業界研究のやり方|主要8業界の研究方法や注意点を徹底解説
こんにちは。就活会議編集部の望月です。 「業界研究と言っても、やり方がわからない」と悩む人もいるはず。私も同様に感じていましたが、正しいやり方を知ることで「その業界で働きたい理由」を明確にでき、志望企業へのアプローチに活かすことができました。 それでは一体、大手企業の内定者たちはどのように業界研究を進めたのか。口コミサービス「就活会議」の口コミ・統計データの情報をもとに、業界研究の方法や、各業界について調べるポイントなどを解説します。志望業界の理解を深めるために役立ててみましょう。
この記事は、就活会議の会員が投稿した体験記にもとづいて作成・編集をしています。就活会議の会員は現役の学生であることを確認しています。
なぜ重要? 業界研究をする目的

そもそも「なぜ業界研究をしなければならないのか」と疑問に思う人は、業界研究の目的から確認していきましょう。
まず、業界研究をするメリットは、業界研究を通して自分の価値観や働き方の軸を明確にできるという点です。業界の特徴やビジネスモデルを調べていくと、自分がどのような環境で働きたいのか、どんな価値を世の中に提供していきたいかが見えてきます。
次に、面接での差別化にも直結します。志望業界や周辺の業界についてしっかり調べておけば、「なぜこの業界なのか」「なぜほかの業界ではダメなのか」という質問に対しても堂々と答えられるようになるでしょう。
さらに、業界全体の動向を把握しておくことで、自分のキャリアパスを考えるヒントも得られます。今後の成長の可能性や変化の方向性を知り、長期的な視点で企業選びができるようになるのです。
5ステップでできる! 業界研究のやり方
「いざ業界研究をしようと思っても、具体的にどのような手順で進めれば良いかわからない」という学生に向けて、業界研究をより効果的なものにするための方法を5つのステップに分けて解説します。
進め方を知らないまま業界研究を始めると、時間ばかりかかって結局どの業界も同じに見えてしまったり、面接で「なぜこの業界なのか」をうまく説明できなくなったりしてしまいます。
正しい手順で進めることで、効率的に自分に合った業界を見つけられ、面接での差別化にもつながるのです。
実際に内定を獲得した学生たちの体験談も併せて紹介するため、参考にしながら一緒に業界研究を進めてみましょう。
①自分の価値観や軸を明確にする
業界研究を始める前に、まずは自分自身と向き合うことが大切です。「どんな働き方がしたいか」「どんな価値を提供したいか」を明確にするため、過去の経験を棚卸ししましょう。
具体的には、過去の印象深い経験を10個程度書き出します。そこから、それぞれの経験に対し、疑問を問いかけてみてください。たとえば、以下のような問いかけができます。
- なぜその経験が印象深いのか
- なぜその経験をすることになったのか
- そのときどのように感じたか
- そこから何を学んだか
- どのようなことを重視して行動したか
そこから、複数の経験にわたって共通することを見つけ出してみてください。それが、あなたの中で大切にしたい考えや、譲れない軸となるはずです。
②業界全体の構造を把握する
次に、気になる業界の全体像を調べましょう。業界全体の構造を把握することで、企業の立ち位置や強みが明確になり、効率的な企業選びができるようになります。この段階ではまだ「広く浅く」で構いません。それぞれの業界がどのような傾向を持つのか把握し、自身の価値観と照らし合わせることが重要です。
以下のような観点について調べ、業界の構造を理解してみましょう。
- 市場規模と今後の成長性
- その業界の主要企業と特徴
- 業界が抱えている課題
- 関連業界とのつながり
- その業界で活躍するために求められるスキルや人物像
詳しいやり方は、この後に解説するため、気になる人はそのまま読み進めてください。
ちなみに、内定者は企業研究でどのようなことを調べたのか、実際の声も集めてみました。
内定者からのアドバイス
IT業界の全体像を調べておくと、Sky株式会社の立ち位置が見えてきます。
IT業界には、ソフトウェア業界、ネットワーク業界、通信業界などがあります。 (2018年卒 三重大学大学院 Sky 総合職 内定)
内定者からのアドバイス
食品業界の中でどうしてこの会社がいいのか考えるために、食品業界全体の業界研究は行った。 (2021年卒 東北大学大学院 味の素 技術系 内定)
内定者からのアドバイス
何故NTTデータを志望するかを論理的に答えられなければならないため、他社の企業研究も必要である。
特に外資系ITコンサルと業務内容がバッティングするところがあるので自分の中で比較できていることが望ましい。 (2022年卒 奈良先端科学技術大学院大学大学院 NTTデータ 総合職 内定)
内定者からは、「気になる業界全体を調べることで、個々の企業の特徴が理解しやすくなった」という声が多く見られました。
