私が今までの人生で最も頑張った経験は、大学生3年生の頃に現代写真研究部の部長を務め、部を良くする為に様々な工夫を凝らしたことです。
現代写真研究部は1974年設立と歴史が長く、所属人数は167名と大学内でも有数の部活です。そのような部活の部長を任されたときは、自分に務まるのかと不安に思う反面、自身の力でどこまで部活を良くしていけるか楽しみでもありました。
部長の任についてまずはじめに行った大きな仕事は、例年行っている冬の学外展でした。場所も期間も例年通りに行いましたが、ひとつだけ例外がありました。それは、中央大学理工学部の写真部、そして青山学院大学の写真部と協力し、三大学合同展という形をとったことです。
例年展示を行っていた渋谷のギャラリールデコは2F~3Fまでがそれぞれギャラリースペースになっており、同期間に様々な団体が展示を行えること、そして渋谷というその立地から、来場者数を少しでも多くしたい大学生写真サークルにとって恰好のギャラリーでした。そこで偶然同期間に4F、5F、6Fで青山学院大学、中央大学理工学部、立正大学の写真部が学外展を行うことになり、それぞれ面識のあった者の提案により三大学合同で協力することになりました。
私はこの仕事を企画の段階で引継ぎ、それから他大学の部長と話し合いを重ねました。その結果合同で行うと決めた事項は、「合同テーマ写真コーナーの設置」「合同ダイレクトメール」「合同アンケート」の三点です。
各階で各々が展示を行うため、その三点以外は普段通りに行われましたが、来場者数は大幅に増加しました。それぞれの大学のみ目的で観に来ていた方々が、合同展と聞いて他の大学の展示にも興味を示してくれるからです。
しかし、来場者数の増加により成功したと考えてはいいものの、もう少し合同展として何か出来たのではないかと、展示を終えてから考えました。各々の大学の代表者が忙しい余りに話し合いの時間を多くは取れなったことが、今回の物足りなさの原因でした。折角の合同展なのだから、お互いの発想力やギャラリースペースを最大限に活かして、もっと面白い展示が出来たのではないか。そうは思うものの、初めての大仕事ながら、成功と反省のどちらも得られた大変貴重な経験でした。
写真部の活動は展示だけではありません。恒例のイベントとして、月に1~2回の遠足があります。これは撮影はもちろん、部員同士の交流を深める目的もあります。遠足は班を編成して行うのですが、私は当初部員同士の交流を深める目的を重視し、最初は同じ学部の先輩後輩で同じ班、そして徐々に様々な学部の人々と交流できるように班を組んでいました。
結果として様々な学部の部員同士で交流を深められたことは良いものの、「これでは唯のお散歩ではないか?」という声が挙がるようになりました。交流に力を入れすぎるあまり、写真部らしさというものが薄らいでいたのです。
そこで、「写真に興味があるが一眼レフを買うほどではない部員」や「交流目的で部活に所属している部員」など部員の系統別に班を分け、写真に興味がある部員には本格的に撮影を行っている部員と同じ班にして、一眼レフを貸し出して撮影方法を教えるといった工夫をしました。すると、その魅力に気付いた部員が続々と一眼レフを購入するようになり、結果、部全体としての一眼レフ所有率を大幅に上げることに成功しました。
また、部長として新たな試みも行いました。展示会や遠足などの恒例行事の他に何か面白いことが出来ないかと考えた時、ハロウィンパーティを思い付きました。これなら写真を撮る人も撮らない人も楽しめると考えたのです。
そこでダーツバーを貸し切り、仮装コンテストを催しました。参加者には個別の参加賞、優勝者には豪華景品と、盛り上がるように工夫した結果、例年にはないイベントということも相まって多くの部員が参加し、今までにない熱狂的なイベントとして成功させることが出来ました。
展示や遠足、講習会に合宿、ハロウィンパーティーなど様々なイベントを部長として行ってきましたが、最後の集大成として挙げられるのは、3月に行った卒業生の為の送別会です。
例年ならばレストランを貸し切ってお酒を飲んで談笑し、プレゼントを渡し、想い出ムービーを上映するだけなのですが、それだけでは卒業生への感謝とお祝いの気持ちが足りないと考えました。そこで、結婚式風フェアウェルパーティーを行うことに決めました。
それからは実際に披露宴として使われる会場を探し6時間という長時間の貸し切り予約をしたり、担当者の方と数回打ち合わせを行ったり、原稿を作成したり、祝電やビデオレターを集めたり、想い出ムービーの為の追加の撮影をしたりと大忙しでした。しかし、色紙の作成やカップケーキタワーの手配、ムービーの編集などを他の幹部に任せ、プレゼント選びを幹部全員で協力して行うことにより、楽しく且つ分担して準備を行うことが出来ました。
結果として卒業生の先輩方に大いに喜んでいただくことができ、大成功を収めました。特に力を入れた想い出ムービーでは、感動的な写真が多く流れてくる最中、唐突にRADWIMPSの野田洋次郎似のOBが出てきて前前前世風のMVに切り替わるという演出に大歓声をいただき、これまでにない達成感を得ることが出来ました。
以上の経験から、私は創意工夫をすること、多角的視点から物事を考えること、人と協力すること、そして何より、人を喜ばせることの大切さを学びました。多くの部員が所属する部活で、部長として全員の部員と関われた経験は、何事にも代え難いものです。社会人になり、働く際も、この経験から学んだことを忘れずに、さらに成長していきたいと考えます。
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