自身の価値観や経験と合致するのかを具体的に示すことで、説得力のある志望動機を伝えられます。

内定者からのアドバイス

花王は、国内でも有名な消費財メーカーのため、なぜ花王なのか、他社では何故ダメなのかが選考の中で常に問われます。自分なりの人生や価値観、自己分析と絡めてストーリーのように語られると一番納得してもらえると思います。また、職種別採用を実施されているため、その職種を念入りに研究し、自分がどうその職種で活躍できるのかを想像させることができるかも重要です。最後に、入念な対策の上の、溌剌とした話し方と笑顔です。花王の社員の皆様は誠実で穏やかな印象の方々ばかりだったので、私自身もそのように見られることを一番意識しました。頑張ってください。

インターンシップに参加することができず、OB訪問もできなかったので企業研究には不安がありましたが、インターネット上の情報で十分対応することができました。ですが、OB訪問はできるならばしておくと良いと思います。一番大切なことは、「なぜ花王なのか」「なぜその職種なのか」です。この質問にはどんな角度から質問されても答えられるようにしっかりと対策しておくことをお勧めします。 (2022年卒 花王 総合職 内定)

「なぜ花王を志望するのか」といった企業の志望理由を考えられたら、「なかでもなぜその職種を志望するのか」という職種の志望理由も言語化しましょう。

また、研究職の内定を得た学生は、研究内容に関する深掘りが鋭かったと感じています。

内定者からのアドバイス

繰り返しになりますが、研究を非常に大切にしている企業です。面接内容の90%程度は研究に関する質問です。そのため、普段の大学での研究にしっかり取り組むことが重要になると考えられます。もちろん鋭い質問も来ますが、専門外の面接官も多いので、研究室での発表や学会での質疑応答に慣れておけば面接であたふたすることはないと思います。

また、研究発表を面接において求められるので、早めに準備しておくと楽かなと思います。 (2022年卒 大阪大学 花王 技術系 研究職 内定)

内定者からのアドバイス

研究に対する質問をかなり厳しくされるので、その対策はしたほうが良いと思います。普段行っている研究の意義や問題点、展望などを常に意識しておくと対策になるのではないかと思います。

あとは、他の企業でも言えることですが、自分が志望する部署に確実に配属されたいのであれば、その部署で役に立つ実験技術などをアピールできるように工夫したほうが良いかと思います。研究概要の説明の際にそのようなアピールができればいいのではないでしょうか。 (2021年卒 北海道大学大学院 花王 技術系 研究職 内定)

花王が重視している「手が届く高品質」な製品を顧客に提供するには、さまざまな研究を重ね、企業独自の技術を確立することが不可欠です。「花王で活躍する能力が備わっている」と採用担当者に感じてもらえるように、日々の研究に情熱を持って取り組み、探求心や粘り強さをアピールしましょう。

④アルビオン

アルビオンは、ALBION、Elégance、ANNA SUI、PAUL & JOEなど、高級化粧品の開発・製造・販売をおこなう化粧品メーカーです。

内定者の声を分析すると、アルビオンの選考では、アルビオンの製品を実際に使用することや、実際に百貨店や化粧品専門店に足を運び美容部員の方に接客をしてもらうなど、五感を通したブランド経験が重要だとわかりました

自身の経験からアルビオンの製品の魅力点やアルビオンの美容部員の接客を受けた感想などを、自分の言葉で具体的にまとめられるように準備しましょう。

内定者からのアドバイス

数ある美容部員の採用の中でも、アルビオンの商品や接客が好きかというのを重視していたように感じる。そのため商品を使って肌に合うか試し、感想をまとめておくことが大切。アルビオンは特に乳液が人気で、面接でも美容部員の方が乳液について触れていたこともあり、乳液は使用しておくことをおすすめする。

また、アルビオンの接客のどこが良くて、改善点は何かをまとめておくとより熱意が伝わると思う。そして、接客をするため笑顔でこたえることは必須。 (2022年卒 明治大学 アルビオン 美容部員 内定)

内定者の声からわかるように、「顧客への貢献意欲」と「夢」を具体的に語ることも重要です。

単に「化粧品が好き」というだけでなく、接客を通して「お客様にどのような日や感動を提供したいのか」「そのために自分は何をするべきか」「自身のどのような強みを発揮して顧客に貢献したいか」といった視点で、将来ビジョンや入社後に挑戦したいことを具体的に伝えられるように準備しましょう。