このように、業界の全体像を先に掴んでおくと、企業研究の際に各社の強みや特徴がわかりやすくなります。企業選びが格段に効率的になり、面接でも「なぜ他社ではなく御社なのか」という質問に説得力を持って答えられるようになるでしょう。
就活サイトの業界研究機能を活用する
ここからは、業界全体の構造を詳しく理解する方法を解説します。まずは、就活サイトの業界研究機能を活用する方法です。
マイナビやキャリタス就活といった就活サイトには、業界研究に特化したコンテンツが掲載されています。
このようなサービスは就活生を対象としており、内定者の体験談や選考情報と一緒に業界の動向を学べるため、効率的に情報を集められるのが特徴です。
内定を獲得した先輩に、どのようなサイトを参考にしていたのか聞いてみました。
内定者からのアドバイス
業界研究に関しては、unistyleやワンキャリアなど有名な就職活動研究サイトを使っておこないました。
その上で、なぜ金融機関なのか、そしてなぜ銀行業界でどうしてメガバンクに就職したいのかというところを明確にするように意識しました。 (2018年卒 慶應義塾大学 みずほフィナンシャルグループ オープンコース 内定)
この内定者は、unistyleやワンキャリアを参考にしたそうです。インターネットで調べるのは手軽で、いつでも簡単に業界の全容をつかむことができます。
しかし、一つの方法に限って業界研究をすると、情報が偏ってしまうもの。そのため、まずはサイトで概要を調べ、その後書籍で詳しく調べるなど、複数の方法で業界研究を進めるのがおすすめです。
業界研究セミナー・説明会に参加する
大学のキャリアセンターや就活サイトが主催する業界研究セミナーに参加するのもおすすめです。
たとえば複数の企業が参加するセミナーであれば、業界全体の動向を一度に把握できます。特に合同説明会形式のイベントでは、同じ業界の異なる企業を比較しながら話を聞けるため、各社の特徴や違いが明確になるでしょう。
ポイントは、事前に質問を準備しておくことです。業界の将来性、求められる人材像、キャリアパス、業界特有の課題など、疑問に思うことを洗い出しておきましょう。現場で働く社員が参加している場合は、実際の仕事内容や働き方について聞いてみるのも効果的です。
近年では、オンラインで開催されるセミナーも増えているため、地方の学生でも参加しやすくなっています。録画が配信される場合もありますが、質疑応答を活用するためにも極力リアルタイムでの参加を心掛けましょう。
③興味のある業界を3〜5個に絞る
情報収集が一通り終わったら、自分の価値観と照らし合わせて興味のある業界を3〜5個に絞りましょう。以下のような判断基準で、志望業界を絞っていくのがおすすめです。
- 実際に携わりたいと思える業務やプロジェクトがあるか
- 業界の成長性や将来性が感じられるか
- 求められるスキルと自分の強みの適合性があるか
- 働き方や企業文化が自分に合うか
業界を絞り込むことで、限られた時間の中で効率的に深い企業研究ができるようになります。また、複数の業界を比較検討することで、各業界の特徴や自分との適合性がより明確になるでしょう。
実際に内定者は、このように複数の業界の研究をしたり、研究内容を選考に役立てたりしていました。
内定者からのアドバイス
特に具体的に調べておいて役に立ったところはコンサルとの違いとメガバンク内での違いです。コンサルとの違いでは、銀行の方がより長期的な視点にたって企業に寄り添えるという点は色々な行員から聞いておいてよかったです。
また、コンサル、銀行どちらも選考を受けることで自分の強みがより活かせるのは銀行だと感じることができたのもよかったです。 (2023年卒 みずほフィナンシャルグループ オープンコース 内定)
内定者の声にもあるように、複数の業界について調べると、その業界ならではの特徴がより理解しやすくなり、働くイメージも鮮明に湧くようになります。
憧れの商材にかかわりたいと思っていても、働き方の価値観が合わない業界であれば、長く働くのは難しくなります。逆に商材にはそこまで興味がなくても、求められるスキルが自分と合っている業界であれば、早い段階から活躍できるかもしれません。
「その業界に対して興味・関心があるか」と「現実的に働けるかどうか」を擦り合わせながら、業界を絞り込んでいきましょう。
④各業界の詳細情報を収集する
詳細な情報収集の段階からは「狭く深く」がテーマです。
この段階では、業界特有のビジネスモデルや商流、競合他社との関係性、最新のトレンドや技術革新など、幅広く調べていきましょう。目標は、面接である程度専門的な質問をされても答えられるレベルまで知識を深めることです。
各業界の動向を理解するには、業界地図や各業界のwebサイト、業界関連のニュースから調べることができます。詳しくはこの後に解説するため、気になる人はそのまま読み進めてみてください。
