【革新的な計算手法で挑む】【19卒】日立製作所の冬インターン体験記（理系/研究開発）No.1848（京都大学大学院/男性）（2018/2/8公開）

メーカーの研究と大学の研究との違いを理解し、また、自分がメーカーの研究職として就職した際、仕事を楽しむことができるのかを確認したかったため。また、メーカーの研究職の内部の雰囲気や就職した際の生活リズムを肌で感じたかったため。

特に特殊なことはしていない。よく聞かれる志望動機、長所短所、趣味特技、研究内容を話せるように準備しただけ。

ある実験装置に対し、内部の電場の構造を高速に計算する手法の開発

1週目にやったこと

研究に使うPCの操作方法の説明を受けたり、課題の対称である実験装置についての論文を読んだりした。一周目の終わり当たりに２つの課題について説明してもらい、そのうち１つを選択した。片方は夏のインターンの学生にさせている用意された課題で、もう一つは実際にユニットで研究を開始しようとしている課題。私は後者を選択した。

2週目にやったこと

課題の内容について何度かユニットの人に質問しながら理解し、どのような計算をすればよいかを自分で考え、とりあえずプログラムを組んで実行してみた。プログラムはFortranで書いた。

3週目にやったこと

２周目で用いた計算手法では不安定かつ速度が遅いため、課題の解決にはそぐわないと判断し、別の方法を試みることにした。まずは別の方法についての文献を読み、２次元でのテストプログラムを書き、その手法の特徴や高精度に計算するためのコツ等を数値実験を経ながら理解した。

4週目にやったこと

３週目で用いることにした手法を３次元に拡張し、実際に想定される場面での電場の計算を試みた。その後は基本的にデバッグや高精度化のための試行錯誤を行った。過去にあまり研究されておらず、数値実験が必要な手法だったため、数値実験に大半の時間を費やした。

それ以降の週にやったこと

３-5週目までは３週目の方法で色々と試行錯誤したが、この方法ではどうしても精度が悪くなる状況が発生する事がわかり、またそれを解決することが困難であると判断したため、残りの週はまた新たな方法を考案し、それについてのプログラミングやデバッグ、高精度化のための試行錯誤をしていた。最終的に課題の解決には至らず、手法についての提案（この手法なら課題を解決できるかもしれない）をして終わった。

自分が配属されたユニットの人達

なし

課題について初めから難しい状況（複雑な形状の誘電体が存在する場合の電場を計算する等）で計算しようとしていたため、社員の人からまずは簡単な状況下で解けるようになり、その後徐々に形状を複雑にしていけば良いと言われた。また、本来は１年かけて研究するような課題であるため、２ヶ月でそこまでできなくても良いと励まされた。

課題について、解決手法も含めて全て一任されていたため、延々と試行錯誤をしていたが、そのときはまさに五里霧中といった感じであり、研究が遅々として進まず２ヶ月というタイムリミットもあったためかなり精神的に焦っていた。また、なれない環境下で２ヶ月間過ごしていたため、初期の方は体調が良くない（寝ても疲れが取れない、頭痛がする等）がよく起きていたことが辛かった。

一番大きいのはメーカーの研究職がどのようにして研究をしているのかを肌で感じることができたこと。特に今回は長期のインターンだったため短期と異なり用意された課題ではなく本当に研究所が求めている課題について研究できたため、かなり充実感があった。
また、長期のため寮で暮らすことができ（短期の場合はホテル）、社会人としての生活リズムがどのようなものであるかを体感することができた。

特に何を準備していたら良かったか、と言うものは無かったと思う。強いて言うなら電場の計算手法について予め予習していたらよりスムーズに研究が進められたと思う。

先程も書いたが、２ヶ月という長期の期間を、寮（食事なし）で暮らしており、完全に他の社員と同様な暮らしをしていたため、実際に入社しても殆ど変わらない生活になるだろうと思ったから。また、課題も実際に研究所が研究している課題と同様に学生向けに用意されたものではなかったため、実際にメーカーで研究するということがどのような感じかを実感できたため。

そもそもインターンシップ受け入れの際の誓約書に本選考とは一切関係ないと明記されてあるため、インターンに参加したから無条件で内定がでるというのはありえないと思う。
また、実際にインターンシップ中に強い人事権を持つほど立場が上の方と会うことはまったくなかったため。

このインターンに参加する前にメーカーの研究職の短期インターンに参加した同期が研究とは名ばかりの下っ端のような雑用を延々とさせられたと嘆いていたため、メーカーの研究職はつまらなく入った直後はまともに自分の創造力を活かした研究なんてできないものだろうと考えていた。しかし、実際にインターンに参加し社員の方々の話を聞くとそのようなことはなく、入社してすぐに自分で考えて研究をさせて貰えることがわかったから。また、実際にインターンで研究していてとても楽しかったから。

研究職を志望する志望動機や自分がどのように働きたいのかのイメージがかなり明確になる。また、面接を受ける際に聞かれるであろう逆質問に対してもかなり詳しく本質的な質問を持てるようになると思ったから。

メーカーの研究職としてシミュレーションや数値解析を用いた研究をしたいと考えていた。また、証券会社でクオンツとして働くということに対してもかなり興味があり、クオンツに内定を貰っている同じ研究所の人に話を聞いたり、インターンに参加したりしていた。
また、データサイエンティストの道も考えており、ビッグデータの解析やAI、機械学習にも興味があった。

メーカーの研究職に対してネガティブなイメージ（自分で考えて研究をさせてもらえない、退屈な研究ばかりさせられる）といったものはなくなったので、今後本格的にメーカーの研究職を目指したいと考えるようになった。
ただし、クオンツについてもまだ情報不足なため２月に開催されるインターンに参加してどちらがより魅力的なのかを判断したいと考えている。