加えて、選考では人柄も重視されるため、面接時の表情や話し方、立ち振る舞いにも細心の注意を払いましょう。笑顔で明るい受け答えは、接客を重視するアルビオンの社風に合致します。

⑤ピアス

ピアスは、化粧品や医薬品などを提供する美容業界の大手企業です。主力製品にはオペラというブランドのリップティントや、ハトムギ化粧水などがあります。

ピアスの選考では、下記の内定者の声からわかるように自身のこれまでの経験や志向性、価値観を具体的に語れるように、自己分析を徹底することが非常に重要です

内定者からのアドバイス

まずは、自分の自己分析をしっかり行うべきである。技術職に関しては一次面接でパーソナルな質問しかされないためそこで、自己分析をどれだけしているかが試されているような気がした。

あとは、選考が進むにつれて、この会社でしたいことや活かすことができる自分の知見は何であるのかというのを自分なりの考え、言葉を持っておくことが重要であると感じた。逆にこれらのこのことをしっかり準備していれば、そこまで回答に詰まるような質問もされないと感じた。 (2025年卒 ピアス 総合職 内定)

ピアスグル-プでは、求める人物像として「ポジティブ・チームワーク・ホスピタリティ」の3つを掲げています。そのため、以下のリストに合致する経験や価値観を選考でアピールできると非常に効果的です。

また、特に研究職ではOB・OG訪問が効果的だったと語る内定者もいます。

選考倍率が非常に高い化粧品メーカーの研究職だからこそ、積極的にOB・OG訪問をおこない、そこで収集した「リアルな情報」を活用して、「ほかの化粧品会社と比較して、ピアスを志望している理由」を具体的に伝えられるようにしましょう。

内定者からのアドバイス

研究職であれば、部署ごとの人数はそんなに多くはないのでOB訪問をすると有利だなと感じた。化粧品メーカーの研究職は志望する人が多いため、他の化粧品系の企業との違いやピアスでなければいけない理由をしっかりと作っておいたほうが良い。

ESについての質問はされるが、深堀をしっかりするのではなく、それ以外に気になったことを聞かれるイメージ。どんな考え方や振舞い方を普段からしているのかを知りたいという感じが強くした。 (2024年卒 ピアス 総合職(技術系) 内定)

化粧品会社に特化した対策で就職を目指そう

この記事では、化粧品業界の業界知識や人気企業に関する情報、化粧品会社に就職するための方法を解説してきました。

化粧品は外見を整えるだけでなく、人々の自信や笑顔、高揚感につながる、まさに「魔法」のような力を秘めています。この「魔法」に魅了される学生が多いからこそ、その選考倍率は非常に高くなります。

化粧品会社への就職を実現するには、この難関の選考を突破するための対策を徹底することが不可欠です。この記事を参考に、化粧品会社の企業理解と選考対策を進め、内定獲得を目指しましょう。

【動画解説】化粧品業界の働き方や選考対策をチェック

就活会議のYouTubeチャンネルでは、資生堂・花王・コーセーの内定者や選考経験者にインタビューしています。

選考突破の秘訣を動画でわかりやすく解説しているため、気になる人はチェックしてみてください。

【資生堂】内定者が合格した面接を再現!面接官も合格納得の志望動機とは?

プロが解説!花王の面接内容と突破するためのコツとは?動画面接の注意点も紹介!

【面接公開】コーセーの内定者が教える!実際に聞かれた質問とは?化粧品業界No.2のKOSEに合格する秘訣はこれだ!

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この記事の編集担当者

佐藤 美空

大学卒業後、就活会議のグループ会社であるポートに新卒入社。約1年間キャリアアドバイザーとして文系学生の就職支援をおこなう。就活生時代にポート運営の就活メディアを活用した経験から、「今度は私が就活生の役に立つメディアを創りたい」という思いでライターに転身。現在は就活会議のライターを担当している。

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編集責任者

江副 裕斗

大学卒業後、2018年にパーソルキャリアに入社。中途人材紹介事業において、4,000名以上の求職者と100社以上の企業を支援。2022年に就活会議のグループ会社であるポートに入社。キャリアアドバイザーとして学生の就活支援に従事し、新規事業である就活会議エージェントの立ち上げにも参画。現在は約100名規模となるキャリアアドバイザーグループの責任者を務める

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