18卒 本選考ES
総合職
18卒 | 学習院大学 | 男性
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Q.
「これまでの人生で、最も当事者意識を持って取り組んだことについて」
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A.
「素晴らしいですね」この言葉は中学校の学級担任の口癖だ。国語を担当教科に持つ〇先生の下、『走れメロス』の読解をしていた。当時なまじ成績が良かった私は授業そっちのけでノートにクイズを書き、後ろの席にいる友達に解かせて遊んでいた。当然先生から叱責を受けた。しかし彼女は否定するだけではなく「想像力を働かせ、会話の道具を作り出せるのは素晴らしいですね」という言葉も付け足した。 まずは驚きがあった。その次に先生の評価に応えたいと感じた。『走れメロス』の単元が終わる回に感想文を書く機会があった。私はここが頑張りどころだと感じた。授業を受ける側でなく自分からも発信することが出来るタイミングはここしかない。生徒であるという当事者意識を持って先生にアピールするため、クイズを考える情熱を感想文にも向けた。稚拙ながらも太宰のバックボーンや元ネタとなったギリシャ神話を調べ、それらに触れながらメロスの揺れ動く心情について、裏紙に至るまで用紙をびっちり埋めた。見て下さいよ!と自信満々に提出した作文は先生を喜ばせた。再び、「素晴らしいですね」の評価を貰った。私はこの時、自分の文章で人の心を動かすことの快感を知った。 私の作文は印刷され学年全員に配布された。街に辿り着いたメロスのように照れ臭く思いながらも先生を更に喜ばせようと私はより熱心に授業に取り組むようになった。それからの授業でも生徒による優れた作文は学年で共有し、第二の教科書として各自の解釈を発表する材料となった。 行ったことは確かに小さい。けれどもこの出来事は確実に私の精神性を大きく変えた。この時学んだ、人の心に訴えかけることの尊さ、努力はきっと学生生活だけでなく社会人になっても通用するという確信がある。そう気付かせてくれた〇先生に「素晴らしいですね」という思いを伝えたい。 続きを読む