また、業界で働く人々のキャリアパスや必要なスキル、業界特有の働き方や企業文化についても、この段階で把握しておくことをおすすめします。
業界団体のサイトで業界の動向をつかむ
ここからは、各業界の詳細情報を収集する方法を解説します。まずは、業界団体のサイトで業界の動向をつかむ方法です。
各業界には業界団体があり、そのサイトには最新の動向や統計データが掲載されています。そのような団体が発表するレポートや統計資料は、業界の現状や課題を客観的に把握するのに非常に有効です。
以下の代表的な業界団体から、気になるものがあればぜひチェックしてみましょう。
- 金融業界:全国銀行協会 など
- IT業界:情報サービス産業協会(JISA) など
- 自動車業界:日本自動車工業会(JAMA) など
- 商社業界:日本貿易会(JFTC) など
- 小売業界:日本チェーンストア協会(JCA) など
これらの団体のサイトでは、業界全体の市場規模や成長率、将来予測といったデータを無料で閲覧できることが多いです。
業界への深い理解があれば、志望動機にもより説得力を持たせることができるため、業界の仕組みやリアルなデータをしっかり学び、理解を深めましょう。
新聞・ニュースで最新トレンドを追う
日経新聞や業界専門誌を読むことで、リアルタイムの業界動向を把握できます。特に最近話題になっているテーマや課題を押さえておくと、面接での時事問題対策にもなるでしょう。
今回は代表的な業界の専門メディアを紹介します。自分の志望業界の新聞が発行されていないかを確かめてみましょう。
- 幅広く学びたい人向け:日経新聞
- IT業界:ITmedia・CNET Japan・BRIDGE など
- 金融業界:金融経済新聞・保険毎日新聞(homai web) など
- 自動車業界:Response・Automotive News など
- 小売業界:流通ニュース・日本ネット経済新聞 など
また、内定者は以下のように新聞から情報収集をしているとの声がありました。
内定者からのアドバイス
ネットなどを活用し業界研究をしていく中で難しい単語なども多いので日頃から日経新聞を読み分からない単語を調べるなど工夫した。 (2024年卒 みずほフィナンシャルグループ オープンコース 内定)
このように、業界のニュースを読む際には、自分なりの読み方をつかむのが業界理解への一番の近道。知らないことについて調べるといった基礎的なことはもちろん、「この件は業界にどう影響するのか」「ほかに考えられる施策は何か」を分析しながら読むことで、理解がさらに深まります。
また、企業の決算発表や新商品・サービスのリリース情報も重要な情報源です。これらのニュースから、業界全体のトレンドや各企業の戦略を読み取ることができるでしょう。
⑤志望業界と企業を最終決定する
最後に、これまでの調査結果をもとに、最終的な志望業界を決定します。自分の価値観や働き方の軸との適合度、業界の将来性や成長性などから志望業界を総合的に判断しましょう。最終的には「なぜその業界なのか」を説明できるレベルまで理解を深めることが重要です。
志望業界が決まったら、その業界内の企業を詳しく調べていきます。ここからは企業研究の段階に入っていきますが、代表的な方法を3つ紹介します。
それぞれの方法について、先輩たちの体験談と併せて確認していきましょう。
企業HP・IR資料で数字を読み解く
企業の公式HPやIR資料からは、最も信頼性の高い情報を得られます。IR資料とは、有価証券報告書や決算説明資料などの資料がまとめられたものです。中の資料がどのようなものかは、以下の表で確認してください。
| 資料名 | 概要 | 見るべきところ・ポイント |
|---|---|---|
| 決算説明資料 | 企業の業績(売上や利益)をまとめた資料。 経営者が今後の事業計画や見通しを説明する際に使われるため、企業の「今」と「これから」を把握できる。 | ・売上収益 ・営業利益 ・事業ごとの売上、利益額 ・事業内容 | 統合報告書 | 企業の過去の業績から、今後の成長戦略、環境などへの取り組みまで、会社の全体像をストーリー形式でまとめた資料。 企業が中長期的にどこを目指しているのか、どのような価値を生み出そうとしているのかを理解できる。 | ・経営理念、ビジョン ・事業ポートフォリオ ・ESG/サステナビリティへの取り組み | 中期経営計画 | 企業が3~5年先を見据えて策定する具体的な経営計画。 その企業が将来的にどのような姿を目指しているのかを、最も明確に示している。 | ・売上や利益の目標数値 ・目標達成への道筋 ・どの事業に注力するか |
これらの情報を照らし合わせられると、企業が注力している事業や、将来に向けた取り組みなどが理解しやすくなります。実際に、内定者は下記のようにIR情報を用いていました。
内定者からのアドバイス
大体の事業を理解した後に、それぞれの分野でどのようなクライアント向けにどのような事業を行っているのかをIR資料を通して勉強しました。
