21卒 本選考ES
研究開発職
21卒 | 北海道大学大学院 | 男性
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Q.
学業、ゼミ、研究室などで取り組んだ内容
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A.
私が所属した学科では、バイオサイエンスとバイオテクノロジーを共通のキーワードとして、生物化学・有機化学・微生物化学・機器分析学などの幅広い分野の講義を受けることができた。 研究室に配属されてからは、植物T由来の殺虫成分である化合物Pの生合成経路の解明を目指し研究活動を行った。化合物Pの生合成中間体であると推測される化合物のラベル体を合成し、それらを植物Tに取り込ませ、各種ラベル体が化合物Tのラベル体へと代謝されるかどうかをUPLC MS/MSという分析機器を用いて評価した。この際、植物Tから単離した天然の化合物Pを分析の比較対象として用いた。このような研究活動を通して、有機合成・機器分析・天然有機化合物の単離・構造決定などの実験技術を身に着けた。 続きを読む
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Q.
自己PR
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A.
私が所属するサークルでは動植物の観察・登山・釣りなどの活動をしているため、図鑑・双眼鏡・登山具・釣り具など、計300点以上の備品を保有している。高価な備品が多いにも関わらず、備品管理に関するマニュアルが存在しない期間があり、活動後に備品が紛失するという事例が何度も発生した。この状況に危機感を覚えた私は、数人のメンバーに協力を依頼して備品管理委員という役職を新たに作り、サークルが所有する全ての備品の種類・個数を記録したリストを作成した。また、備品の持ち出し・返却の際には備品管理委員が同伴し、作成したリストを使って紛失した備品がないを必ずチェックするという制度を整えた。これにより、使用する備品が多い登山企画や釣り企画においても備品の紛失は激減した。その結果、企画の参加者も備品の紛失に怯えることなくのびのびと活動ができるようになったと確信している。このように、「問題を発見し、その問題を解決に導くために行動を起こすことができる」という点が私の強みである。職場でもこの強みを発揮し、貴社に貢献したいと考えている。 続きを読む
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Q.
学生時代に最も打ち込んだこと
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A.
私が学生時代に最も力を入れて取り組んだことはゼミでの研究である。学士4年時に初めて学会に参加した際、私の発表を聞いてくださった他大学の教授の質問に対し、明確な回答をすることができず、それまで自分が“なんとなく”実験をしていたのだと痛感させられた。それ以降、自分が行う実験のメカニズムや基礎的な知識などは、参考書や過去の論文を用いて、人に説明ができるくらいに根本から理解するように努めた。その甲斐あって、化学的な考察力が身に付き、自身の実験でも、合成手法と分析手法における2つの問題点を発見・改善することができ、実験効率が飛躍的に向上した。特に、植物由来の化合物の分析実験では、目的物質の検出を妨げる要因になる高分子化合物を取り除くために用いるC18カラムという実験器具を扱う際に使用する溶媒の条件を再検討することで、分析結果のばらつきが激減し、データの再現性が高確率で得られるようになった。 続きを読む
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Q.
研究テーマ
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A.
天然殺虫成分化合物Pの生合成経路の解明 続きを読む
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Q.
研究の背景・目的(300字以内)
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A.
化合物Pは植物Tに含まれる殺虫活性を有する化合物である。化合物Pは〇〇と呼ばれるカルボン酸と△△と呼ばれるアルコールのエステル縮合体である。上記のカルボン酸の生合成経路はすでに解明されているのに対し、アルコール部分である△△の生合成経路を直接的に証明した研究報告は皆無である。このように、化合物Pは古くから利用されている有用な化合物であるにも関わらず、その生合成経路に関しては全容解明に至っていない。そこで本研究では、この化合物の生合成経路を解明することを目的とし、研究を行った。 続きを読む
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Q.
研究結果・考察(700字以内)※図表・写真の貼付可(任意)
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A.
化合物Pのアルコール部の生合成経路は、化合物Iという化合物を経由する経路1(図1,青線)と化合物Jを経由する経路2(図1,赤線)の2経路が存在すると推測されている。そこで、それぞれの経路に特有な化合物のラベル体を合成し、それらを植物Tに取り込ませた。取り込ませたラベル化合物が化合物Pのラベル体に代謝されるかどうかをUPLC MS/MSを用いて分析することにより化合物Pの生合成経路の評価を行った。経路1に特有な化合物のラベル体として、化合物U・化合物M・化合物Cを用意した。また、経路2に特有な化合物のラベル体として、化合物O・化合物Eを用意した。これらの化合物を、1サンプルあたり10 µmol用意し、少量のラノリンと混和させた後、播種後7週間の植物Tに塗り付けた。ラベル化合物を塗り付けた植物体をさらに1週間生育させたのち、液体窒素による氷結破砕・EtOHによる抽出・C18カラムによる粗精製に供した。粗精製後のサンプルをUPLC MS/MSにより分析し、処理したラベル化合物が化合物Pのラベル体へと変換されているかどうかをチェックした。分析の結果、経路1に特有な化合物は化合物Pへと代謝されるが、経路2に特有の化合物は化合物Pへと代謝されないことが明らかになった(図2)。この結果から、化合物Pは、化合物Iを経由する経路1のみによって生合成されているということが示唆された。 続きを読む
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Q.
今後の課題(200字以内)
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A.
今後の課題は、化合物Pの生合成に関与している酵素の同定である。酵素の同定に成功したら、それらの酵素をコードする遺伝子が植物T以外の植物においても発現するのかどうか、また、発現したとしてその酵素は活性を示すのかどうかなどを評価したいと考えている。仮に、この実験に成功すれば、自主的に化合物Pを生合成する、強い耐虫性を持った農作物や観賞用植物の作成が可能になるかもしれない。 続きを読む