私は〇〇という分野で、移民や多文化共生について学習しています。移民自身や移民を受け入れる社会のあり方は、紛争の拡大・グローバル化・先進国での少子高齢化が進む中で、近年注目すべきトピックになってきました。その中でも現在、来日外国人労働者の就労状況と日本国内の介護分野の人材不足の双方に特に関心を持っており、卒業論文では介護分野での外国人労働者の就労について調査・研究を行うことを構想しています。以下本テーマの背景や意義について説明します。日本では生産年齢人口の減少から介護人材の不足がより深刻になっており、人材の裾野の拡大を目指し外国人をはじめとする多様な人材の参入促進が進められています。 具体的には、EPAを通じた介護福祉士候補生の受け入れ、外国人技能実習制度上での介護分野の対象業種の追加、介護福祉士資格を取得した外国人留学生の就労認定など多様なチャネルの活用が図られています。一方、資格習得のハードルの高さや言語・文化の違いによる就労継続の難しさ、外国人技能実習制度の運用上の問題が現在までに指摘されているほか、コロナウイルスの影響により国境を超えた人の往来が難しくなっており、現状を踏まえた制度設計の改善が必要であるとの意見があります。また、先行研究は日本側の立場から見た制度構築・現状分析が中心であり、外国人労働者自身の出身環境・モチベーション・得られる利益等はあまり注目されてきませんでした。以上のような社会状況や課題を踏まえ、国際社会学の観点から日本社会・送り出し社会双方の情勢やコミュニティ、外国人労働者自身のキャリアプラン等に注目し、研究を通じて介護分野での外国人労働者の就労について新たな知見を提供できればと考えています。
またゼミナールでは、自身の卒業論文のテーマに加え、移民を取り巻く政策、コミュニティ、経済格差やそれを打開する政策について、受け入れ社会・送り出し社会双方の観点から、国家の枠組みを超えて世界中の事例について研究・学習しています。具体的には、東京23区における特定の区への外国人の集住、欧州での移民後発受け入れ国であるスペインにおける多文化共生政策、シリア難民を多数受け入れたドイツの地方政府の取り組み、東南アジアの女性移住家事労働者のネットワーク、アメリカに残存する黒人差別が黒人の社会的なふるまいに与える影響など、多岐にわたる事例を学んでいます。
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