私は飛行中のドローンに対して,xxxx通信のxxにも用いられるxxGHzの電波を用いてワイヤレス電力伝送を実現するために,ドローンの高精度制御に関する研究に取り組んでいます.私の研究の目標は飛行中のドローンに対して電力を伝送し,電力を受電できる時間を延長することです.近年,新型コロナウイルスの流行に伴いEコマースの利用が活発となり,物流業界の課題である労働力不足や再配達の問題が深刻化しています.本業界が抱えるこれらの問題解決に期待されているのがドローンによる配送の実現です.しかし,ドローンはバッテリーによる飛行を行うため,飛行時間に制限を抱えています.バッテリー容量を増量することも可能ですが,その場合にはドローンが荷物を搭載できる量が限られてしまうため,飛行時間と搭載量の間にはトレード・オフの関係があると言えます.これを解決できると考えられているのが,ワイヤレス電力伝送です.地上から飛行中のドローンに対して送電することで,ドローンの飛行時間の延長やバッテリーレス飛行での運用が可能となります.ワイヤレス電力伝送には様々な方式がありますが,本研究では長距離の電力伝送が可能な電波方式を用いています.先行研究において電波に用いられる周波数は5.8GHzが一般でしたが,本周波数で50m上空のドローンに対して送電を試みようとする場合には電波が散乱してしまい,十分な電力を伝送できないと示唆されています.そこで,私の研究室では周波数をxxGHzに上げ電波の指向性を高くすることで,この問題解決に取り組んでいます.一方で,電波の指向性が高くなると送電ビームからドローンがずれた場合には効率が著しく低下し電力を得られにくくなります.別の先行研究では飛行中のドローンに対して28GHzでのワイヤレス電力伝送が行われ,伝送距離80cmにおいて約20秒の受電時間(最大効率0.044%)にとどまり安定した出力と効率を得ることができていません.そこで、私の研究では電力密度の高くなる送電ビーム中心をドローンが飛行できるように高精度の位置制御を実現することにより,電力を連続して受電できる時間の延長を図っています.高精度な位置制御を実現するために先行研究において,繰り返し演算アルゴリズムで理論上最適な設計は得られていますが,飛行実験においては設計通りの結果を得られていません.私はドローンの位置情報を得るために取り付けたセンサや,実験環境で発生するドローンによる風などの実空間で生じる影響により,理論通り動かないのではないかと考えました.そこで,制御器設計を行う上で必要となるシミュレーションの段階でこれらの擾乱を含んだシミュレーションモデルの構築を,数値解析ソフトウェアのMATLABで行いました.現在は,得られたシミュレーションの結果を元に制御器の仕様を決め,実装に向けて制御器の設計値の検討に取り組んでいます.
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