流体力学の観点から摩擦抵抗を低減して乗り物の省エネルギー化を目指す研究を行っています.摩擦抵抗の低減方法の一つにリブレットという細かい溝があり,これによりなめらかな面と比較して溝を掘ったほうが,流れがある時に摩擦抵抗が低減することがわかっています.私の研究ではこの溝であるリブレットをモータ内部などでみられる回転する円筒間で発生する特殊な流れに適用してます.具体的には作動流体にシリコンオイルを用いた実験装置の作製を行い,リブレットという溝がついた円筒を3Dプリンタで作製し,高い摩擦抵抗の低減を目指して研究をおこなっています.
追加質問:特に苦労したことは?
実験装置の作製に苦労しました.私が研究を引き継ぐ前に二年間,この研究は行われていたのですけれども,実験値が理論式とあわないという問題がありました.これの原因として作動流体が空気であったため,粘度や密度が小さいことが考えられ,私は作動流体をシリコンオイルを使用することで理論値と実験値を合わせることが出来ました.作動流体を空気から液体に変更する過程の実験装置の変更が大変でした.
この研究のゴールは?
リブレットによる高い抵抗低減率を記録することです.現在,私の実験で流れ方向に平行な単純な溝を彫った円筒での実験で約5%の抵抗低減効果を記録しました.しかしながら,実用化を目指すうえで5%というのは物足りない結果であるため,より高い抵抗低減率15%が平板の実験で確認されている,うねうねしたリブレットを私の実験条件でも適用し,高い抵抗低減率を記録することがこの研究のゴールであると考えています.
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