18卒 本選考ES
研究職
18卒 | 東京大学大学院 | 男性
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Q.
自己PR
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A.
私の強みは、地道に努力を続けられることです。中学1年生の時、テニス部のレギュラー戦に参加しましたが、結果は惨敗で、レギュラーを逃してしまいました。そのことがとても悔しく、友人と朝早く起き、授業が始まるまでの時間を利用して、学校のテニスコートで練習を行いました。筋力強化のため、睡眠前に腕立て・腹筋・背筋のトレーニングも毎晩欠かさず行いました。その成果もあり、中学3年生の時には、地区大会の2位リーグで優勝することができました。この経験は、試験勉強などで諦めそうになった時に頑張る上でのモチベーションとなりました。大学で始めた数学の添削アルバイトでは、より生徒が理解を深められる指導を心がけ、模範添削者の採点を読み込みました。不正解の問題については、本当にこの方針では解ききれないのか、解ききれない理由についても、友人などと相談しながら検討を行いました。また、正解であっても、考えを正確に伝えるための表現のアドバイスや、同様の考え方が活かせる類題の紹介といった解説を取り入れることで、時間はかかりましたが1件1件丁寧に答案と向き合いました。また、生徒のモチベーションを削ぐことのないよう、否定的なコメントを避けるよう細心の注意を払いました。その成果が認められ、添削業務を始めて2年目で、添削評価ランキングで2人目となる8ヶ月連続満点を達成し、模範添削者にも選出されました。研究室では、Baxという膜蛋白質の発現系確立・精製手法の検討を行いました。半年以上にわたり培養温度、時間、ベクターや菌体の種類など様々な条件の検討を行ったにもかかわらず、活性を有する蛋白質を発現することができませんでした。そこで、細かい操作や生成物の色などについても、写真も利用しつつノートへ納めるよう心がけ、先輩へも頻繁にアドバイスを求めました。さらなる検討を通して、蛋白質を僅かな時間室温に晒してしまったために変性が生じたこと、用いる界面活性剤の種類やプロテアーゼ阻害剤の導入によって収率に大きな差が生じることがわかり、1年の検討の末に目的蛋白質の発現・精製条件を決定することに成功しました。今後、仕事において多くの困難に直面することがあるかと思いますが、決して諦めることなく、これまでの経験を糧に挑戦を続けていきたいと思います。 続きを読む
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Q.
研究概要 1500字以内
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A.
【緒言】低分子医薬品の開発においては、標的蛋白質に低分子化合物が結合した状態(終状態)に注目した相互作用解析が多く行われている。しかし、その手法では薬効に重要な速度論的な情報が得られず、また、蛋白質間で共通の配列を持つサイトを標的とする場合に差別化が難しい。そこで近年、終状態のみならず、低分子化合物(リガンド)が結合サイトへ至るプロセスに着目した解析が行われ始めている。例えば、当研究室では温度変化表面プラズモン共鳴法(SPR)により、反応の熱力学的パラメータが、終状態では野生型と差がないが、リガンドの結合プロセスにおける中間状態では差が見られる変異体を見出した。しかし、中間状態において具体的にリガンドがどの残基と相互作用し、どのような結合状態になるのかはよくわからない。そこで本研究では、分子動力学(Molecular Dynamics; MD)シミュレーションを行ってリガンドの結合プロセスを解析した。MDシミュレーションで得られた結果をもとに標的蛋白質の変異体を発現し、SPRを用いて野生型との相互作用比較を行うことで、蛋白質-リガンド間相互作用のプロセスを解明し、低分子医薬品開発に向けたドラッグデザインに貢献することを目標とする。【方法】本研究では、標的蛋白質としてリン酸転移酵素の一つであるExtracellular-Regulation Kinase 2 (以下、ERK2)を、リガンドとしてERK2-ATP結合反応の低分子阻害剤であり高い基質選択性を有するFR180204 (以下、FR)を用いた。最初にFR分子に対する力場パラメータを量子化学計算により決定した。次に、FRのERK2に対する、10 nsスケールの結合MDシミュレーションを30本行い、FRが結合ポケット入り口に接近するトラジェクトリを得た。続いて、本トラジェクトリの最終構造を初期構造として、更に50 nsのシミュレーションを5本実行し、更に奥へ侵入する様子を確認した。溶液中の終状態のリファレンスとして、初期構造に結晶構造(PDB DI: 1TVO)を用いた1 μsのMDシミュレーションを行った。計算は、分子動力学計算ソフトGROMACSを用いて実行した。【結果・考察】10nsのMDシミュレーションを行った結果、FRが、終状態の結晶構造中に見られるFRと同じ向きで接近するトラジェクトリを得た。更に長時間のシミュレーションを5本実行したところ、内2本についてFRが回転する様子が見られた。このことから、FRが終状態に至るプロセスの中で、大きく回転しながら侵入するという予想外のプロセスがある可能性が示唆された。回転を生じたトラジェクトリにおいては、ERK2結合ポケット内のアミノ酸である98番目のグルタミン(Q98)、160番目のアスパラギン酸(D160)が、FR中の窒素原子と強く相互作用しており、回転の駆動力を生じさせている可能性が示唆された。これらの相互作用は、終状態における1 μsのMDシミュレーションでは見られないことから、プロセス初期においてのみ観測される相互作用であることが示唆された。【今後の方針】(1)ERK2のQ98、D160をアラニンへ置換した変異体を発現し、SPRを用いた熱力学的パラメータ測定を行い、野生型のERK2と比較を行うことで、シミュレーションで見られた回転の現象のin vitroによる説明を試みる。(2)FRが結合ポケットへ侵入してから終状態へ至る全過程の長時間MDシミュレーションを実行し解析を行う。 続きを読む