
23卒 本選考ES
研究職
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Q.
今までの自分を振り返って、(研究以外で)自分らしさが発揮できたエピソードはいつのどんな場面ですか?
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A.
私は課題に真摯に取り組むことができ、それをよく発揮したのがサークルのバンド活動でベースを務めた時だ。私は大学に入り初めてバンドを組みライブをしたがよい評判を得られなかった。録画した演奏を聴くと、私のベースの音のずれのせいで全体の音に一体感が出ていないことに気づいた。そこで、私はバンド全体の音を左右している責任感を持ちベースに取り組んだ。リズムに関してドラムと音が合うことが重要であるため、練習ではドラムを意識し、ドラムの人とどこがずれているかを積極的に議論し、時にはドラムの人と時間をつくり練習に付き合ってもらった。根気強く続けることでバンド全体としての音がよくなり、評判も良くなった。 続きを読む
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Q.
今後、どのような社会人になりたいですか?また、それはなぜですか?
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A.
私は仲間と密に連携をとる社会人になりたい。私が希望するプロセス合成部門において、大容量の反応をかける際には事故が起こる危険性や一回の反応にかけるコストが大きいため、失敗は許されない。そして、思いもよらないところに失敗の原因が潜んでいるため、失敗を未然に防ぐには多角的な視点が必要であると考える。よって、私は仲間の意見を積極的に取り入れることで自分だけでは見落としていた問題を発見し対処するとともに、仲間に積極的に意見することで仲間の視野も広げチーム全体としてのリスク回避に貢献したい。このように私だけでなくチーム全体として失敗を未然に防ぎ、効率よく進めることで、患者さんにより早く新薬を届けたい。 続きを読む
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Q.
研究の概要について記入した上で、下記の点について簡潔に記載ください。 ①研究を進める上で最大の障壁であったことは何ですか? ②それをどのように乗り越えましたか? ③今後予想される障壁は何ですか?
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A.
天然物Walthrione Aはオキサビシクロ骨格が縮環したユニークなキノロンという既存の抗がん剤とは異なる構造でありながら、ヒト肺がん細胞に対し抗がん活性を示すことから、新たな作用機序の抗がん活性を持ち、既存の抗がん剤の問題点である薬剤耐性や副作用を解決できると考えたが、本化合物の合成例はない。そこで、新規抗がん剤の創出を目指し、大量供給、誘導体化、作用機序解明に向けた全合成研究に着手した。本化合物が持つオキサビシクロ骨格(架橋位置が異なる)とキノロンのそれぞれの合成例はあるが、両方を持つ化合物の合成例はない。原因はオキサビシクロ骨格が強い条件を必要とするキノロン合成反応に耐えられないためだと考えた。そこで、オキサビシクロ骨格が耐え得るマイルドな条件の分子内アルドール縮合によるキノロン合成ならば達成できると考えた。そのためには芳香環上に隣接したアセチル基(-Ac)とアセトアミド基(-NHAc)が必要である。先にアセトアミド基をつくり、ブロモ基を付加後、ブロモ基をAc基に変換することとした。リチウム試薬を添加し、ブロモ-リチウム交換後、アセチル化剤を添加したが、リチウムに交換されるのみでAc基導入には至らなかった。この方法はオキサビシクロ骨格とアセトアミド基の立体障害によるリチウム部分の反応性低下を打開できていないと考え、立体障害の影響を避ける別の方法として、分子外のアセチル化剤に攻撃させるのではなく分子内にアセチル化剤をつくりそこに攻撃させることにした。分子内アセチル化剤はアセトアミド基にさらにアセチル基をつけたジアセチルアミノ基(-NAc₂)とした。このようにして、アセトアミド基からジアセチルアミノ基に変更し、先程と同様リチウム試薬を添加によるブロモ-リチウム交換反応を行ったところアセチル基の導入に成功した。その後のキノロン合成はオキサビシクロ骨格が分解されることなく問題なく進んだ。そして各種官能基変換を行い、本化合物の不斉全合成を達成した。①合成目的の天然物が持つ骨格は今までに合成例はなかったこと。②テーマ開始時、博士の先輩と議論し化合物の全合成経路を決定した。しかし、実験を進めるとすぐに壁にぶち当たった。そこで初めて、先輩は一般的な有機合成に関する知識には長けているが、私のテーマに詳しいわけではないことを実感した。そのため、自分で考えることを意識した。失敗した反応から生じた副生成物の解析を怠らず、実験結果から似たような事象が報告されていないか文献を精査し、原因特定に力を入れ、解決策を練った。そして、解決策とそれに至った過程を先輩と議論することで問題を見落とさないことを徹底した。経験を積む内に、先輩に頼ることなく問題を地道に解決できるようになり、目的の化合物の不斉全合成を達成した。③現在、化合物を構造変換し、さらなる選択的活性の向上に努めている。しかし、化合物が作用する生体分子(標的分子)がわからないため、どのように構造変換していくかが障壁となる。そこで、先に標的分子を特定しようと考えている。一般的に、化合物の活性が弱いと標的分子との相互作用が弱く簡単に離れてしまうため、標的分子の特定は困難である。よって、化合物が標的分子と相互作用を起こしてから共有結合をつくるように化合物をデザインすることで、化合物と標的分子の解離を防ぎ、標的分子を特定しようと考えている。そのためには、化合物のどこに共有結合をつくる官能基を入れるかが重要である。標的分子と共有結合をつくると、活性が同じ又は強くなると考えられるため、そのような官能基をつけた化合物の活性を指標として標的分子同定に有用な分子を発見したい。 続きを読む