2021卒の千葉大学大学院の先輩がDIC技術職の本選考で受けた2次面接の詳細です。2次面接で聞かれた質問と実際の回答や、実施時期、面接時間、面接の雰囲気、評価されたと感じたポイントなどを公開しています。ぜひ、先輩の回答を選考対策に役立ててください。
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2021卒DIC株式会社のレポート
公開日:2020年7月20日
選考概要
- 年度
-
- 2021年度
- 結果
-
- 内定入社
- 職種
-
- 技術職
投稿者
選考フロー
2次面接 通過
- 実施時期
- 2020年02月
- 形式
- 学生1 面接官3
- 面接時間
- 30分
- 面接官の肩書
- 技術系社員2人と人事1人
- 通知方法
- メール
- 通知期間
- 1週間以上
評価されたと感じたポイントや、注意したこと
パワーポイントを用いた技術面接であったため、自身の研究内容をいかにわかりやすく伝えるかがポイントであったと思う。私は研究上で工夫したポイントを中心にまとめ、図を用いて分かりやすく伝えたことが評価につながったと思う。
面接の雰囲気
技術面接だったため、研究内容に関しての質問の時はそれなりに緊張感があったが、その後の人事面の質問は非常に和やかに進んだ。
2次面接で聞かれた質問と回答
研究内容に関して10分以内でプレゼンしてください。
私は、銀ナイトレン種を用いた化学選択的なC-H官能基化反応の開発に取り組んでいます。金属ナイトレンは、窒素と金属が二重結合を形成した高活性の化学種です。通常不活性なC-H結合と直接C-N結合を形成できるため、医薬品や生物活性物質を合成する際の、直接的な窒素官能基化法として非常に有用な手段となっています。
当研究室においても、金属ナイトレンを用いた新規の反応開発を行っており、アミドカルボニル基を有する基質1aに対してロジウムナイトレンを発生させると、アミド結合への挿入反応が進行することを報告しました。一方、C-H結合への挿入反応は進行せず、スピロアミナール化合物3aは得られませんでした。スピロアミナール骨格は、こちらに示しますような様々な生物活性天然物に見られる化学構造であり、創薬科学研究において重要なコア骨格となっています。
当研究室では金属カルベン種の反応開発も行っており、銀カルベンがロジウムカルベンとは異なる反応性を示すことを明らかにしました。金属ナイトレンは、金属カルベンの窒素類縁体であり、このような触媒金属種による反応性の差異は、ナイトレン種の反応系においても同様に認められるのではないかと興味を持ちました。
以上の背景を踏まえ、銀ナイトレン種を用いた化学選択的なC-H挿入反応の開発に着手しました。まずロジウム触媒を用いたところ、アミド挿入体が優先的に生成しました。次に、銀触媒を用いると選択性が逆転し、C-H挿入反応が選択的に進行しました。目的のスピロアミナール化体が62%収率で得られましたが、同時にベンジル位へのC-H挿入反応に由来する生成物2が17%得られました。
選択性を向上させるべく、まず、リガンドの検討を行いました。エントリー1~3で、フェナントロリン、ビピリジン及びトリスピリジルメチルアミンを用いたところ、同程度の化学選択性で生成物が得られました。
銀ナイトレンの反応における遷移状態では、このように基質、銀、リガンドの順に並んでおり、フェナントロリンやビピリジン類は、基質側に置換基がないため、基質との立体障害が小さいと考えられます。私は、基質との立体障害が大きくなれば、位置選択性が向上するのではないかと考え、このような、基質側に嵩高いターシャリーブチル基をもったBOXリガンドL1を試しました。すると、エントリー4にて、期待通り、高い化学選択性及び収率でスピロアミナール化体3が得られました。エントリー5にてメチル基を二つずつ導入したBOXリガンドL2を自身で安価に作製したところ、市販のL1とほぼ変わらない収率で反応が進行しました。キラル触媒であるL1に対し、アキラルで安価に合成可能なBOXリガンドL2を用いて検討を行うことにしました。
L2を用いて実際にコンピュータ上で分子モデルを組み立てたところ、ナイトレン窒素がベンジル位の水素原子に近づく過程で、BOXリガンドの置換基が、フェニル基と立体反発を起こしていることが判明しました。この立体障害により、高い位置選択性を示したと考えられます。
