私が所属する研究室では、数cmの基板上に数十~数百µmの小さな電極と流路を持つ「マイクロ化学チップ」という分析デバイスについて研究しています。化学・生体物質の混合、分離、検出など様々な分析操作を手のひらサイズの基板上で行うことができ、携帯性や試薬・廃液量の低減などの観点からも注目されています。しかし、このデバイスの作製には多くの手間と時間、費用を要することが課題の1つです。
私の研究では、チップ作製への3Dプリンター導入を試みます。3Dプリンターによって、従来は数日かかっていた作製を数時間~1日に短縮できます。また、3D CADで作成したモデルを簡単に造形できるため、流路形状が多様化し、マイクロ化学チップ研究の効率化に大きく寄与すると考えられます。さらに、3Dプリンターは3万円程度、造形にかかる材料費は十数円と、他の数十万円以上する実験機器と比較して大変安価と言えます。
現在は様々なタイプのデバイスの作製に挑戦中です。将来的には先行研究を参考に、複数の溶液の混合・化学分析用デバイスや、癌細胞などを、光を利用して目視で簡単に検出できるデバイスなどを3Dプリンターで造形することが目標です。
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