私は生産設備から取得できるセンサーデータを用いた、予知保全に関する研究を行っている。予知保全とは設備の故障の予兆を事前に「予知」し、部品を交換または修理する保全方法を指す。現状多くの工場では、設備がいつ故障するか予知できず、突然設備が故障し、生産活動に影響が生じている。そのため、人手を介さず設備の故障予兆を検知し、適切な保全時期を知らせることが求められている。私の研究では、予知保全実現のために共同研究先の生産設備故障データを用いて、故障予兆検知に取り組んでいる。当分野では、時系列データに有効な深層学習モデルLSTM及び応用手法が成果を挙げている。しかし、当手法はモデルの内部構造が複雑なためどのようなロジックで出力結果が導き出されているか解明できない。これは、誤検知した際の原因究明が不可能であり、モデルを改善することが困難である。この対処として、私は出力結果までの過程を可視化でき、なおかつLSTM及び応用手法と同等精度を誇る深層学習手法を開発した。開発手法は、シミュレーション上にて故障予兆検知に成功している。今後は、実際の製造現場に導入し、更なるモデル改善を検討していきたいと考えている。
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