日本におけるエネルギーに関する政策として、エネルギー基本政策が挙げられます。これは「エネルギーの安定供給の確保」と「環境への適合」を考慮し、「市場原理の活用」に沿ってエネルギーに関する施策を長期的、総合的に推進していくものです。エネルギーに関する国際情勢が不安定なことから、石油等の資源の特定の地域への過剰な依存を避け、エネルギーの供給源の分散化により危機管理を行うためという方針の政策です。また、エネルギー消費の立場として、消費の効率化を推進し、環境保全についても持続可能な社会の構築しなければならないことにも言及しています。
エネルギー基本政策を踏まえ、JOGMECに求められる役割、責務を考えると、独立行政法人という国家に近い立場であることから、民間企業では行われない包括的な視点から見た日本のエネルギー供給安定化と、日本の持つ先端技術をエネルギー消費に伴う環境への負担軽減に活用していけるような働きかけをすることが考えられます。
日本企業の石油、ガス開発投資はここ数年大幅に減少しており、新たな探鉱への着手が遅れ、資源確保が困難になってくる可能性が指摘されています。JOGMECは国家的組織として、技術支援、情報提供などを通じ日本企業の資源権益の確保の補助を行うべきであると考えます。世界的な資源確保競争が激化している現在、日本企業の持つ技術を最大限発揮し、資源確保に取り組めるような支援が、JOGMECが担うべき役割です。新たな油田の探鉱、開発は年単位の時間と億単位の資金を必要とする事業であり、さらに十分な資源が回収できなければ企業にとって大きな負債となってしまいます。そのリスクを保証し、日本企業が探鉱に積極的に乗り出せるような資金面での援助を用意することがJOGMECに求められる役割であります。
また、エネルギー消費により排出される二酸化炭素に関しても負うべき責務があります。工業先進国でありエネルギー消費量においても世界有数である日本の持続可能な社会の形成に向け、二酸化炭素の分離システムの構築、実用化など日本が持つ先端技術を実用化していくことが求められます。二酸化炭素の処理技術のみならず、今あるエネルギーをより効率的かつ低コストに抑えるため、油田から原油を生産するためのポンプの改良や油田からの随伴水の処理技術など、民間技術の国内外の油田への実証、適用を促し、日本の技術をより実用的な段階へと向上させ、かつ環境への負担を減らしていくことが必要なのだと考えます。
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