私は現在まで炭素材料や複合材料の研究をしてきました。学部時代に電気化学という授業を受講し電池の電極材料に興味を持ち、炭素材料の一つであるグラフェンを利用した電極材料を作製する研究していました。研究内容はグラフェンをグラファイトから作製し、作製したグラフェンを積層薄膜にして還元を行い、電気化学測定から電気容量を算出するといった事をしていました。グラファイトからグラフェンを作製する際に、グラファイトを酸化させ炭素シートに酸化官能基を導入し炭素シートを剥離して還元を行うのですが、私は還元する際に超臨界二酸化炭素を用いていました。普通は還元剤にヒドラジン等の試薬を利用するのが一般的です。しかし、それらの試薬は環境負荷が大きく扱いが難しいため、私は扱いやすい超臨界二酸化炭素を使用しました。また還元剤によってグラフェンの物性にどのような影響があるのかを検討いたしました。超臨界流体は表面張力がないため炭素シート間に浸透し、炭素シートを剥離し易く、またシート内の酸素官能基まで還元できることで表面積が増加し、電気容量が試薬で還元するより大きくなることが分かりました。どのような条件でやるとよいか検討し、繰り返し実験し結果がなかなかでなかったのは苦労しましたが、粘り強く諦めずにやり抜き結果を出すことができました。その経験から上手くいかな実験でも得られたデータからわかることを抽出し、次につなげていくことの大切さを学びました。その実験の中で、グラフェン以外の炭素材料に興味を持ち。また炭素材料は単体ではなく他の材料と複合させることでさらに応用の幅が広がることを知り、複合材料を扱う研究をしたいと考え、現在の研究室に進学しました。現在はナノダイヤモンドと高分子材料を複合させた材料を利用した研究をしています。複合材料に電圧を加えた時に、材料内でナノダイヤが配列する構造について研究しています。材料内で添加物を配列することで少ない添加量で添加物の物性を発現できることが知られていて、ナノダイヤの持つ優れた物性を効率よく発現できるような材料の研究をしています。ナノダイヤ自体不明な点が多く、研究もすすんでいないため、論文も少なく手探りで実験を行わなければならないためその点に苦労しています。
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