【学生の人数】1人【面接官の人数】2人【面接官の肩書】役員2名【面接の雰囲気】今までの会議室のような場所ではなく,応接室のような場所での面接でした.相手は役員の方でしたが,学生の話に耳をしっかりと聞いてくれる暖かい雰囲気でした.【研究内容を教えてください.】 私は,タイヤ騒音の中でも50%ほどの寄与を占めるパターン振動音の発生のメカニズムの解明を目的に研究をしています.タイヤ騒音は,自動車騒音の中でも50〜85%ほどの寄与を占めているため問題視されています.この背景より,低騒音タイヤの開発が求められています.タイヤ騒音の要因の一つにパターン振動音(タイヤパターンブロックが,地面と衝突離脱する際にタイヤが加振されて発生する振動音)があります.このパターン振動音の発生メカニズムは解明されていません.衝突音の発生原因に適切なアプローチをするために,騒音発生メカニズムを解明することが重要です.私の研究では,パターン振動音の予測モデルの構築を行っています.パターン振動音に着目するため,パターンブロックが一つのみ付いたタイヤを用いて,パターンブロックと路面が衝突する際の音圧とパターンブロックの加速度を測定しました.実験の結果,加速度と音圧に比例関係がありました.そのため,衝突時のパターンブロックに発生する加速度が分かると音圧の予測が可能であることがわかりました.よって,『パターンブロックと路面が衝突した際のパターンブロックに発生する加速度』を算出するモデルを構築することにしました.パターンブロックと路面は,弾性体と剛体なので弾性物体の衝突で用いられるヘルツの接触理論をモデルに使用しました.この理論では,衝突時の変形量がわかるため,その変形量から加速度を算出しました.現在では,モデルの精度は実験値と比較すると二分の一ほどです.現在のモデルでは,パターンブロック端の変形により生じる加速度のみ算出しています.そのため,今後はパターンブロック全体が振動する際の加速度にも着目し,精度のよいモデルに向け研究を進めていきます.【タイヤの研究をしているとのことだけど,研究で大変だったことはありますか.】パターン振動音のメカニズム解明のためのモデル化方針を立てることに苦労しました.モデル化での課題は,タイヤパターンと路面の衝突の際にどのような現象が起きているかを推定することでした.私の研究は,パターン振動音の発生メカニズムを解明し,パターン振動音そのものの低減化を目的としています.一方で,これまでのパターン振動音に対しての対策手法は,タイヤパターンを不規則に設置することで,音のピークを抑え低減化するというタイヤパターン配置方法の最適化問題として対策されてきました.そのため,タイヤパターン個々の衝突に関する先行研究がなく,モデル化の方針を立てることが困難でした.初めは,タイヤパターンの衝突ということばかりを意識し,衝突現象の推定ができませんでした.そこで,広い視野で文献調査をしました.例えば,建築業界の床騒音やゴルフボールとドライバーの衝突音に関する文献なども読みました.また,検索をする際には,『パターンブロックと路面の衝突』を『弾性体と剛体の衝突』のようにそれぞれの性質に焦点をあてました.すると,タイヤとは一見関係のない分野からヒントを得ることができました.様々な分野の衝突現象で共通していたのが,ヘルツの接触理論という考えでした.よって,私の研究においてもヘルツの接触理論を使用するモデルを考案しました.他分野であっても,『弾性体と剛体の衝突』のように現象の性質を考えることでモデル化に着手するためのヒントを得ることができました.このように,研究を通じて柔軟な発想で物事に取組む重要性を学びました.今後は,より高精度のモデルを構築するために,視野を広く持ち現象解析に取組んでいきます. 【評価されたと感じたポイントや注意したこと】評価されたポイントは,研究内容を相手に伝わりやすく話したところだと思います.研究内容の質問の際に理系でない方もわかるように説明してくださいと指示がありました.そのため,専門用語をあまり使わずに分かりやすく伝えることを意識しました.
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