チームで行った実例として、私の所属する図書館運営サポートサークルの部員数を30名から90名に増加させた経験がある。これは、このサークルの主業務の一つである「返本作業」が滞っていた実態を解決するという理想を、部員全体の共通認識として協力しながら達成した活動である。
「返本作業」とは、図書館カウンターに返却された本を本来あるべき所定位置に戻す作業のことを言う。この作業を行うにあたって問題とされていたのが、作業量と参加部員のバランスが合わないことだった。シフト制にて既存の部員30名を授業がある平日5日間で割り振り、一日平均5名程度でこの作業を行っていたが、時期や日によって返本数が異なり、ピーク時には約100冊を5人で返本することもあった。
この大変さに私含め部員が悲鳴を上げ、部員全体で改善策を練る会議を行った。私は返本作業の一番の問題点として人手不足を挙げ、その解決法としてサークルの認知度向上と居心地の良さをアピールする必要性を主張した。しかし、作業人数が増えると統制が取れなくなり作業の質に悪影響が生じる、シフト制を取り払って部員全員が毎日活動する、といった意見や提案も出た。そこで私は改めて現状の問題点を整理し、作業の質低下は作業マニュアルの徹底を行うことで防げること、部員全員の毎日参加は長期的に見れば部員が離れる原因にもなり得ること等を説明した。最も解決すべきは「返本作業の円滑化」であることを全員に納得してもらい、そのために人員を増やすことは必要なこと、人員を増やすためには新入生が落ち着けるような場所としてサークルを機能することが効果的であること、様々な反対意見も加味した上でまずは現状の作業の大変さを解消するための施策を打ち出すことをまとめた。
具体的には、1つ目に新入生向け座談会・相談会設置である。SNSやオンラインでも同様の機会は設けていたが、実際に対面で言葉にして悩みを打ち明ける場を用意することで、お互いの印象や雰囲気を含めたコミュニケーションの中で気軽に質問・雑談ができるように心がけた。この時、新入生が接する先輩の種類を増やし多様な角度からのコミュニケーションをできるようにするため、既存部員の参加と雰囲気づくりを呼び掛けた。
2つ目に部室ロッカーの拡張とソファの新調による「部室の居場所化」である。他のサークルにはない特徴であるロッカーの存在を強みに、サークルの認知度を上げようと考えた。実際、このロッカー目当てに入部した部員も多数いたため、知名度を上げるアピール戦略として効果的であるという実績があったからである。また、ソファを新調することで部室環境の向上に常に気を配っていることを示し、部室が一つのコミュニケーションの場として機能することを表した。
これら施策には、「返本作業の苦労を改善したい」という根本的な思いを部員全員の共通認識と定め、その改善策として何ができるかを考えながら策定した、という過程を踏まえている。一つの理想のためにメンバー全員が思考し行動を起こした結果、部員を30名から90名に増加させることができ、返本作業も一人の負担が減って円滑に行えるようになった。
続きを読む