実は農業は面白いって若者に伝える方法
日本農業の衰退が謳われている。農業就業人口は10年間で100万人程度減少し、総人口の2パーセントにも満たない。農業従事者の平均年齢は65歳を超え、後継ぎ不足が深刻化している。政府や地方自治体は新規就農を支援しているが、この人数も停滞している。なぜ若者の農業離れが進んでいるのか。ゼミなどを通し学生同士で話し合う中で、農業に若者が嫌う「きつい・汚い・危険」の3Kに加え、「稼げない」が合わさった「4K」とでも呼べるイメージが定着してしまっているように感じた。しかし、私はこれまで農業体験を多くし、農山村を何度も訪れて来たが、実際の農業経営は、農閑期には仕事量が比較的少なく、若者がよく求める「裁量の大きさ」も十分である。農山村の風景は美しく、汚れが伴う手作業も減っている。機械化により安全性も向上している。独自の販路を開拓して収益を伸ばしている農家も多い。このように考えると、農業の現場を見たことのない人の間でネガティブなイメージが現実以上に大きくなっているように思われる。こうしたイメージを若者に実際に農村に訪れ、農業について知ってもらうことで払拭すれば、新規就農者が増えると思われる。そして、農村を訪れさせるためには、奇抜なPRが必要だ。農村に関心がない人の目を農山村に向けさせるためには、いくら農産物の魅力や風景だけをPRしても効果が乏しく、まずSNSやメディアで注目を浴びる必要があるからだ。「ふなっしー」を利用して近年著しく知名度を上げた船橋市がその例だ。独自のキャラクターを用いる、地域全体を色彩で特徴付ける(「緑茶グリーン」を街並みに取り入れた静岡県島田市が例として挙げられる)、SNSや動画サイトを利用するなどし、若者の注目を農村に集めるべきだ。そして、農村を訪れた人には新鮮な農産物やご当地グルメを餌に農業体験を提供させ、その面白さを伝えれば良い。このような方法で農村から農業を発信していきたい。
近年、都市農村交流が盛んに謳われ、農業を全面に押し出し地域を盛り上げようとしている自治体が増えている。その一例として茶産業の盛んな静岡県島田市がある。「島田市緑茶化計画」と謳い、茶を利用したスイーツの販売などに勤しんでいる。私は島田市を訪れ、緑茶化計画が現場でどのように捉えられているかの聞き取り調査を行った。すると、現場の農家の方々からは「中途半端だ」「何をしているのかわからない」という声が多く上がった。確かに、茶製品のPRに関わっている農家は一部に限られ、市が押し出している「緑茶グリーン」は建物とポストの1つずつ適用されているに過ぎなかった。観光客も増加していない。この市の例から、私は極端な地域PRが必要だと考えた。市全体に緑色を取り入れれば、奇抜な地域として観光客は増えるだろう。
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