22卒 インターンES
メカエンジニア
22卒 | 慶應義塾大学大学院 | 男性
-
Q.
研究のテーマ(200)
-
A.
私は十七歳の時,歯科矯正の中では最も一般的な,金属ワイヤーを付けて行う歯科矯正を行った.しかし食事や歯を磨く際,また痛くて眠れない時に取り外すことができず,不衛生かつ不便であると感じた.その後,自分で好きな時に着脱する事ができる,透明なポリマー材料で作成されるマウスピース(正式名称はアライナー)をはめて行う矯正手法があることを知った.しかし歯科医の想定とは異なった歯列移動,例えば平行移動させたい歯が傾いてしまうことなどが多数報告されており,現在普及には至っていないことが判明した.論文を読むことでその原因を精査すると,矯正用マウスピースに関する臨床データや力学的研究の量が不十分であり,それにより歯科医が感覚に基づいて矯正用マウスピースを作成している事が判明した.私は歯科矯正で自分と同じ思いをする人を無くしたいという思いから,この問題を私の得意な機械設計の観点から解決することを決心した.この矯正は,マウスピースの弾性回復力が歯に伝わり行われるものであるから,まず矯正時のマウスピースの変形を知ることが最優先であると考えた.そこで最初のステップとして八重歯(三番目の歯,犬歯がずれている症状)の患者の治療時に,マウスピースがどのような変形をしているのかを調査するための実験装置を開発した.この装置は,犬歯以外の整った歯列模型と,動かせる犬歯模型によって構成されている.犬歯は根元の部分でマイクロメータに付着しており,そのマイクロメータを回すことで犬歯を動かすことができる.またマイクロメータと犬歯の接続部にはロードセルがあり,犬歯にかかる荷重が測定できる.実験方法としては,まず犬歯を治療後の整列した位置にセットして,マウスピースをはめる.そこから犬歯を動かしていき,矯正前の状態を作る.そしてその時のマウスピースの変位・ひずみ,犬歯にかかる荷重を計測した.その結果,前歯側の歯間では変位・ひずみが奥歯側の歯間と比べて,五倍以上大きくなることを発見した.犬歯の移動方向は歯科医の指導のもと中立な方向にしてあり,またマイクロCTによる計測で,歯間部でのマウスピースの厚みはほぼ等しいことが判明したことから,マウスピースの変形に影響を及ぼす因子がこの二つ以外にも存在することがこの結果によって示唆された.私はその要因を歯の表面形状によるものと考えた.前歯は比較的平らで,奥歯は比較的丸い形状をしていることから,マウスピースの前歯側歯間部の形状は奥歯側歯間部の形状と比べ,角度が広く,変形しやすいため,今回の様な結果が生じたという仮説である.現在は歯の形状による影響度を定量的に分析するために,FEMシミュレーションを行っている.また,犬歯以外も動かせる新たな実験装置の開発も行っている. 続きを読む
-
Q.
自分のセールスポイント(200)
-
A.
課題を発見し解決する能力である.マウスピースを用いた矯正方法で意図せぬ歯列移動が生じる原因を,矯正が感覚で行われているためと気づき,それを解決すべく独自の実験装置を開発した.また,研究室のメンバーがシミュレーションで思うような結果が出せず悩んでいる際には,その原因を条件が適切に設定されていないことであると発見し,今後それを防止するために週一回,解析計画書を全員でレビューする会を開くことを提案した. 続きを読む