第 〇 回〇会において、「〇〇」という題目でポスター発表を行いました。
〇〇は3つのβ-1,3-D-グルコース主鎖に1つの分岐したβ-1,6-D-グルコース側鎖をもつ多糖です。この多糖は水中でも三重らせん構造を安定に保持し、また水に対して極めて高い溶解性を示します。加えて、この側鎖をもつ三重らせん多糖は、水溶液中で特異な秩序-無秩序転移を示すことが知られています。この転移は、〇〇だけでなく、天然で産生する側鎖分岐度の異なる三重らせんβ-1,3-D-グルカンに共通で観測されます。そのため、側鎖の分岐間隔も転移の発現に影響を与えているのではないかと推測されます。そこで、天然およびスミス分解により側鎖分岐度を変えたβ-1,3-D-グルカン水溶液の熱容量測定を行い、分岐度の違いによる転移挙動の変化について調べました。
秩序-無秩序転移の側鎖分岐度依存性を確認するために、側鎖分岐度の異なる、〇〇(分岐度0.33)と、スミス分解〇〇(分岐度0.28)の2種類の20%水溶液を調製しました。熱容量測定には、研究室既設の微少試料用断熱型熱量計を用い、9 K ~ 320 Kの温度範囲で測定を行いました。
いずれの試料でも秩序-無秩序転移による明瞭なピークが観測されました。この秩序-無秩序転移の転移温度は、MD1水溶液では約279 Kであったのに対し、MD1SD50水溶液では約276 Kに低下し、転移の形もよりブロードになりました。このことから,グルコース側鎖の分岐間隔は秩序-無秩序転移に深く関係していると言えます。〇〇の秩序-無秩序転移は●モデルと呼ばれるヘリックス-コイル転移に関する統計理論に従うことが明らかにされています。本討論会では,側鎖分岐度の違いにより生じた秩序-無秩序転移の変化の理由について、●理論に基づいたモデル解析から説明しました。
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