続いて、収率を向上させるべく、エントリー2から5で銀塩の検討を行いましたが、収率、化学選択性ともにほとんど変化しなかったため、一番安価な過塩素酸銀を用いることとしました。エントリー7、8で溶媒の濃度を低くしたところ、収率の向上が見られ、エントリー8に示します条件にて、スピロアミナール化体3が、80%収率で得られました。こちらに示します収率は、単離前に算出した収率となっており、この化合物を実際に単離、精製したところ、収率が63%にまで低下してしまいました。また、同時に単離前には存在しなかった副生成物が単離後に確認されました。単離収率の低下の原因を突き止めるべく、まず、二次元NMRを用いて副生成物の構造を突き止めたところ、この副生成物は化合物4の構造であることがわかりました。
次に、生成メカニズムを考察しました。まず、カルボニル炭素にプロトンが配位します。これが駆動力となり、赤色の炭素ー窒素結合が開裂します。その後窒素原子による、カルボニル炭素への攻撃により、ベンゾイル基が転移します。最後に、脱プロトン化、互変異性化により二重結合の位置が移動して、より安定な4が生じます。この生成メカニズムから、分液とカラムの段階で、酸の存在により目的物が副生成物に分解している可能性を考え、精製条件を見直しました。エントリー2で、分液に用いていた、硫酸水素カリウム水溶液の濃度を下げ、分液の回数を少なくしたところ、副生成物4が減少しました。次に、エントリー3、4で用いるシリカゲルの種類を検討しましたが、単離収率は低下しました。エントリー6で、カラムの保持時間を約10分という短い時間で行ったところ、副生成物はほとんど得られず、単離前と変わらない収率で目的物を単離することに成功しました。本反応には汎用性があり、その他の様々な基質においても、良好な収率、及び化学選択性でスピロアミナール化体が得られました。
続いて、化学選択性が発現する要因、及び反応機構を明らかにするため、最先端のコンピュータ計算を行いました。アミド挿入反応の経路を青色で、C-H挿入反応の考え得る二つの経路を赤色と黒色で示しています。まず、一つ目の遷移状態のエネルギーが、青色のアミド挿入反応の方が赤色のC-H挿入反応の経路に比べて1.4kcal/mol高くなっており、このエネルギー差により、化学選択性が発現していると考えられます。
C-H挿入反応の経路は、この一つ目の遷移状態から二つの経路に分かれます。赤色で示した経路では、こちらに示します水素引き抜きの遷移状態から、中間体を生じることなしに、直接生成物を与えます。一方、黒色で示しました経路では、先ほどの遷移状態から、水素原子が窒素上に移動したラジカル中間体が生じます。その後、炭素ー窒素結合が形成し、生成物を与えますが、この活性化障壁は31.5kcal/molと他に比べて非常に高く、不利な経路であることが分かりました。この計算結果から、C-H挿入反応は赤色で示しました、中間体を生じない経路で進行すると考えられます。
このように私は銀ナイトレンの特性を活用して、高化学選択的かつ高位置選択的なC-H挿入反応を開発しました。本反応により、ロジウムナイトレンでは合成できなかったスピロアミナール化合物を、高収率かつ高化学選択的に得ることに成功しました。また、DFT計算により、反応機構解析を行いました。今後は本反応を応用した天然物合成を目指す予定です。
彩りで気持ちが明るくなった具体的なエピソードはある?
スーパーに買い物に行ったときによく食品のパッケージを見て気持ちが明るくなります。生鮮食品は自分で直接食材の色を見たり、手で触ったりして買う食材を選ぶことができますが、袋や箱に入っている食品は、中身を直接見ることはできません。しかし、彩り鮮やかに食品のイメージ図が書かれているパッケージを見ると、自然と中身が想像でき、わくわくした気分になります。もし、食品パッケージが白黒だったとしたら、おいしそうといったイメージが半減してしまうと思います。食品パッケージの彩りは、実際に見ることができない食品をリアルに再現したり、調理イメージを容易に想像させることで、購買欲を掻き立てる重要な役割を担っていると思います。
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DICの 会社情報
会社名 | DIC株式会社 |
---|---|
フリガナ | ディーアイシー |
資本金 | 300万円 |
決算月 | 12月 |
代表者 | 日下雅章 |
本社所在地 | 〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目7番20号 |
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