ホームページに載っているのでおすすめです。 (2021年卒 大阪大学 NTTデータ 総合職 内定)
ホームページからすぐわかる情報だけでなく、一歩踏み込んだ情報をIR資料から得ていたようです。
大手企業であれば、さまざまな形で情報が発信されているため、就活で重視したいポイントについて詳しく調べてみましょう。
OB・OG訪問で生の声を聞く
OB・OG訪問を活用し、実際に働いている人の話を聞くことで、HPや資料だけではわからない企業の実情を知ることができます。同じ業界の複数の企業で働く人に話を聞くことで、比較検討もしやすくなるでしょう。
訪問する際は、事前に具体的な質問を準備しておくことが大切です。相手の時間を無駄にしないためにも、「実際に働いている人だからこそ聞ける内容」に焦点を絞り、準備を進めましょう。
内定者からのアドバイス
IT業界について幅広く情報を集めたうえ、OB訪問や説明会を通してしっかりと話を伺えるようにすればいいと思います。
実際の業務レベルに落とし込むことも重要で、仕事はなにをするか、じぶんはどうなりたいか、をしっかりと考えたうえで、徹底的に会社の情報を調べていくといいと思います。 (2023年卒 Sky SE 内定)
このように、OB・OG訪問のときには、ただ「教えてもらおう」という意識で参加するのではなく、主体的な姿勢で参加することが大切です。有効的に時間を使えるよう、質問内容をあらかじめ用意しておきましょう。
インターンシップで実際の業務を体験する
インターンシップは、実際の業務を体験できる貴重な機会です。業界研究で得た知識と実際の働き方を比べ、理想と現実の差を見極めることができます。
特に長期インターンでは、実際の業務にも一定期間携わることができるため、その業界や企業が本当に自分に合っているかどうかを判断するチャンスです。
内定者からのアドバイス
私はプロジェクト型インターンシップに参加したことが1番の企業研究になったと思います。
その中で具体的な業務を理解することができるとともに、様々な現場社員の方のお話を伺うことができました。 (2023年卒 NTTデータ SE・コンサル・営業コース 内定)
この学生の声からもわかるように、インターンに参加すれば、現場の社員を通じて「どんな人が活躍しているか」「職場はどんな雰囲気か」といったリアルな様子を知ることができます。
インターンに参加する際には、その企業の理解度を深めるためにも、積極的に質問をし、主体的に現場の社員とかかわるようにしましょう。
主要8業界の研究方法
- メーカー業界:業界の技術領域マップを作成し各社のポジションを把握する
- 商社業界:事業転換の方向性と新規投資領域を重点的に調査する
- 小売業界:従来の業界分類を超えた新しいビジネスモデルを見極める
- 金融業界:デジタル化による業界再編と新規参入企業の影響を調査する
- サービス業界:事業ポートフォリオから成長戦略を分析する
- マスコミ業界:デジタル化による変化や新規事業展開を深掘りする
- IT業界:技術トレンドと各社の開発領域から将来性を予測する
- 官公庁・公社・団体:公共性と効率性のバランスから業界の役割を理解する
ここからは、実際に内定を獲得した学生たちがどのように業界研究をおこなったのか、主要8業界について具体的に見てみましょう。
どの業界にも独自の特徴や分析のポイントがあるため、内定者の実体験を参考に、業界の傾向を効率的にとらえる手がかりにしてください。
また、みん就がおこなった「2026年卒 新卒就職人気企業ランキング」でランクインした企業をもとに、各業界ごとに代表的な企業も紹介します。就活会議の口コミにも飛べるようになっているため、気になる企業がある人は参考にしてみてください。
メーカー業界
メーカー業界では、デジタル技術を活用した製造工程の自動化・効率化が進んでいます。また、環境負荷を減らすための取り組みや、循環型の製品作りが重要視されるようになり、従来の製造業の枠を超えた新しいサービスや価値提供が求められています。
このような業界の変化を踏まえ、技術領域ごとに企業を分類して理解することが重要です。内定者はどのようにメーカー業界の分析をしたのか、電気メーカーの業界研究をした例を見てみましょう。
内定者からのアドバイス
電気メーカーの中でも軽電に位置する為他の軽電メーカーとの比較を忘れずに行う必要がある。
このメーカーで注意しなければならないことは軽電であるがロボット事業やホームサービス等にも突出した技術を有しているため、軽電メーカー以外のメーカーと差別もしなければならない。 (2022年卒 信州大学大学院 パナソニックホールディングス 総合職 内定)
この学生のように、まず興味のあるメーカーがどの技術領域に属するかを把握し、そのうえでほかの領域との違いや関連性を理解することが重要です。
家電、自動車、化学、機械など、メーカーといっても扱う技術や製品は大きく異なるため、業界全体の技術マップを作成して各社の位置づけを明確にしましょう。
