
24卒 本選考ES
特許技術者
- Q. 学部時代の研究
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A.
再生可能エネルギーから得られる水素は燃料電池の燃料として利用される。現在稼働している固体酸化物燃料電池(SOFC)は700 ℃以上の高温で作動しており、常温で作動する固体高分子形燃料電池よりも効率がよい。 しかし、高温ゆえに材料劣化やガスリークなどの問題点が挙げられる。 そこで、600~200 ℃の中温域で作動する燃料電池を開発することができれば、上記課題を解決できることに加え、特に、プロトン導電性セラミック燃料電池(PCFC)であればより高い反応効率が期待できるため、本研究では中温域で反応が可能な新たなPCFCの作製及びその運転検討を目的とする。 実験方法は次の通りである。厚さ2 mm以下のアノード極を基盤として作製し、その上に電解質インクを厚さ10 μmとなるように塗布した。これを1350~1500 ℃で10時間もしくは24時間焼結した後、カソードインクを塗布してセルを作製した。 焼結により、平らなセルの形状がおわん型に変化したため、この変形と焼結条件の関係を明らかにするために、「収縮率」及び「反り率」を定義した。前者はセルの平面的変化、すなわち直径の減少率を表す。一方、後者はセルの立体的変化であり、セルがおわん型に知るかえる変化を数値化している。また、作製したセルを用いて発電試験を行いその性能を確認した。 続いて研究結果を以下に記す。収縮率は焼結温度に依存し、1500 ℃焼結では20 %代、1400 ℃焼結では10 %代、1350 ℃では7.0%となった。反り率は焼結時間に依存し、24時間焼結では150 %である一方で、10時間焼結では最大でも50.6 %となった。また、焼結温度が同じ場合にはアノード基盤の密度が反り率に影響し、密度が大きい方が反り率が大きくなった。これは電解質層とアノード層の熱膨張率の差によるものと考えられる。 続いて、作製したセルをSEM・EDSにより観察したところ、元素が均一に分布していたことから本検討における粉末混合過程が適切であったことが確認された。また、セル断面の観察により、焼結条件が1500 ℃10時間のセルが最も理想的な構造であることが分かった。作製したセルを用いて水素を燃料とした運転試験を行ったところ513~659 ℃の中温において発電が成功した。その後、メチルシクロヘキサンを用いた発電を試みたところ、620 ℃における起電力が0.4 Vと低かった。一方、SOFCを用いたインピーダンス測定を行ったところ温度依存性が確認され、温度が高いほど抵抗は低い値を示した。 以上のことから、本検討において中温域での稼働を目的とし新規の材料を用いて作製した燃料電池は、作製過程における形状変化や好ましい作製条件について明らかになった。 続きを読む