私が「また来たい」と思ううえで提案したいことは以下である。
・「イーゼル型デジタルサイネージ」を店頭、埋め込み型タイプを店内に設置し、「GU Time Lineと連動」させること、「遊べるクーポンの定期的な配信」である。
特にイーゼル型は導入コストが低いことや利便性の高さから、既存店でも活用できる。
それに合わせ新規店ではイーゼル型・埋め込み型を合わせて設置を提案したい。
この提案をする現状の理由として、
1. O2Oを活用した顧客目線に基づいた集客戦略の土壌
2. GU Time Lineを活かしきれていない店舗プロモーション
3. 競合他社に比べて劣る個性ある店舗つくり、があげられる。
具体的に述べていきたい。
まず、上記の1と2である。貴社の強みであるO2Oでは、670万人を超えるモバイル会員の多さや7割から8割を超える利用率は競合他社を圧倒している。また遊べる仕掛けを施したクーポンは1年で200万件超えるダウンロード数と、顧客に感情や感動、驚きを与えている証拠である。
最近ではGU Time Lineのようにインスタグラムと連動企画をし、気になる商品をネットでそのまま購入できる仕組みもある。O2Oでよく見られるのはオンラインで商品をチェックして店頭で買うというスタイルである。
私が店頭に足を運んだ際に気になったのはGU Time Lineで紹介されている商品の紹介がないことである。確かにホームページで今週のおすすめでNO.1のガウチョパンツは大きく宣伝されていた。また、モバイル会員割引商品の宣伝も、商品ごとに掲載されておりわかりやすかった。しかし、私が足を運んだGU銀座店・新宿東店・渋谷店・吉祥寺店ではホームページでのおススメ商品やモバイル会員対象商品は大きく取り上げられていたが、ファッショニスタが着こなしているGU Time Lineの商品の紹介はどこもなかった。そのためかGU Time Lineで多くの「LIKE」があったビジューグラフィックTを手に取る女性も少なく感じられた。つまりモバイル会員やクーポン利用率は高いがGU Time Lineの認知度はまだまだ成長できる余地があるということである。
次に3である。「どこにでもある無個性な販売フロア」これは私が思う貴社における一つの課題である。それは貴社の銀座店、新宿東店、渋谷店、吉祥寺店を見学すると同時に競合他社の販売店も視察したときに感じた。例えばユニクロは大きな売り場面積を活かした開放感やベーシックで親しいやすい雰囲気。ZARAは床のタイルから照明の暗さまで高級感あふれる演出。GAPはカジュアルでマネキンに自由なポーズをとらせたり、企業カラーであるブルーをアクセントとするなど遊び心を兼ねそろえた雰囲気が作られていた。H&MやFOREVER21は装飾としてファブリック素材の絵画や壁画ペイントなどアート性にあふれていた。訪れる客にとってワクワクするような店舗つくりがされていたのである。特に銀座や新宿などのファッション一等地には、こぞって進出するため店舗での雰囲気が如実にわかりやすい。
一方で貴社は数多くのカラーやサイズなど圧倒的なバリエーションを揃えた店舗販売をしているスタイルである。よく言えばシンプルであるが、穿った見方をすれば平均的な店舗づくりで特徴的なところがない。また、店内には所狭しと商品が陳列されている感覚は否めない。もちろん、このスタイルに落ち着いている理由はいくつか推測される。例えば店舗販売は商品を気軽にたくさん手に取りたい若年層に合っていること。また、多くの店舗はビルの中にワンフロアでの出店である。競合他社のように1階から5階まで建物全体が売り場ではなく(銀座店は建物の形状から1階から5階まであるが)、大型店でも400坪ほどのワンフロアの売り場であるからだ。
以上の現状を改善するために、私は冒頭で述べたことを提案したい。もちろん丁寧な接客や整った商品陳列など基本的なことを徹底にすることも大事であるが、この点はユニクロから学べるノウハウがあるので、改めて強調する必要はない。O2Oをサービスの新しい形として、客が初めてでも行ってみたい、そして満足してまた来たいと思える仕掛けがいる。
私が冒頭で述べたことを提案するメリットとして、以下のことがあげられる。
1.リアルタイムでのトレンド商品のプロモーション
2. 集客力上昇と売上向上
3. GU Time Lineを知らない層へのアプローチとEコマースへの潜在顧客獲得
4. 新しさ・若者らしさを演出した店舗への進化
具体的に述べていきたい。
まず1である。GU Time Lineと連動することで1週間ごとにトレンド商品を紹介できる点や、テレビ動画を流すよりも自社内でコンテンツを自由に作成できる。時と場所に合わせたコンテンツも可能になる。また、GU Time Lineと連動することで、着回しやコーディネートを視覚的に分かりやすくとらえることや好きなファッショニスと同じ商品を買うことも大いにあり得る。ポスターと違い動画や、商品の特徴など利用イメージがわきやすいことがやはり強みである。
ちなみにGU渋谷パルコ店において液晶ビジョンが設置されていたが、おもにロゴ画像が流れているだけで、たいへんもったいなく感じた。私が訪れた時間帯の都合が悪かったのかもしれないが、店舗をあげて取り組んでいる7days closetのラインナップを紹介しているところを見てみたかった。ユニクロ各店では、すでに埋め込み型のディスプレイにてテレビCMや動画を流している。その差別化として貴社の強みを活かした店舗だけのコンテンツ作成や、次に述べる段落での試行錯誤が必要になると考えられる。
次に2である。すでにサイネージを導入しているアパレルチェーンのF&Aホールディングスグループでは、デジタルサイネージに掲載した商品は掲載前後の週で1.2〜1.5倍に増えているデータもある。貴社はこれまで、店頭のみで配信されるクーポンとしてシェイククーポンや宝探しクーポンなど、遊べるクーポンを実施してきた。今後の展開としてゲームや抽選など、お客様が参加できる試行錯誤をしてみてはどうだろうか。他には対象商品への口コミ投稿をサイネージで流し、投稿してくれた方にクーポンを差し上げる、などである。お客様の店舗に対する帰属意識を向上させることに加えて、家族で来店されたお客様の中で、店内で手持ちぶさたにされている子どもへのアプローチになるからだ。新宿ビックロ店でフロアにおもちゃ売り場を設けるなどして、子どもも楽しく過ごせる工夫がされていることがその一例だ。
最後に3と4である。文中でも述べたようにGU Time Lineの知名度はまだまだ高くない。そうしたお客様に、店舗でサイネージで紹介することが絶好の機会になる。GU Time Lineの名を知れば、手元にあるスマートフォンで調べて、Eコマースを知るきっかけにもなる。
上で見たように都心の同業他社ではサイネージを導入している店舗もあるが、地方や郊外ではまだ導入されていない所も多く注目度も高い。加えて、デジタルという真新しさと、GU Time Lineのガーリーな画像をアクセントに貴社の強みを加えた独自の店舗へと昇華することが見込まれる。
このアイデアを導入するにあたって考えられるデメリットは
・初期導入コストの大きさ(ディスプレイや既存店舗の設置工事)である。
42インチのイーゼル型デジタルサイネージであれば24万円や電気代がかかる。しかし、サイネージはPOPやポスターの種類などの張り替え作業に伴う資源や人件費を削減できること。事前にコンテンツを作成し、スケジュール・配信をしておけばインターネットのない環境でも動かせること。継続的な売り上げ増加を見込めば、初期費用は回収できると考える。
以上が私の考えるお客様に「また来たい」と思っていただくお店にするためのアイデアである。
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