一言でメーカーと言っても、BtoB企業なのかBtoC企業なのかによっても、働き方や求められるスキルは大きく異なります。分野を絞り込んだ後は、企業研究も念入りにおこなってください。
メーカー業界の代表的な企業は、以下の通りです。
商社業界
商社業界は従来の「モノを右から左に流す」ビジネスから、事業投資や新規事業創出に軸足を移しつつあります。
総合商社と専門商社の違いを理解することで、商社業界の多様性を把握でき、自分に適した働き方や事業領域を見極められます。また、業界全体の変化を理解することで、将来性のある分野やキャリアパスを予測できるでしょう。総合商社と専門商社の特徴は以下の通りです。
| 総合商社の特徴 | 幅広い分野で大規模に展開しておりグローバルネットワークを持つ企業が多い |
|---|---|
| 専門商社の特徴 | 鉄鋼、化学、食品など特定分野に特化し高い専門性を持つ |
このような違いを理解したうえで、業界全体として「投資事業」「新規事業創出」にどのように取り組んでいるかを調べ、自分がどのような商社で何をしたいのかを明確にしていきましょう。
商社業界の企業で特に有名なのが「5大商社」と呼ばれる企業です。実際にみん就がおこなった「2026年卒 新卒就職人気企業ランキング」でも、1~5位は「5大商社」が占めていました。
気になる人は下記から5大商社の就活会議の口コミを確認してみてください。
また、人気の商社の一つ、三菱商事については以下の記事で詳しく解説しています。
三菱商事就職ガイド|内定者が実践した選考通過のコツ3選小売業界
小売業界では、EC市場の拡大やコロナ禍をきっかけに、従来の店舗販売中心のモデルから、オンラインとオフラインを融合した新たなビジネスモデルへの転換が進んでいます。
業界全体を多角的に分析することによって、変化の激しい小売業界の各企業の特徴や強みを理解できるようになります。
たとえば、小売業界の最近の流れとしてサブスクリプションモデル、体験型店舗など、業界全体で新しい販売スタイルが生まれているのが特徴です。
また、小売業界では「モノを売る」だけでなく「ライフスタイルを提案する」企業が増加しています。 どのような価値提案が業界のトレンドになっているのか、かつては価格が中心だった競争の軸はどこへ移っているのか、幅広く分析してみてください。そうすれば、表面的なイメージではなく実態に基づいた企業選択が可能になるでしょう。
小売業界のなかでも、アパレル業界については以下の記事で解説しています。興味のある人はぜひ見てみてください。
アパレルの志望動機の書き方|企業・職種別の例文17選付き小売業界の代表的な企業は、以下の通りです。
金融業界
金融業界では、金融とテクノロジーをかけ合わせた「フィンテック」の台頭や、楽天銀行やKDDIのauじぶん銀行といった異業種からの事業参入により、従来の銀行・証券・保険の枠組みを超えた競争が始まっています。そのような競合に対抗すべく、業界全体でどのような動きがあるか、今後どう動く予定かを把握しておかなければなりません。
金融業界の内定を獲得した人も、以下のような業界研究をしていたと言います。
内定者からのアドバイス
金融業界そのものに対する業界研究、IT業界に対する業界研究の両方を行った。
ここでは、単なるネットの情報だけでなく、実際に働く社員様と話をする機会を設けていただき、実際どのように働いていくのかという事、他の業界をどのように思っているのかという事を聞いていった。 (2024年卒 三菱UFJ銀行 システム・デジタルコース 内定)
この学生は、日ごろから業界に関するニュースを確認したり、多岐にわたる業界の研究を並行しておこなったりと、複雑になりゆく金融業界の動向をつかもうとしています。
金融業界は、規制緩和や法改正の動向からも大きな影響を受ける業界です。そのため、業界各社の動向だけでなく、経済面のニュースにも注意を払っておくと良いでしょう。
金融業界の代表的な企業は、以下の通りです。
サービス業界
サービス業界は多様な事業を展開している業界です。そのため、いろいろな企業を見て、比較検討することで業界研究にもつながります。
気になる企業について、どの事業が収益の柱になっているか、新規事業にどの程度投資しているかを調べておきましょう。こういった情報は以下のような情報源を使えば調べられます。
- 有価証券報告書やIR資料内の「売上構成比」
- 決算資料内の「投資先・投資額の推移」
- 中期経営計画に出てくる各種目標数値
このように多角的に調べることで、表面的な事業内容だけでなく、企業の本気度や将来性まで分析できるようになります。
人材サービス、旅行、飲食、エンターテインメントなど、サービス業界は非常に幅広いため、まずは自分が興味のある分野を明確にすることから始めてみてください。
