【未来を拓く化学革命】【21卒】住友化学の夏インターン体験記（理系/データサイエンスコース）No.12009（京都大学大学院/男性）（2020/12/8公開）

大手の化学メーカーの中でも住友化学は特に計算科学に力を入れているという話を聞いたため、自分の研究内容を生かせる就職先の候補として、興味をもっていた。また、インターンシップに参加することで、本選考に有利になるという噂もあったので、参加を決意した。

webテストがTG-webであり、比較的難しい問題が多いと聞いていたので、問題集を借りて重点的に勉強した。ESについては、大学のキャリアサポートセンターで添削してもらって完成度を高めた。

住友化学の研究部門で実際に過去に研究対象となった物性評価を対象として、MI（マテリアルズインフォマティクス）を用いて解析し、製品開発部門に報告せよ。

1日目にやったこと

マテリアルズインフォマティクス（MI）についての基本的なところを授業していただいた。サンプルを使いながら、実際に手を動かしながら行う形だった。１チーム３人の学生に対して社員の方が２人ついてくださっていたので、たくさん質問することができる雰囲気だった。

2日目にやったこと

午前中は事前に用意して提出していた自己紹介用スライドを用いて、参加メンバーや社員さんの前で自己紹介を行った。午後は、昨日に引き続き、実戦形式でMIについて学びつつ、本インターンシップの課題である材料物性評価に取り組んだ。チーム内の3人で協力して解析を進めるというよりは個人ワークの色が強かったように思う。

3日目にやったこと

朝から最終発表に向けてパワポを作った。こちらも個人ワークであり、一人一人がそれぞれスライドを用意し、発表を行った。（結果としてみんな似たような報告内容にはなるが、視点が違ったり、まとめ方が違ったりした。）

計算科学部の部長、課長クラスの方を含むインターンに関わってくださった社員の方全員。人事の方も一人聞いておられた。

その場で勝ち負けを競うものではなかった。

大学の研究室と企業の研究開発部門の違いのひとつは、企業ではバックグラウンドが異なる人と協働する機会が多いことだと教わった。専門分野が違う方にもこちらの話をわかりやすく伝える能力、専門分野が違う方の話にもある程度の理解を示せる知識の幅広さが求められているのだということを痛感させられました。

最終発表用のスライドの作成時間が数時間しか用意されていなかった（最終日の朝に作り始めて、発表が昼過ぎからだった）ことに加え、発表を幹部社員の方も聞かれるということだったので、報告をまとめるところで一番プレッシャーを感じた。短い時間でまとめることも一つのスキルだというような話もあったので、いかに短い時間でわかりやすい報告ができるかのスキルを見られているような気がした。

いろんな研究をしている学生と交流することができたので、改めて自分が所属している研究室での研究を客観視できた。それによって今後働いていく上での自分の強みになりそうな部分および課題となる部分を認識することができた。また、部署の雰囲気を肌で感じられたのも、インターンに参加したからこそだと思う。

機械学習を用いた研究開発のトレンドを住友化学以外の会社のものも含めて事前にリサーチしておけば、もう少し突っ込んだ質問をできた気がする。

課題として取り組んだテーマが、実際に住友化学でかつて行われていた研究開発を題材にしたものだったので、その時にどんな解析をして、どんな報告をして、そしたらどんな反応が他の部署から返ってきて、最終的にどんな形で商品化まで達したのか、について具体的なエピソードがたくさん聞けたため。何が求められているのかわかったので、自分が働くならどうするか、自然と考えていた。

正直に言うとどう評価されていたかまったくわからない。インターン期間中は、すべての学生に平等に接しておられるように見えたからだ。
ただ、インターン参加組は本選考で有利になると解釈できる発言が社員さんからあったことから、参加した私は有利な立場にあったとは思う。

非常に優秀な社員さんが多いと感じ、自分もこの環境で働きたいと感じた。ただ頭が良いだけでなく、個性的でユーモアのある方も非常に多かったと思う。
少なくともインターンに参加していた期間中には、社員さん同士もすごく仲がよさそうに見えたので、職場の雰囲気もよさそうだった。

実際に社員さんから、（少なくとも計算の部署は）夏のインターン参加者６人と冬のインターン参加者数人で枠を奪い合う形になるというような趣旨の発言があった。インターン中の社員さんの雰囲気から見ても、優秀な学生を見分けようとしている意図が感じられた。

化学系の学部に所属していることもあり、化学業界を志望していた。また、自分のスキルを活かせるのは研究開発だと考えていたので、研究開発に投資できる基礎体力がある大手企業を中心に考えていた。その中でも、計算部門が比較的大きい住友化学を第一志望として考えていた。
また、博士後期課程への進学も選択肢のひとつとして考えていた時期だったので、博士課程進学を決断するためにも企業での博士の扱われ方について知りたいと考えていた。

インターンを経て、志望業界が化学業界ではなくなった。
インターンを通して、企業の研究開発部門は大学の研究室と業務内容としては大差ないと感じてしまった。もともと研究が「目的」ではなく「手段」にすぎないと考えていた自分は、もっと他に自分のやりたいことを実現できる仕事・業界があるのではないかと考えるに至った。