以下はネットラーニング社の企業研究として選考途中に提出を要求されたレポートである。参考にしていただきたい。
ネットラーニング社 提出課題
目次
0. まえがき
1.「日米および各地域のe-Learning業界の現状分析、市場規模」
2.「e-Learning業界におけるネットラーニング社の強み、競合他社」
3.「MOOC及びJMOOCの課題は何か、改善には何が必要か」
4.「企業におけるe-Learning活用の現状分析」
5.「入社後、取り組みたいこと」
6.参考文献
0. まえがき
本稿はネットラーニングホールディングス社への提出物である。データはオープンネットワーク上から収集した。課題内容はメール内容から不足なく、かつ全項目を対象とした。一部言い回し等に変更があるがご了承願う。
1.「日米及び各地域のe-Learning業界の現状分析、市場規模」
まず、日本のe-Learning業界の市場規模をB to B, B to Cの二点から調査した。以下のグラフは株式会社矢野経済研究所の調査結果である。
これによると2015年度にて、B to B市場は順調な成長を遂げているが、B to C市場は減少がみられる。2016年度について、「主要通信教育事業者のサービス拡充が市場に貢献する」ため市場は成長すると当該研究所は予測している。
次に、関係業界との連動性を確認する。(下図はvisualizing.infoを用いて製作した。)通信教育業界は衰退傾向にあり、それに反比例するかのようにe-ラーニング業界は成長を遂げている。また、B to Bの研修サービスが順調に復興傾向にあることも確認できる。
一方、世界各地域のe-ラーニング市場は以下のように成長すると予測されている。これはアメリカのAmbient Insight社による予測である。
世界的にみてe-ラーニング業界は今しばらく成長すると予測されているが、その予測成長率は年々減少を続けている。このままの減少率であれば2030年あたりで業界が成熟を迎える計算になる。ただ、個人的にはEdtechやMOOCsの誕生によってB to C e-ラーニング業界はより成長するのではないかと予想している。
2.「e-Learning業界におけるネットラーニング社の強み、競合他社」
ネットラーニング社の強みはそのビジネスモデルにあると私は考えている。参考文献5にて、岸田徹氏曰く、
「ネットラーニングは、独自のビジネスモデルをもっている。 創業にあたって基本としたポイントは、以下の3点だ。
1、 社会に役立つビジネスであること。
2、 継続収入ビジネスであること。
3、 到達事業規模が大きいこと。(中略)
4、教育研修サービスを提供する事業であること。(中略)
5、インターネット型のASPによるサービス提供(中略)
6、ワンストップソリューションの提供」
という。業界の変遷に伴い、4点目以降が追加されたと推測できるが、特にネットラーニング社の強みとなっているのが5と6であると私は考える。インターネット型ASPサービスをワンストップソリューションとして提供することの利点は顧客側に三点、自社側に4点ある。顧客側の利点は以下のとおりである。
1. LMS購入よりも割安である。
2. LMS購入よりも種類が豊富で汎用性が高い。
3. 改善注文がしやすく、期待効果が高い。
これに対し、自社側の利点は以下のとおりである。
1. 学習効果の確認ができ、顧客満足度を高水準で保つことが出来る。
2. 一契約あたりの単価が分業に比べ高く、利益率が高い。
3. 社員が全行程に携わることでモチベーションの維持とスキルアップに繋がる。
4. パッケージ型とオーダーメイド型を両立させることで広範囲販売達成とリピート率向上が容易である。
e-ラーニングのコンテンツ制作における競合としてデジタルナレッジ社、プロシーズ社、BISCUE LS社、ネットスクール社、Duolingo社があげられる。
3.「MOOC及びJMOOCの課題は何か、改善には何が必要か」
MOOC及びJMOOC(Massive Open Online Courses)の課題として以下の点があげられる。
1.大学教育への悪影響(大学経営の財政悪化)
2.教育機関の受け入れ態勢が整っていない。
3.コース修了率が低い
4.資金調達方法
課題1と2は大学に関連している。ネット上で知識を獲得し、修了証を手に入れて就職活動が出来る世界では、現代の一般的な大学の半数は存在意義を失う。最先端技術や専門知識、実体験を必要とする学習が出来る場として大学は本来の、「知識の集積所」の体を取り戻す必要がある。その上で、学びの一つの方法としてMOOCsを取り入れる体勢を整える必要がある。生徒の学びをより高度化するために、大学以外の勉学の場を整えることは効果的であると考える。