また、サービス業界はコロナ禍の影響で大きく変化した業界でもあります。当時どのような対応を取ったのかを把握することも、企業文化の理解につながります。2020~2021年頃の動きについて調べてみると良いでしょう。
サービス業界の代表的な企業は、以下の通りです。
マスコミ業界
マスコミ業界では、デジタル化による変化を理解することが不可欠です。紙媒体の発行部数減少、テレビ視聴時間の減少が続く一方で、動画配信サービスやSNSメディアが急成長しています。
そのような変化の中、どの媒体も「長きに渡り大事にしたい考え」と「新たに取り組みたいこと」の両方を抱えています。調べるときにも、その両面に着目すると良いでしょう。
たとえば出版社の内定を獲得した学生は、以下のような形で業界研究をしたと言います。
内定者からのアドバイス
メインとしているOZmallがどのような戦略でどの層にアプローチしているのか?どのような改善を行うともっと使いやすくなるのか?というあたりについて詳しく調べました。
また実際にOZmallアプリはインストールし、使っていました。 (2024年卒 スターツ出版 Web開発エンジニア 内定)
この学生は、その出版社独自のサービスを自ら利用し、企業視点に立って思考を巡らせていました。新たなメディアが出現する中で、それと向き合い、課題や利点を考えられると業界の動向や企業の特徴も見えてきやすくなるでしょう。
マスコミ業界は、テレビ、新聞、出版、広告など、分野によって求められるスキルや働き方が異なります。また、最近ではYouTubeやTikTokなどの新しいメディアも台頭しているため、従来のマスコミとの関係性についても理解しておかなければなりません。
志望する企業とは異なる業界企業についても広く調べ、「マスコミ業界」全体の流れを読んでおく力が求められると言えるでしょう。
マスコミ業界の代表的な企業は、以下の通りです。
IT業界
IT業界は技術の進歩が非常に速く、常に新しい分野が生まれている業界です。AI・機械学習、5G通信などの技術革新が急速に進んでおり、2022年頃からは生成AI技術の実用化が進み、他業界からも大きな注目を集めています。
このような技術トレンドを理解することで、IT業界全体がどの方向に向かっているか、どの分野が今後成長していくかを予測できるようになります。
また、IT業界はSIer、Web系企業、ゲーム業界、通信キャリアなど非常に幅広い分野に分かれており、それぞれで求められるスキルや働き方が大きく異なることも特徴です。業界研究では、まずこれらの分野の違いや特徴を理解し、業界全体の構造を把握することから始めましょう。
たとえば以下の書籍やメディアを使って、業界について調べてみてください。
- 日経業界地図
- 会社四季報・業界地図
- ITmediaやCNET JapanのようなIT専門メディア
- 経済産業省の「DXレポート」や「IT人材白書」といった資料
こういったものを活用し、IT業界で今どの技術が注目されているか、どの分野が成長しているかを客観的なデータと併せて調べてみましょう。
IT業界の代表的な企業は、以下の通りです。
IT業界についてはこちらの記事で解説しています。より詳しい情報を押さえたい人におすすめです。
3分でわかるIT業界|職種・将来性・向いている人など徹底解説官公庁・公社・団体
官公庁や公社では、民間企業とは異なる使命感や働き方を理解し、なぜ民間ではなく公的機関を選ぶのかを明確にすることが大切です。
国家公務員、地方公務員、独立行政法人、特殊法人など、公的機関にもさまざまな種類があります。それぞれの役割や特徴を理解し、自分がどのような形で社会に貢献したいのかを考えてみてください。
また、最近では公的機関でもデジタル化や業務効率化が進んでいます。従来のイメージにとらわれず、現在の取り組みや将来の方向性についても調べておくことが重要です。以下のような情報源をチェックしてみましょう。
- 各省庁の政策資料・白書・予算書
- 独立行政法人の中期計画
- 特殊法人の事業報告書
また、業界研究を進める際には、単に組織の種類や業務内容を調べるだけでなく、「なぜその政策が必要なのか」「社会にどのような影響を与えるのか」といった背景や意義まで理解するよう心掛けましょう。
官公庁・公社・団体の代表的な企業は、以下の通りです。なお、こちらではマイナビと日本経済新聞社が合同でおこなった「マイナビ・日経 2025年卒大学生就職企業人気ランキング」をもとに紹介します。
業界研究のやり方で注意したい4つのこと

業界研究を進めるうえで、業界研究に時間を割きすぎてしまい、ほかの対策がおろそかになってしまうという、多くの学生が陥りがちな失敗パターンがあります。
このような状態に陥ると、単に時間の無駄になるだけでなく、志望動機の説得力不足や企業選びのミスマッチにつながり、内定獲得の妨げとなることも。
ここからは、失敗のリスクを低下させながら効率的に業界研究を進めるために、注意すべきポイントを4つ紹介します。「自分の業界研究のやり方に不安がある」人はぜひ読んでみてください。
