塾講師のアルバイトで,教室内の課題に正面から向き合い,解決した経験があります.私がアルバイトをしている塾の教室には当時,生徒の解約件数が原因はわからないものの増加しているという問題がありました.アルバイトである講師の多くはこの事実に当事者意識がなく,教室に配属されている社員も日常の業務に忙殺され対処が難しいという状況でした.しかし私は,この問題は将来教室に大きな悪影響を及ぼすのではないだろうか,具体的には,進学実績の低下や,それによる教室自体の規模縮小に至ってしまうこともあるのではないだろうかと思い,自分の手で解決することをを試みました.
といっても,何か策があるわけではなかったので,交流のある一部の講師に自分が抱く問題意識について話し,説得し,この課題解決を一緒にできないか,手伝ってもらえないかと打診しました.結果3名体制のチームを結成し,定期的に仮説を述べ合ったり,作戦を議論したりと,原因の究明に努めました.私はチームの中でも行動力を発揮しまして,自分たちが抱く仮説の検証や,自分たちの教室と,運営が上手くいっている教室との違いの調査を目的に,近隣の他の教室に出向いて実態を探れば何かわかるのではないだろうか,ということを提案し,実際に足を使って通ったりしました.ただ,観察だけでは正直あまり得られるものはありませんでした.なので,その運営が上手くいっている教室で実際に生徒を担当して働くことで,内部からその違いや,自分たちの教室に足りないものを探すことにしました.
その結果,自分たちの教室には,生徒側のニーズ,つまり授業でやってほしいことが,担当講師に伝達するフローが存在していないということがわかりました.他の教室では,面談を通じてニーズを吸収した社員のメモ書きがそのまま,講師に渡されるという形で共有されているのですが,自分たちの教室にはそれがなく,担当講師には生徒のちょっとした属性が共有されるのみでした.それによって要望にかなわない,満足度の低い授業になり,解約に繋がってしまっているのだと判明しました.
これに対しては,ニーズを共有するスプレッドシートの導入によって情報を書き込み,一覧化できるようにしました.面談を行なった人が最初責任を持ってこれに記入し,担当講師はそれを踏まえ授業を進め,授業を経て気付きなどがあれば追加で記入する,という体系を作りました.結果半年後には,解約率が20%という高い水準に迫っていたものが,10%という一般的な水準に戻りました.
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