課題3は生徒のモチベーション維持に問題がある。学校や塾といった集団学習では隣人や支払った金銭がモチベーション維持に良い効果をもたらすが、MOOCsにはそれが存在しない。また、難度の高さと参加する垣根の低さが合致しないことも原因の一つである。低継続率への対策としてコース自体の見直しが行われている。例としてDuolingoが挙げられる。このアプリには反復的学習とゲーム要素を組み合わせることによって利用者のモチベーションを維持する仕組みが内包されている。
課題4はモデルの問題である。基本利用が無料であるMOOCsはその他の方法で資金を調達する必要がある。修了証の購買、有志ファンドからの投資、アプリ広告収益などが実際に行われている例である。
4.「企業におけるe-Learning活用の現状分析」
日本能率協会マネジメントセンターの2015年度調査(参考文献8)によると、調査対象企業360社のうち、実施企業は80%と一昨年の1.3倍に増加している。特に活用割合は従業員規模に比例して増大する。従業員数が10000人を超える23社では95.7%がe-ラーニングを実施している。
導入理由は多岐にわたるが、「多数の社員の同時教育が可能である」「手軽に学べる」「学習時間が短く、隙間時間での学習が可能」などが上位にある。実施内容は「コンプライアンス」「ビジネススキル」「ヒューマンスキル」「情報セキュリティ」が上位に当たる。e-ラーニング選定時の重要項目は「価格」「わかりやすさ等、教材の品質」「コースラインナップの多さ」が上位に当たる。
5. 「入社後、取り組みたいこと」
私がネットラーニング社に入社後、取り組みたいことは8点ある。内訳は、短期的に2点、中期的(10年以内)に3点、長期的(10年以後)に2点である
短期的な目標は以下のとおりである。
1. コース制作方法の習得
2. 営業活動の把握、同行できるようスキルの研鑽
中期的な目標は以下のとおりである。
1. VRを活用した新しいe-ラーニング形態の確立
2. e-ラーニングとゲーミングモデルを組み合わせた新規モデルの考察
3. 顧客企業に合わせたコース制作と営業同行によるコンサルティングスタイルの習得
長期的な目標は以下のとおりである。
1. 経営スキルの習得と経営陣への参画
2. BMIを活用した新しいe-ラーニング形態の確立
3. 新規ビジネスモデルを考察し、社内子会社の立ち上げ
なお、短期目標は実現可能性を、長期目標は実現意義を重視している。特に長期目標2は非常に遠い未来であるかもしれないが、私の将来的最終目標地点として現時点では想定している。
6. 参考文献
1. eラーニング市場に関する調査結果 2016 株式会社矢野経済研究所により発行http://www.yano.co.jp/press/pdf/1519.pdf
2. http://visualizing.info/
3. Free Report: "The 2016-2021 Worldwide Self-paced eLearning Market: The Global eLearning Market is in Steep Decline" http://www.ambientinsight.com/Default.aspx
4. Global Corporate E-learning Market to Reach over USD 31 Billion by 2020, says Technavio http://www.businesswire.com/news/home/20160129005032/en/Global-Corporate-E-learning-Market-Reach-USD-31
5.NetLearning Quality 連載コラム ~eラーニング徹学~ https://www.netlearning.co.jp/hojin/colum/
6.競合他社HP (http://www.pro-seeds.com/; https://www.digital-knowledge.co.jp/;http://www.net-school.co.jp/;https://www.biscue.net/ )
7.MOOCsのインパクトと高等教育の未来 制作:北海道大学 情報基盤センター メディア教育研究部門 重田 勝介https://www.slideshare.net/katshige/20130803shigeta-small
8.国内企業360社対象 eラーニングに関する実施状況調査 株式会社日本能率協会マネジメントセンター https://www.jmam.co.jp/topics/1223801_1893.html
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