①情報収集に時間をかけすぎない
業界研究は大切ですが、完璧を求めすぎると時間が足りなくなってしまいます。特に就活初期は「もっと調べてから応募しよう」と思い、結果的にエントリー時期を逃してしまう学生もいることでしょう。
特に業界研究は「企業研究ができていれば良い」と後回しにされがちなことでもあるため、その重要性を理解したうえで、ほかのタスクとバランス良く進めていく必要があります。
だからといって完璧な業界研究を目指す必要はありません。まずは業界の全体像を把握し、興味のある分野は重点的に深掘りするようにしましょう。
②表面的な情報だけで判断しない
HPやパンフレットの情報だけでは、企業の実態はわかりません。これらの媒体では基本的に企業の魅力的な部分のみが紹介されているため、これだけでリアルな職場環境を知るには限界があります。
実際に、内定者からも以下のような声がありました。
内定者からのアドバイス
みずほフィナンシャルグループを志望するのであれば他の金融との差別化をしっかりする必要があると思います。
特に他のメガバンクとの差別化は絶対必要です。多くの人がリクルーター面談に呼んでもらえるので、その中で業界研究、企業研究をしていくのが良いと思います。 (2022年卒 上智大学 みずほフィナンシャルグループ オープンコース 内定)
この内定者が指摘しているように、リクルーター面談やOB・OG訪問、インターンなどを積極的に活用し、実際に働く人から生の声を聞けると、職場や働き方のリアルを知ることができます。
受け身の姿勢ではなく、志望企業に積極的にアプローチをすることにより、企業のことのみならず業界全体についても教えてもらえる機会が作れるでしょう。
③先入観や偏見を排除する
メディアで報道される内容や一般的なイメージなどの業界に対する先入観や偏見は、その実態とは異なるもの。
「この業界は◯◯だから」という思い込みがあると、実際の働き方や企業文化とのギャップに気付けません。幅広い情報源を参考にしながら、実際に働いている人の話を聞いて、自分の認識が正しいかどうかを確認することが大切です。
内定者からのアドバイス
航空業界に関しては、一見華やかな世界に見えるものの、実は泥臭い仕事も多いことを企業研究・業界研究を通じて理解しておくことが重要だと感じました。 (2020年卒 東海大学 全日本空輸 グローバルスタッフ職 内定)
この内定者の声から学べるのは、業界の「表の顔」だけでなく「裏の顔」まで理解することの大切さです。航空業界であれば華やかなイメージの裏にある地道な業務、金融業界であれば堅いイメージの裏にある革新的な取り組みなど、多面的に業界を捉えるよう心掛けましょう。
また、各業界は常に変化しており、10年前と現在では全く違う状況になっていることも珍しくありません。調べている情報が最新のものであるかをきちんと確認したうえで、フラットな視点で業界を分析することが重要です。
④複数の情報源で事実を確認する
一つの情報源だけに偏って業界研究をすると、情報の誤りに気付けなかったり、業界の全体像を把握できなかったりすることがあるため、複数の角度から情報を収集することも非常に重要です。企業の公式情報、業界レポート、実際に働く人の話などを組み合わせて、業界の全体像を総合的に判断しましょう。
たとえばこの内定者は、このように企業研究を進めていました。
内定者からのアドバイス
他のメガバンクのインターンや選考も受けることが大事だと思った。その中で、現場行員との面談を何度もさせていただける機会があるため、それらに積極的に参加する。
その面談では、なぜ金融なのか、その中でなぜ銀行なのか、その中でなぜみずほ銀行なのかといったように自己分析・業界分析の解像度を上げたりすることができる。 (2024年卒 同志社大学 みずほフィナンシャルグループ オープンコース 内定)
この内定者が実践したように、競合他社の選考にも積極的に参加することで、より客観的な業界理解が可能になります。複数企業の社員と話せれば、業界全体の傾向と各社の特徴がより明確になるでしょう。
もし、志望業界の人に話を聞ける機会が無く、ネット上の口コミサイトを利用する際は注意が必要です。口コミサイトには、「不満を抱いている人」や「既に退職した人」の口コミが集まることがあります。主観的な情報に影響されないよう、複数の意見をチェックするよう意識しておきましょう。
業界研究のやり方についてよくある質問
「いざ業界研究を進めようとしても、疑問が出てしまう」。そんな人へここでは、実際にキャリアセンターやOB・OG訪問でよく聞かれる内容をもとに、業界研究を進めるうえで多くの学生が疑問に思うポイントをまとめました。
疑問が晴れた状態で効率的に業界研究を進めるためにも、ここで解説することに近い疑問を抱く人は、注意深く内容を確認してみてください。
いつから始めれば良い?
