実力の伸び悩んでいたオーケストラを、コンサートミストレスの役職を通して立て直した事です。
コンサートミストレスとは、約100人で構成されるオーケストラのトップであり演奏面の責任者である首席奏者です。私が役職に立候補した理由は、お客様のアンケートで圧倒的に多かった「熱意を感じた・元気があって良かった」等の、音楽とは関係の無い感想に悔しさを抱いていた為です。
私はオーケストラを立て直すにあたり、二つのことを目標としました。
一つは「音楽として素晴らしいもの・自分たちが曲を通して伝えたいものをきちんとお客様に届けられるオーケストラにすること」。二つ目は、一部の上手い人達で完結していた今までの形に疑問をもち、「100人の部員全員が思い切り演奏できるオーケストラにすること」でした。
この二つを実現させるためにオーケストラに一番足りなかったものは、自分の音に対する責任感だと考えました。そこで、「楽器の鳴っているきれいな音」とはどういう音であるのかを何度も部員に対して提示し続けました。きれいな音と自分たちの出している音の違いを理解してもらうために、プロの音源を全員で聞く機会を何度も作り、パート練習では全員がきれいな音を出している状態とはどういう状態なのかということを実際に弾き比べて実感してもらうことを毎回繰り返しました。
また、活動の上で私自身が楽器のポテンシャルや鳴っているとはどういう状態なのかということを一番にわかっていなければならないと考え、15人以上のOBさん・プロの先生に教えを乞い、全てを自分の身体に落とし込むまで練習していました。
音に対するこだわりを持ち続けて部員に働きかけていった結果、演奏会では歴代最多である1358人ものお客様にお越し頂きました。頂いたアンケートには「ボヘミアの情景が浮かんで涙が出そうになった」「プロのような音色であった」とあり、絶対に言われたくはなかった「学生らしかった」という言葉は一枚もありませんでした。
任期の一年間大切にしていたことは「自分が何においても一番に気づく・考える・行動する事」、「こだわりを絶対に曲げない事」でした。
この経験から目標に対して現状を分析する力と、こだわりを持ちそれを実現させる努力の仕方を得て、人間的にも大きく成長することが出来たと感じています。
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