業界研究は大学3年生の春ごろから始めるのが理想的です。早めに始めることで、夏のインターンにも参加しやすくなるだけでなく、自分の興味関心を整理する時間も十分に確保できるようになります。
もし3年生の秋以降に始める場合でも、焦る必要はありません。効率的に情報収集を進めれば、十分に間に合います。具体的な業界研究の方法は「5ステップでできる! 業界研究のやり方」の内容を再確認してみてください。
重要なのは、限られた時間の中でいかに質の高い情報を集められるかです。優先順位をつけて、自分が最も興味のある業界から調べていきましょう。
大学2年生以下の場合は、アルバイトや長期インターンを通じて、実際の働き方を体験してみるのもおすすめです。
どのくらい時間をかけるべき?
業界研究全体で1〜2カ月程度を目安にしましょう。1つの業界につき1〜2週間かけて調べれば、十分な情報を集められます。
しかし、時間をかけすぎてほかの就活準備が疎かになってしまっては本末転倒です。効率良く情報収集し、実際の選考を通じて理解を深めていきましょう。
友人と一緒に業界研究をおこなったり、情報交換をしたりすることで、効率が上がることも考えられます。もし同じような状況の友人がいるのであれば、声を掛けて一緒に取り組んでみるのもおすすめです。
興味のない業界も調べるべき?
意外な発見があったり、自分の価値観が変わったりする可能性も考慮して、最初は興味のない業界も軽く調べてみることをおすすめします。
特に、自分がまったく知らない業界については、思った以上に自分の価値観とマッチしている可能性もあるため、あえて概要を調べてみてください。
ただし、すべての業界を詳しく調べる必要はありません。まずは広く浅く調べて、興味を持った業界に絞って深掘りしていきましょう。
業界を絞れないときはどうしたら良い?
なかなか業界を絞れないときは、複数の業界に共通する要素を探してみましょう。たとえば、「人の役に立ちたい」という軸があるなら、金融、医療、教育、公共サービスなど、複数の業界で その価値観を活かせる可能性があるでしょう。
また、業界をまたいで事業展開している企業もあるため、そのような企業を志望するのも一つの方法です。
たとえば、フィンテック企業(金融×IT)、ヘルステック企業(医療×IT)、エドテック企業(教育×IT)など、複数の業界の要素を持つ企業もあるため、下記の表を参考に、業界をまたいで事業展開している企業について調べてみてください。
| フィンテック企業(金融×IT) | PayPay、LINE Pay、BASE など |
|---|---|
| ヘルステック企業(医療×IT) | 富士フイルム、オムロン、NEC など |
| エドテック企業(教育×IT) | ベネッセコーポレーション、学研ホールディングス など |
5ステップの業界研究から志望業界を見つけよう
業界研究は就活の成功を左右する重要なプロセスです。今回紹介した5ステップを実践するだけで、効率的に業界研究を進められるでしょう。
大切なのは、情報収集だけで終わらず、「なぜその業界・企業なのか」を明確にすることです。面接では必ずほかの業界・企業との差別化を問われます。しっかりとした根拠を持って答えられるよう、この記事で紹介した5ステップを一つずつ実践して、入念な準備をしておきましょう。
また、業界研究は一度で終わりではありません。選考が進むにつれて、より深い理解が求められます。最新の業界動向もチェックしながら、継続的に知識をアップデートしていきましょう。
就活会議編集部
就活会議の編集チームです。就活生の皆さんの役に立つ「企業と面接のリアルな情報」を発信しています。体験記・ESは 会員登録すれば見放題! YouTubeチャンネルも配信中です!編集部についての詳細は 記事コンテンツの制作方針をご確認ください。

この記事の編集担当者
望月 晨生
新卒で寝具・家具メーカーに入社後、大手ECサイトの販売を担当。寝具や家具にまつわるオウンドメディアの立ち上げに携わる。自分で何かを作り上げることに魅力を感じ、ライター職に転職。現職では就活会議のコラム立ち上げに携わり、ライター・編集ディレクターを担当。
大学卒業後、2018年にパーソルキャリアに入社。中途人材紹介事業において、4,000名以上の求職者と100社以上の企業を支援。2022年に就活会議のグループ会社であるポートに入社。キャリアアドバイザーとして学生の就活支援に従事し、新規事業である就活会議エージェントの立ち上げにも参画。現在は約100名規模となるキャリアアドバイザーグループの責任者を務める